LINE UP 季節の食材・料理用語集

COOLING GLOSSARY料理用語集

  • あ行 「あ」

    相生 二つのものが共に生まれ育つ事を意味する。元々は同じ根から発した二つの幹を指した言葉。仲の良い夫婦をイメージさせることから、婚礼や慶事の料理や飾り物として使われる。二つのものを結びつけた形にした料理を「相生にする」と称し、「相生結び」「相生鯛」などが代表。また、婚礼の際に用いる盆景を『相生台』といい、男島と女島が配してある。 相生鯛 島台に尾頭つきの鯛を腹合わせにし、尾紙を巻いて盛る。 祝事に欠かせない。鯛の代わりにフナを使用することもあり、この場合は『相生鮒』他の魚の場合もあり、これらを総称して『相生焼き』という。 ※尾紙は水引がついた飾り紙で、尾ヒレを包めるようになっている ※島台は相生台に近似のもので(同じものである事もある)、別名を「州浜台」とか「島形」などとも呼ぶ慶事に使用する海の幸を表した模様が表現された台である。 相生結び 大根や人参を長千に切り、たて塩で柔らかくしてから(あるいは軽くあおってから)、「つの字」に曲げて交互に結ぶ。祝事では二色の異なる材料を使い、紅白が基本。なますや椀に使用する。 合い肴 焼き物と煮物の合い間に出す、揚げ物、蒸し物。あい混ぜなます季節の野菜数種を胡麻酢で和えたもの。 合混ぜなます 季節の野菜数種を胡麻酢で和えたもの。 相乗り 盛り付けの際、二種類以上の異なる料理を一つの器に盛ること。例えば同じザルに素麺と蕎麦を盛れば「相乗りザル」である。また、めったにないが、木の芽と柚子を天にする場合も同じく相乗りである。 青煮 野菜の色を鮮やかに出す煮方。色煮ともいい、素材を生かす和食特有の煮方である。主に青い野菜(絹さや、蕗など)を七分通り茹でたあと色を止め、だし・醤油で調味した液を冷まし、それに浸して味を含ませるやり方。 青淵汁 あおぶちじる 鶏肉を焼くか、あるいは茹でる。それにおろし大和芋をかけたもの。 煽る あおる 軽く熱を通すこと。 沸騰させた湯で短時間加熱や通常のボイル湯の温度を加減する場合は、「茹でる」や「霜ふり」の範疇になる 青寄せ 青寄せは、和え物の衣(木の芽味噌など)や流し物に緑色を付けるためにの着色材。「青菜寄せ」「寄せ菜」ともいう。作り方は、ほうれん草(大根の葉、かぶの葉なども使える)を適度なサイズにして水洗いし、当り鉢で塩少々と共によくあたる。水を加えすいのうに通して青汁を取る。この汁を鍋で加熱し(煮立てない)、浮き上がってくる青い色素を布巾にとる。布巾を丸め水で冷やしたあと水気を絞れば完成である。 青掻敷 料理を彩る”かいしき”には紙などの人工物もあるが、その多くは植物の「葉」「枝」「花」などであり、こうした植物系のかいしきを「青かいしき」と呼ぶ。 代表的な笹の葉などのように「抗菌・殺菌」「防腐」、あるいは「防臭」などの効果を持つ青かいしきも多い。 赤鍋 銅製の鍋のこと。銅は緑青が出るので錫引きを施してあり、美しい色になる。その見た目から「あかなべ」と呼ぶ。熱伝導と保温性に優れ、鍋の素材としては最高品質。 但し、手入れを怠る事ができないので、プロ向きと言える。 あがる 仕事終わり・板場修行の終わり・料理の出来上がり・魚が死んだとき。
    用例:仕事終わり「もうあがってもいいよ」「あがります」※これは、一日の仕事が終了したときの他に、「店そのものを辞めさせる」、「自ら退職する」などの様な場合にも全く同じ言葉である。隠語として「ヤマ」とも言うことがある。 あがり 鮨屋、旅館、料理屋などでお茶の事を"アガリ"と言う。遊里などで客のつかぬ女にお茶を挽かせた故事にちなんだもの。 赤おろし 赤唐辛子を射込んでおろした大根おろし、つまり「紅葉おろし」を赤おろしとも呼ぶ。 あく アクは食材が持つ「臭み」「渋み」「苦味」「えぐ味」など、料理には不適な成分である。そのほとんどが不要なものだが、栄養学の進展によってポリフェノール、サポニンなどは有益な成分であることが分かっている。 あたる・あたり 材料をすり鉢ですりつぶすこと。二種以上の材料を合わせ混ぜることもある。 小豆粥(あずきがゆ) 「望ち粥」「十五日粥」ともいう。 新年1月15日に食べる風習があるお粥。
    1、皮を破らないように小豆を茹でる(一晩水に漬けて漬け汁ごと弱火で一時間程度)
    2、煮汁を漉す
    3、鍋に米、煮汁を米の二倍、水を三倍(これは5倍増しの一般的な白粥と同じ割合であり、固さは好みで調整してもよい)を入れて沸かす
    4、沸いたタイミングで小豆を適宜(米の2%程度)加え弱火に
    5、気長にコトコト、時々かき混ぜて炊き上げ最後に塩で味をつける 餡掛け粥(あんかけがゆ) 餡を張った粥。
    普通に白粥を作る
    出汁に醤油と塩で薄味をつける
    水溶き片栗粉(又は葛)でとろみをつけて餡を作る
    粥を器に盛り、上に餡をかける
    おろし生姜などをのせて供する
    霰粥(あられがゆ) 焼いた白身魚のむしり身をかゆの中へ入れる。文字通りあられを散らす粥もある。 浅芽(あさじ) 浅芽は、「切り胡麻」または「おから」をまぶす料理。「朝路」「朝地」「麻地」「浅路」など、文字の当て方は様々である。
    浅芽とはイネ科多年草の「ちがや」のことで、荒地に生える茅の様を表現した料理を浅芽という。その代表的なものが「あさじ和え」である。炒った白ゴマを切り胡麻にして味を加減し、茹でた青菜類と和えたもの。関東では「小町和え」と呼ぶことがあり、これは浅芽が枕詞により小野小町を連想させるからであるとされる。 曙(あけぼの) 酢どりしょうが、ゆで卵、イカの素焼きなどを、薄紅色に仕上げたもの。 阿茶羅漬け(あちゃらづけ) アチャラはペルシャ語で酢と野菜の漬物。 和風ピクルスと考えてもよい。
    <作り方>
    一例として、三杯酢に柚子皮、赤唐辛子、昆布を加えた漬け汁を作り、しんなりさせた大根や人参などの野菜を浸けて浅漬とする。 羹(あつもの) 吸い物、椀物をさす。洋食ではスープやポタージュをさす。 揚げ酢浸し(あげすびたし) 鯵、鮎、公魚等の小魚を姿揚げしたのを熱いうちに三杯酢に浸す。いわゆる「南蛮漬け」もこれに相当する。他の調味液に浸ける場合は「揚げびたし」揚げたものを煮るのは「煮びたし」。 揚げ達磨(あげだるま) 甘煮した長芋を、天ぷらにして小口に切ったもの。 朝日長芋(あさひながいも) むいた長芋を、食紅と塩で茹でたもの。 飛鳥料理(あすかりょうり) 牛乳で煮込む料理。奈良県飛鳥の郷土食。主に「飛鳥鍋」を指していて、鶏ガラ出汁に牛乳を加えて作る。飛鳥時代に唐から来た僧侶が、ヤギの乳で鍋料理を作ったのが始まりとされる。 甘皮(あまかわ) 特に筍の芽の部分を指し、「姫皮」、「絹皮」とも言う。 編笠(あみがさ) 野菜を円形に薄く切り、折り曲げたもの。編み笠の形に似せる。 編み笠ゆず 正月料理の三、与の重に入れる柚子皮の甘煮。皮目に軽くおろし金をかけ、縦に割って中身を抜き、その皮を水煮したあと蜜煮にする。 網切り(あみきり) 「網大根」とも言う、大根を網目に切った飾り切り。細工包丁。刺身の舟盛りなどの飾りに使うもの。
    1、10~15センチ程度に落とした大根の皮をむく
    2、四隅の角を落とし丸くする
    3、縦にし、中央に菜箸を刺す
    4、横から5ミリ間隔に包丁を入れていく(菜箸に当たるように)
    5、次の面は包丁を入れる場所をずらして同じように
    6、真裏の面は最初に包丁した箇所と位置が同じになるように
    7、4面に包丁を入れたら箸を抜き、桂剥きにする 綾白髪(あやしらが) 白髪とは料理用そうめんの事。天ぷらの飾りに揚げる。 菖蒲蒸し(あやめむし) 鯉の切り身を味噌漬けにし、それを「あやめの葉」で巻いて蒸す。 洗い(あらい) 活けの鯉、すずき、鯛、こち、ぼら、なまずなどを薄いそぎ身にし氷水で急激に冷やす刺身の作り方。(60度前後の湯で洗う「湯洗い」という手法もある)この方法によってアク(脂)が抜けてさっぱりし、身はコリコリと弾力性が出る。夏向きのお造りである。 淡水魚は必ず生きたものを使い、酢味噌で。海水魚は活け〆を使い、山葵醤油で食べる。 荒金豆腐(あらかねどうふ) 水切り木綿豆腐を醤油と酒で煎り、山椒をまぜこむ。 あられ(霰) あられ切り:さいの目より小さな(8ミリ程度角)立方体。
    あられ揚げ:料に片栗粉を打ち、天ぷら衣にあられをまぶして揚げる。低温で揚げないと焦げるので注意する。
    霰漬け(あられずけ):あられ切りにした、大根、人参、胡瓜、独活、生姜に薄塩し、切り昆布をまぜ、甘酢に漬けて柚子皮を天盛りする。酢の物。
    霰粥(あられがゆ):焼いた白身魚のむしり身をかゆの中へ入れる。
    あられ蕎麦:小柱のかき揚げをのせた天そば。貝柱をあられに見立てている。
    霰羹(あられかん):さいの目切りの長芋が入った羊羹。 有馬(ありま) 朝倉山椒と同じく、山椒を使った料理に有馬をつける。山椒は佃煮にしたものや塩漬けを使う。有馬煮(朝倉煮)、有馬和えなどがある。 秋刀魚の有馬煮:サンマを筒に切り、酒・醤油・味醂で調味し、山椒の佃煮を加えて煮上げ、中骨を抜いて盛る 朝倉山椒(あさくらさんしょう) 当たった粉山椒を衣にしてアワビ、イカ、ハマグリを和える。由来は兵庫の朝倉山椒。 兵庫県の八鹿町朝倉ではトゲのない大きな実の風味が良い山椒が育つ。 この山椒を朝倉山椒といい、山椒の代名詞とされている。 淡路結び(あわじむすび) 三ツ輪結びの事である。祝事に使用する。 「あわび結び」、「近江結び」とも言う。 合わせ鱚(あわせきす) 背から包丁、中骨、内臓を取り出し、元の姿に合わせて離れないよう楊枝を打ち焼く。さより、小あじ等でもよい。 合わせ作り 刺身、酢の物の手法。重ね造り。烏賊に海苔をはさむ、赤身と白身を重ねる等。 粟鯛蒸し(あわだいむし):薄塩をした鯛の切り身をいったんあおり、再度薄塩をして盛り付け、茹でた粟を天盛りにして蒸す。
    ●淡雪(あわゆき)
    淡雪蒸し:白身魚や鳥肉など淡白な素材が合う。
    淡雪揚げ:泡立卵白と少量の片栗粉を衣にさっと高温で揚げる。
    ●淡雪羹(あわゆきかん)
    寒天で冷やし固める流し物の和菓子。別名「衛生かん」 錦玉羹に泡立て卵白を加えて淡雪ふうに作る。 あんこう料理 あんこう鍋:水戸や銚子の名物料理である。霜降りした七つ道具を寄せ鍋風に醤油味で供する。蒸した肝を漉して味噌と合わせる「どぶ汁」もある。
    あんきも:血抜きした肝を酒洗いし、小さく切って塩をし、アルミホイルなどで円筒形に包み20分程度蒸す。完全に冷まして小口から切り、ポン酢で供する。
    とも和え:さきほどの手順で蒸したアンキモを裏漉しにかけ、焼き味噌に少々甘味をつけたもの、だし、酢を合わせて「とも酢」を作る。霜をふった七つ道具を適当に包丁し、とも酢と和えてわけぎや、うどを添えて盛る。 鮟皮(あんぴ) 鮟皮はアンコウの皮ではなく、フグの皮である。ヒレのように板に張り付けて乾燥させたもの。関西では鉄皮(てっぴ)と呼ぶ。 塩梅(あんばい) 昔、砂糖や調味料はほとんど使われる事がなく、塩と梅酢が調理の柱であったからだという。 網捨籠(あみすてかご) 端を結んでいない亀甲型の竹カゴ。「経木」のように、崩れやすい魚や佃煮を煮る時に鍋底に敷く。鍋に焦げ付かず煮崩れしない便利な籠。

    料理用語集TOPへ
  • あ行 「い」

    飯蒸し (いいむし) もち米をふやかして蒸したもの。栗や芋など季節魚介などの具を入れて蒸す場合が多い。白身魚の腹に詰めたり、蒸したもち米を上に載せたりして蒸すこともある。薄味に整えたくず餡、露しょうがで供する。 家盛り (いえもり) 貝類の貝殻を用いた盛りつけ方である。「殻盛り」ともいい、別種の貝殻に盛り付ける場合は「宿借り盛り」と言う。アワビ、サザエ、ホタテ、ホッキ貝などを剥いて料理し、その料理を貝殻に盛り付ける。 筏(いかだ) 材料をいかだ様に組んだもの。主に細長い材料を使い、長さを揃えて組むように横に並べる。串をうってつなぐ事も多い。 烏賊煎餅 (いかせんべい) イカの皮を剥き片栗粉をまぶして叩き伸ばし、それを干して焼く。 生間流 (いかまりゅう) 「五十間(いかま)包丁」と言い、日本料理の流派の一つで、関西系。
    小野田兼弘の末裔で生間氏の家伝。宮中料理の流れをくみ、明治まで八条宮家の料理人を務めた。乾物を多用し砂糖を使わない。手を触れずに魚を捌いて造る生間流式庖丁は有名。生間流本家の有職料理は料亭「萬亀楼」にて食することができる。 錨作り(いかりずくり) 包丁技法の一つ
    ・子持ちハゼの尾と頭を落として二枚おろし掛けにし、卵を傷つけぬよう中骨をとる
    ・浜防風・ネギを十文字包丁して水にはなす(浜防風は針で裂く)
    毬栗揚げ(いがぐりあげ)
    エビのすり身に、栗の含ませ煮を射込み、粉 卵白 茶素麺をつけ揚げる
    ・【松葉揚げ】 茶素麺を長めに切り根をつなぐ
    ・【千本揚げ】 白そうめんで揚げる
    ・うずら卵を栗の代用にする 射込み(いこみ) 食材をくり抜いて筒状するか、包丁をして中空の袋状にし、その中に詰め物をするやり方。その料理。イカや瓜など材料自体が中空の食材に詰め物をする場合は『印籠』になる。定番として野菜系には魚のすり身やひき肉を、反対の場合は野菜のけんちん風を詰める。 活け締め 活魚(かつぎょ)(活物/いけもの)を、鮮度を保つために即死させるとこ。エラブタを開いて首の付根の骨を切断し、締めると同時に「血抜き」を行う。 十六夜膾(いざよいなます) 鯵を叩いて円形にして作るなます。いざよいは十五夜満月の翌日の月の事であり、球形の料理全般に十六夜の名を付ける。(陰暦十六夜の月) 石浜焼き 「石焼き」は石の熱伝導を利用して焼くもの。石に酢を塗ると張り付き防止になる。焙烙に熱した石を載せて材料を焼く素朴な焼き物であり、アユなどの川魚が古い形である。肉を焼いたり、石焼き芋なども石焼である。 石焼き豆腐 胡麻油で水切り豆腐を焼き、薄地をかけて、天盛りにオロシ生姜と糸がき。 伊勢豆腐 鯛などの白身魚のあたり身に、とろろ、卵白、塩を加え、蒸す。仕上げにあんをかける。 磯辺 磯辺は海苔(のり)を使った料理。 「磯辺揚げ」「磯辺焼き」「磯辺和え(磯わさ等)」「磯辺巻き」など。 また、磯の魚介を用いる料理にも磯辺の名称を使う場合もあるが、これはたんに「磯」と呼ぶ事が多い。「磯盛り」など。 長型の板に作る蒲鉾等の事で「板付け」「板付き」とも。「板についてきた(いる)」という言葉の由来でもある。 板摺り(いたずり) アクを取ると同時に、柔らかくして色を出すことができる一石三鳥の手順で、対象の食材はフキやキュウリである。材料を濡らして多めに塩を打ち、まな板の上で押すように転がす。
    酢の物など生食に使う場合は塩を洗い落として調理する。茹でて使用する場合はそのまま湯に入れる。 一汁三菜(いちじゅうさんさい) 和食料理の基本で、汁に小鉢(お新香)、焼き物、煮物の三菜。
    驕奢な室町本膳料理に対し、千利休など茶人が提唱してみせた「戒めの心」「寂の美」が一汁三菜であった。精進に学んだ懐石料理であり、以降の和食はこれが手本になっている。
    懐石料理では、向付、椀盛、焼き物の三菜。この後、強肴、小吸い物、八寸、香物、湯桶と続く。 一文字(いちもんじ) 上身や切り身を垂直に切り離す包丁技法。平造りや行儀切りなど。 一文字包丁 姿、上身、節の皮目に縦一本の包丁目を入れる。 一文字作り 切った刺身を流さずに一列に並べる造り方。
    調理道具の「金へら」ge 「へがし金」とも言い、流し缶や蒸し箱に入れた材料を平らにならしたり、鉄板で焼く料理を扱うのに使う。 市松 市松模様(チェック)に仕上げる料理を市松と言う。由来は歌舞伎役者「佐野川市松」の袴模様から。色違いの二色を互い違いに組み碁盤目にする。また、ニ~三色を使い菱型や亀甲にする特殊な料理もある。 市松ずし すし飯を棒状にし、おぼろや青のり粉で色違いに組む。 市松かん 寒天液を二色(紅白など)して固め、市松にする。 市松作り マグロやイカなどを使い角作りにして市松にする。 市松詰め 重箱の詰め方。碁盤目に盛り込む。 糸掛け 糸をかけた様に作る料理。ゆでて裏ごしした山芋を絞り袋で筋飾り、魚そうめん、紅白、金銀の飾りひも 糸掻き(いとがき) かつお節の上質部分を糸状に削ったもの。主に料理の天盛りに使う。鮨ではタネとシャリの間にかませる事もある 糸南瓜(いとかぼちゃ) 皮つきのままゆでると果肉が糸状にほぐれる。 従兄弟煮(いとこに) 畑の物と、田の物を一緒に煮たもので、小豆(又は大豆)と野菜の組み合わせで煮るのが一般的ないとこ煮である。固くて煮えにくいものから「おいおい」「めいめい」に煮ていくことからこう呼ばれるようになったという説と、お事始めに作る「おこと汁」が転じたという説がある。 伊深時雨(いぶかしぐれ) 麩の佃煮。岐阜県関市の名物。 今出川豆腐(いまでがわどうふ) 木綿豆腐を薄味で煮たもの。天盛りには、生姜、山葵。 芋掛け 山芋(自然薯)、長芋、大和芋等をおろしてかけた料理。 芋粥 さつまいもで作る米粥。
    小豆粥の小豆代わりに芋を使ったともいわれる。
    じゃがいも、里芋、山芋で作るものもある。
    さつまいもは厚めに皮をむき、適当に切る(さいの目に切ることが多いが乱切りでもよい。お好み)切ったらすぐに水に浸ける(芋はアクが出やすいので数回水をかえるか流水にしておく)米に八分通り煮えたところで芋を加え、塩味で仕上げる。(少しの醤油や酒を加えてもよい) 芋田楽 湯通しした里芋等を串焼きし、出汁、砂糖、山椒ですった味噌をかける。 芋の子汁 秋田の料理。豆腐、なめこ、鶏肉等で作った味噌汁。 芋棒 京都円山公園そばの平野屋の名物。棒ダラと海老芋(えびいも)の料理。 芋餡(いもあん) 甘藷とじゃがいもを茹でて裏漉し、砂糖、味醂、酒で練る。 芋殻(いもがら) 「芋幹」「芋茎」とも書き、「割菜」ともいう。里芋の葉柄(ずいき)を乾燥させたもの。狭義には八つ頭、赤芽芋の茎を干したもの。戻して、椀、酢の物、和え物、煮物。 芋軽羹(いもかるかん) 鯛を皮つきのまま切り身にし薄塩にし、蒸し鉢に盛りクチナシで米を染め、当たり大和芋おろしをまぜて蒸し上げる。 芋籠 ・かつら剥きにしたジャガイモを極千に打ち、籠状の形に揚げる。
    ・おろし大和芋を米粉と砂糖、塩で当たり、昆布に包んで煮る。 芋鮨 甘藷とじゃがいもを茹でて裏漉し、砂糖、味醂、酒で練る。 芋煮 島根県の郷土料理。
    焼いて肉を取り出した白身魚(鯛)に里芋を入れて煮る。山形県の芋煮は牛・豚の肉を使う。 芋松茸 里芋をまつたけに見立てたもの。上を少し皮付きで残して傘に、下を剥いて軸に見立てる。 芋飯 さつまいも、ムカゴ、里芋、じゃがいも等と米を炊く。 芋柚餅子 小口に切った芋を削り節と数日漬けたものを蒸しもち米とあたる銀杏をゆでて細かくしたものを混ぜ板にのせて蒸す。 芋羊羹 さつま芋を茹でて裏漉し寒天液を加え型に流し蒸す、冷まして切り分ける。 芋麺 大和芋をおろし同割りのもち米、うるち米と練りのばして麺状にする。茹でてかけ汁で供する。 煎り酒 向付や昆布締のさしみ醤油である。
    作り方は流派で多少異なるが、出汁と酒に梅干を加えて煮詰め、さらに追い鰹して煮込む。量が半分ほどになれば漉して酢・淡醤油で調味する。 煎り鯛 鯛の腹子を酒と酢で煎り刺身に添えるか、まぶす。 煎り卵 通常は卵白2、卵黄1で煎る。柔煎りを「半いり」、「びしょだま」という。 煎り鶏 手羽の身を砂糖、醤油、味醂で煎ったもの。椀、煮物の天盛り。 煎り煮 煎ったものを砂糖、醤油の両味で煮る。煮汁がなくなるまで煮るのが常道。箸を使い続けないと焦げる。 煎り味噌 味噌を卵と煎り、荒く漉す。刺身、酢の物、焼き物に。 色染め 色粉(着色料)や実(クチナシ等)で色をつけること。 色出し 鮮やかな色にすること。主に下茹での過程で行う。茄子に焼きみょうばん、青ものに塩。大根の白色は米つぶか米のとぎ汁。 色止め 材料の褐変や色あせを防ぐ手順。イモ類は切ったはしから真水に放つ。ごぼうや蓮根は薄い酢水に。青系は立塩に。
    ※加工場では殆ど食品添加物で止めているが、料理人がそれを真似してはいけない。 祝肴 目出たいときの膳に出す。 ・鯛=めで鯛
    ・すずき、ぼら、こはだ、ぶり等の「出世魚」
    ・海老=姿が鎧武者に似ていて、これも「出世祈願」
    ・田作り=豊作祈願の五万米(ゴマメ)
    ・昆布=よろコブ
    ・黒豆=まめまめしく働ける様
    ・かつお節=夫婦円満・何事にもカツ 鰯越後(いわしえちご) しこいわしのあたり身を、棒に巻きつけて焼く。ローソク焼き様の料理。
    桜韮頭(いんきょうちょう)
    蒟蒻玉をすりおろしたものを水で晒す。それを酒、醤油、粉かつお節で煮たもの。 印籠 中空又は芯を抜きやすい材料に詰め物をした料理。
    カブなどのように包丁等で中の空間を人工的に作ったものに詰め物をするのは「射込み」になる。腰に下げる昔の小物入れ「印籠」が名前の由来。 煎り酒盗 塩辛を煎って裏漉ししたもの。刺身と和えて小鉢などに。また、「煎り鯛、煎り鯉」と同じように作ったものは「煎り鰹」

    料理用語集TOPへ
  • あ行 「う」

    魚鋤 (うおすき) 魚の鋤焼き風なべもの。「沖すき」とも言い、天ぷらを用いれば「天すき」
    ・新鮮な魚介を醤油味の調味液に漬けておく
    ・漬け汁を出汁でのばした汁を鍋に張り火を入れる
    ・焼き豆腐、しらたき、葱、白菜などの野菜類と、漬けておいた魚介を少しずつ煮ていく
    ・薬味は好みで山椒や唐辛子 魚煎餅 白身魚のすり身を片栗で叩きのばして揚げる。酒肴や茶受け、椀種にする。 魚素麺 白身魚のすり身(しんじょ地)をそうめん状に作ったもの。「ぎょぞうめん」と読む場合もある。すり身に卵黄、またはウニや茶、梅で色・風味をつけてもよい。 魚麺 麺に調理した魚を添えて供するもの。
    まず魚の中骨(主として白身魚)で煮だし汁をとる。次に魚の身を「揚げる」「焼く」「煮る」「蒸す」など調理。魚の煮だし汁に調味を加え、めんつゆ味にする。(温・冷によって味の濃淡を加減する)茹でた麺を器に盛り、魚を添えてつゆを入れる。
    ※温麺料理が主だが、冷やしてかけ汁にしてもよい。 魚麩 魚のすり身に麩を加え調味したもの。椀種や煮物に使う。 浮かし 主に吸い物の浮き実のこと 浮き粉 グルテンを除去した粘りの弱い小麦粉デンプンのこと。かんしょ澱粉を代用した物が多く、小麦粉製を「本浮き」という。すり身に混ぜる他、かまぼこの増量、菓子の材料に。 鰻作 ウナギとキュウリの酢の物である。土佐酢や三杯酢で和える。三杯酢は甘さをおさえたもの。
    ・白焼き・蒲焼のウナギを小口に切る
    ・胡瓜は小口に刻んで塩もみ
    ・両者を合わせ酢で和え、針生姜を添える 宇治 粉末茶を利用して色や風味を加えた料理。 献立名に「宇治」もしくは「挽き茶」「抹茶」をつける。“宇治仕立て”、“挽き茶仕立て”、“抹茶仕立て”など。代表的な「宇治仕立て」は汁物である。 「潮汁(うしおじる)」「潮仕立て」「潮汁仕立て」とも言う。魚介類の鮮度と持ち味をいかした吸い物である。使用するのは鯛、スズキ、甘鯛、キス、ハマグリなどだが、この料理の代表はマダイの頭を使ったもの。ダシは使わず、昆布のみを入れた水で魚介の煮だし汁を作り、沸騰する前に昆布を取り出し酒と塩で調味する。春の「タイ潮」は椀の材料がほぼ決まっており、「吸口は木の芽」「つまはウド」そして「椀種は桜鯛」である。 薄板 魚肉を包んで鮮度保持、あるいは下に敷いて水切りしたり、鍋の底に敷いて張り付きを防ぐ用途に使う。また、落し蓋代わりに煮汁の上にかぶせたりする、杉やヒノキを薄く紙状にした板のことで、「経木(きょうぎ)」ともいう。 薄墨(うすずみ) 蕎麦湯のことを薄墨という。京都御所がこの語の起こり。 蕎麦湯(そばゆ)とは蕎麦を茹でるのに用いた茹で湯であり、蕎麦を食べ終えた締めに蕎麦つゆと割って飲むものである。つけ蕎麦を注文すると蕎麦湯が湯桶で出てくる。 埋み火焼き 埋(うずみ)とは火鉢や炉の炭火のことである。 灰をかぶせる料理を「埋**」と呼ぶようになった由縁。 豆腐を和紙で包み、熱灰に一日ほど埋めておき、それをみりん醤油で煮た「埋豆腐」が代表。
    これとは別に、薄味で煮た豆腐を器に入れ、その上に熱いご飯をのせて、餡や吸地をかけ、おろし生姜を天にのせる料理も「埋豆腐」または「埋飯」という。「埋粥」という献立もある。
    また、大分には「埋味噌」なる魚の焼き味噌がある。 薄雪 けずり昆布の一種。昆布を酢溶液に漬けて柔らかくして薄く削る。「太白おぼろ」や「とろろ」と同じようなもの。汁物の実に使ったり、前菜加工に。 打つ 1 切る (薄打ちなどと言う)
    2 粉をつける、練る、延ばす
    3 串を刺す 打ちもの 「千切り」や「みじん切り」など、包丁でまな板を叩くような切り方をすること。その材料。
    「打ち葱」「打ち茗荷」「打ちはじかみ」など。 打ち物 焼きみじん粉に砂糖を混ぜたものを、模様の掘ってある型に詰めて、固めて打ち出した和菓子。 うねり 包丁技法の一つ。さざなみ切りよりやや波の間隔が大きい。 うねり串 「踊り串」(海魚)「のぼり串」(川魚)とも言う。魚を姿焼きにするときの串の打ち方。 頭と尾を立てて泳いでいる姿を表現する。下身の目の周辺に串を刺し、中骨をくぐらせ尾の下あたりに串を出す。安定するように添え串をする。 卯の花 卯の花は「おから」のことである。豆腐を作るときの副産物で豆乳のしぼりかす。 「から」という言葉を嫌い、「うのはな」「きらず」と呼ぶ。うの花とは初夏の「ウツギの花」で、「きらず」は包丁の必要がないという意味。「卯の花飯」「卯の花ずし」「卯の花漬け」「卯の花汁」などの献立がある。 卯の花和え 卯の花の代表的献立で、「雪花和え」「「吹雪和え」「からまぶし」などの別名もある。
    塩と酢で締めたサバ、アジ、イワシ、コハダなど青物と相性が良い。
    おからを水漉しにしてくさみを抜き調味して甘味をつけパラパラに炒り上げて完全に冷まし、酢締めにしたアジ等を適当に切る。冷めた炒りおからと魚を和える。合わせるのは野菜の炒め煮など色々。 梅椀 梅椀は、和食のメインになる「椀盛」の代表的な献立。
    五種類の椀種を大ぶりの椀に盛る。
    塩茹での才巻海老、だし巻き(又は湯取り卵)、鯛の塩焼(又は鶏のササミ)、椎茸、梅人参、青みの鶯菜や春菊などを薄味でそれぞれに煮含めておき、椀で盛り合わせる。
    吸い地を張って口に柚子や木の芽を。それぞれの種の特徴に合った煮方をし、出来るだけ素材をいかす、形を残すような包丁をしておく。 梅醤(うめびしお) 砂糖を加えた練り梅。和え物、酢の物に使用する。
    梅干しを水に浸けて塩抜き茹でて煮詰めて裏漉しする、あとは弱火にかけて練り、砂糖を加える。 裏白 しだの葉。餅飾りや、料理の掻敷に使う。 裏白揚げ 紫蘇の葉、菊葉、椎茸、海苔等の裏側を白く揚げる天ぷらの揚げ方。 裏肉 「裏打ち」とも言う。生椎茸の裏に魚、鶏、卵等をつけて揚げること。椀種、煮物にも用いる。 鱗切り(うろこぎり) 「裏打ち」とも言う。生椎茸の裏に魚、鶏、卵等をつけて揚げること。
    椀種、煮物にも用いる。 雲州和え みかんを使った和え物。 みかんを袋からだしてほぐし、酸味加減に合わせて軽く調味したものを他の材料と和える。他の材料とは、立塩でしんなりさせた野菜や、さらに酢をしたもの、酢洗い又は酢締め、昆布締にした魚介などである。みかんが絡みにくい時は大根おろしを加える。 雲仙和え ウニ豆腐を衣にした和え物である。ウニ、絹豆腐をそれぞれ裏漉し豆腐は水切りしておき薄味の調味して合わせそれを魚介や野菜を和える。 雲片 炒めた野菜をあんかけした「普茶料理」である。

    料理用語集TOPへ
  • あ行 「え」

    衛生 衛生=栄養の意味である。卵を指す事が多い。
    1 衛生酢 卵白を泡立て、吉野酢(甘酢)に加える
    2 衛生椀 野菜の汁物に卵を加える
    3 淡雪羹のことを衛生かんという(卵白を使うため) えごみ 「えぐみ」とも言い、野菜の刺激物であるアクのこと。根芋、竹の子、わらび、ずいき等に顕著。
    竹の子は米ヌカ、わらびは灰汁、根イモ・ずいきは焼きみょうばん。他の野菜は水または酢水・塩水に浸けて抜く事が多い。 液糖 粉末糖よりも低コストの液体砂糖。結晶化、分蜜、乾燥などを省略できるため固形糖より安い。グラニュー糖を溶解したもの、ファインリカー、転化糖型、異性化糖型、混合型などがある。 液全卵(えきぜんらん) 加工卵の一種である。 通常は生であるため泡立ちがよく、スポンジやパウンドに使われる。高速の「自動割卵機」にてほぼ自動的で製造され、卵の殻が14%混ざっているが、フィルターを通し殺菌されている。冷凍したものは「凍結全卵」という。他に「液卵白」と「液卵黄」があり、値段は「液卵黄」が高い。それぞれに「乾燥品」「生冷却品」「冷凍品」がある。
    卵と同じように使用でき、コストは低減できる。しかし、いずれも製造過程での「加工」が多いため味覚が生卵にはおよばず、一般の料理屋で使用する例はほとんどないが、大手やチェーン店では使用しているところが多い。 えぐ芋 「青芋」とも呼ばれる里芋の一種。小芋専用品種であり、関東より南で栽培される。大きくて上部が青いのが特徴。親芋や葉柄にえぐみがあるので、 えぐ芋と呼ばれる。野趣に富んだ味とも言えるので、自然派、野菜好きに向いている。里芋は大別すると「葉柄を食べるもの」と「芋を食べるもの」の2種類がある。「芋を食べるもの」はさらに3種類に分けられる。親芋のみを食べるもの、小芋のみを食べるもの、親も子も両方食べるもの、この3つである。
    この中の「小芋だけ・・」のサトイモが「小芋専用品種」である。この種で有名なのが「石川芋」で、「石川小芋」という。小芋にはさらに孫芋もつく。 エゴてん 福岡名物「おきゅうと」の原型である越後の「エゴ練り」のことを「エゴてん」または「エゴこんにゃく」という。海藻のエゴノリを煮溶かして冷やし固めたもの。 江戸前 徳川末期の19世紀(1810年頃)から使われた言葉。隅田川から羽田辺までを江戸前の海と考えた。東京湾で取れた新鮮な魚の意であるが、漁獲量減少で、現在は東京風の料理を指す言葉に。 江戸雑煮 東京湾の車海老を使い「腰が曲がるまで」と祈願を込める。
    才巻(車海老)を酒塩で茹で、焼き餅、浅草海苔を色紙に切ったもの、小松菜、小田原蒲鉾、椎茸などの具を椀に盛り、すまし汁を張る。最後に柚子皮を浮かべる。
    車海老の代わりに鶏肉を使う地区や、「酒だし」を使うところもあり、場所によって、家庭によって少し異なっている。 江戸甘味噌 江戸時代から東京地方で造られている赤色の甘口米味噌。
    大豆を使うので濃い赤褐色に仕上がる。
    米麹が多いため甘さが際立つ。
    近年は粒味噌が減り、こし味噌が多くなった。 越後味噌 新潟県の米味噌で赤色の辛口味噌。粒味噌である。
    米どころ新潟らしく精白丸米を使用し、米麹が残って見えるので別名「浮麹味噌」という。 海老芋 京都の名物料理「芋棒」に使われることから広く知られるようになった「親、小芋兼用品種」のサイトモである。「くじょう芋」とも呼ばれる。さらに「西京芋」「京芋」と呼ばれることがあるが、京芋は正確には筍芋のことであり別種。粉質で煮ると粘りが出る。芋棒には専用に栽培されている海老芋を使う。 海老真薯 しんじょに、エビの身を加えたもの。
    エビをすり身にして混ぜるものと、粗く叩いて混ぜるものがある。いずれの場合も通常はつなぎを加える。取り分けて「蒸す」「揚げる」「茹でる」などして姿をきめる。揚げたものをそのまま盛る、椀種、焼いて口代わりなど。 海老煎餅 包丁で叩いた海老肉に片栗粉を打ち、平らにして揚げる。「魚せんべい」の一種であり、香川県で盛んである。菓子の「えびせんべい」は名古屋の名物。 海老素麺 筒で湯に押し出す魚素麺に、海老の身を使う。えびのみではアクが出るので、しんじょうを加える。 海老味噌 練り味噌に海老の刻み身を入れる。火の入れ方はいくつかあるが、炒ることが多い。 海老の棒揚げ 腹側に包丁し、黄身衣で棒状に揚げる。九州島原の由来とされる。 海老殻出汁 鬼殻を、玉ねぎや香味野菜で水からゆでて漉し、煮物、椀つゆ、スープに用いる。
    ※アメリケーヌソースと類似するが関係はない。
    ※鬼殻とは海老の外殻(から)のこと。頭部に鋭いケンがあるので鬼殻という。 えびす 「えびす」は南瓜の品種名である。最も一般的な黒皮栗種を「えびすかぼちゃ」という。日本カボチャではなく西洋カボチャであり、甘味があり粉質で美味しいことから、今売られているカボチャの殆どは黒皮栗。同種には「みやこ」「栗あじ」「九重栗」「宿儺かぼちゃ」、高級カボチャの「大浜みやこ 」がある。 烏帽子切り 筒状の材料を小口に切り、それを斜め切りにする包丁。昔の帽子「烏帽子」に似ているのでこの名前で呼ばれる。 延命袋 油揚げに、豆腐、木耳、椎茸、人参、ひき肉など沢山の具を詰めて干瓢で口を結び、それを甘辛の煮汁で煮含める。この料理を「宝煮」と言い、別名「延命袋」である。
    「包み」「巾着袋」「きんちゃく煮」「福袋煮」などとも言う。 延命楽 『延命楽』は、赤紫色系統の食用菊である。品種は「かきのもと」「おもいのほか」「もってのほか」など。
    食用菊は主に黄色系の「阿房宮」や「金松葉」、夏菊の「蔵王菊」がよく知られる。
    色によって味が異なることはないが、赤紫になる色素に何らかの栄養効果があるのかも知れない。食用菊は山形県の名産で、延命楽のほか黄色系では「寿」「岩風」などがある。また山形だけではなく東北地方一帯で栽培が盛んであり、青森や新潟産なども多い。菊の香りが著しくシャキシャキ感のある花弁を食用とする。さっとゆがいて、酢の物、汁の実、漬物などにする。天ぷらは萼付きで揚げるとよい。

    料理用語集TOPへ
  • あ行 「お」

    追肴 追加料理のこと。通常の場合は無用である。強肴(進め肴)は献立内であるが、追肴は献立外。事情により追加をする料理のことで、一般的ではない。 追い鰹 「差しガツオ」「引き出し」とも言う。あたりをつけた(味付けした)煮汁に、さらに鰹節の旨味を加えたい、調味料によらず味を濃厚にしたい(例として塩分を減らしたい等)、そういう場合に行う手法である。 桜花真薯 エビの紅色を桜花にみたてた料理。
    ・白身魚をすり、しんじょを用意する
    ・エビを塩を加えた湯で色よく茹でる
    ・茹でたエビを料理目的に合わせ細かくする
    ・しんじょと刻んだエビを混ぜ合わせる
    ・型取って蒸す  椀種、煮物、口代わりに。 扇串 「末広串」とも言う。 扇の骨組みのような格好で数本の串を刺す串打ち。
    小魚をまとめて焼くときや、鰹の節などを焼き霜(たたき)にするときなどに使う串の打ち方である。まず中央に打ち、次に左右を決め、それで安定しないときは中央と端の中間に1本ずつ打つ。通常はこの5本で安定するが、ケースによって増減する。放射状になるため手元が狭くなり、ここを持つだけでよいので片手で扱える利点がある。 桜花漬 「桜の花漬」(さくらのはなづけ)のことである。八部咲きの八重桜を摘んで塩漬けにしたもの。梅酢のクエン酸を利用して色と香りをよくする。長期保存のものは、さらに干してある。結婚式などの祝膳に出す「桜湯」に使う他、吸い物や製菓などにも使用する。 黄飯(おうはん) くちなしの実で色付け、塩味で炊いた黄色いご飯。
    赤飯の小豆代わりにクチナシを使ったものと伝わり、大分県の郷土料理でもある。
    禅宗でよく用いられる。 おうな 鰻丼のことをさす女性用語。 大草流 大草三郎(足利将軍家の司)が定めたという調理法、食事作法。四条流と同じくらい古く、室町時代頃に始まったと云われる。日本料理刀流のひとつ。 大串 特大の蒲焼うなぎ。 大阪漬け 大阪特産の漬物のこと。切り漬けと浅漬けが多いのが特徴。 大阪ずし 関西地方で作られる伝統ずし。「上方ずし」とも言う。「押しずし」「蒸しずし」「鯖ずし」「関西ちらし」「太巻き」などの総称である。総じてすし種に加工を加えてあり、すし飯が甘い。保存を重視し、味が濃厚になったと思われる。 大星 大きな貝柱のこと。
    二枚貝の貝柱は大きなもの、小さなものが二箇所あり、大きな方の貝柱を大星と呼ぶ。また、「大柱」(おおばしら)とも言う。あるいは「男星」と呼ぶことがある。アワビの柱も大星と呼ばれる。小さいほうが「小柱」(こばしら)である。 大村ずし 長崎県大村市の郷土料理。
    昆布で炊いた濃厚なすし飯に、魚介や野菜を加えて数段に重ねるもので、最上段は錦糸卵を飾り、木の芽や柚子皮を散らす。 おかあげ 「生あげ(きあげ)」とも言う。茹でたり煮たりしたものを、水に浸けず、ザルにあげて汁を切ること。自然に冷ます。 おかか 主に関東で「かつお節」をさす女性用語。削りかつお節で煮たものが「おかか煮」 お数 「菜(おかず)」の字を当てることもある。主食を米飯として、飯に合う副食すべてをさすので「総菜」とも言う。古くは主たる菜を真菜といい、これは魚のことであり、野菜のことを蔬菜という。関東では「お惣菜(おそうざい)」大阪、京都では「大晩菜(おばんさい)」(京都では夕餉以外は「おそよ」) 岡辺 九州方面で「豆腐」をさす言葉。 お亀 季節の菜を合わせた、かけ蕎麦。 陸混ぜ(おかまぜ) 水気をきった食材を、異なる食材とあわせること。 陸盛り(おかもり) 汁を張る前に実を入れる。主に椀盛で使う手法。 沖料理 漁師料理である。
    港で振舞う「浜料理」に対して、漁師が船上で賄いに食べる料理を沖料理といい、そこから派生した献立のこと。 沖鱠(おきなます) 船上で釣れたての魚をなますにしたのが始まり。この場合のなますは「生食(刺身)」だと考えてよい。昆布の味を移す「昆布なます」などもあるが、有名な「たたき」がこの料理の代名詞になっていて、別名「たたきなます」とも呼ばれる。魚の身を細かく刻み、葱、生姜、茗荷、大葉などの薬味と味噌を加えて混ぜ、さらに包丁で叩く。 沖汁(おきじる) 狭義には新潟県佐渡の沖料理であるが、広義には「漁師風汁物すべて」を意味している。佐渡の郷土料理である沖汁は、ぶつ切りにした魚を煮て醤油味だけで食べる素朴なもので、魚の鮮度がすべてである。広い意味での沖汁は味噌味にするのが多い。 興津鯛(おきつだい) 「興津干し」とも言う。
    静岡県で穫れた赤アマダイを塩干したものである。頭も尾もつけたまま腹開きにして、ウロコつきのまま干す。駿河産の赤甘鯛を、「興津局(おきつのつぼね)」が家康に献上したことから、この名前で呼ばれるようになったとされる。 とろろこんぶ(白髪こんぶ)を祝事に使う場合こう呼ぶ。 以下の様な献立がある。 翁造り(おきなづくり) 酢でしめた魚のつくり身に、おぼろ昆布やとろろ昆布をまぶしたり巻いたりする。 翁蒸し(おきなむし) とろろ昆布(又は白髪大根)を器に敷き、上に魚の切り身をのせて蒸しあげる。 その他「おきな揚げ」や「おきな焼き」などもある。 お切込 群馬県の煮込みうどんのこと。
    手打ちの生うどんを、野菜汁や味噌汁に直接入れて煮込む。 沖縄料理 沖縄の料理は15世紀に成立した琉球王朝の「宮廷料理」の形式が伝承された「琉球料理」と、もともと庶民が食べていた料理が宮廷料理と融合して出来た「沖縄料理」に分けられる。沖縄の豚は味が良く、余すところなく料理にするのが特徴である。イリチー(炒めもの)、ンブシー(煮物)、アンダギイ(揚げもの)、シンジムン(汁物)、ウサチ(酢の物)、ジューシー(ご飯物)、そしてラフテーにチャンプルー、沖縄そば。こうした料理に何らかの形で豚肉を使用。
    豚の耳から足先まで使う。注目すべき料理は豚を使わない色の濃い野菜や海藻など海産物の料理である。特に昆布を多用して食べている点など。17世紀には日本の料理も導入し(薩摩支配の影響)、アジア風、日本風がミックスした独特の沖縄料理が出来上がった。
    「長寿食」であると喧伝されたが、一言申しておけば今の沖縄料理に欠かせない「豚肉」が長寿の元ではないので誤解してはいけない。長寿の元は甘藷(さつま芋)を主食にした「粗食」なのである。さらに、戦後になって牛肉も好まれるようになり、「長寿県」の名を返上せざるを得なくなっているようである。心ある人々が伝統を残そうと努力しているものの、凄まじい「西洋化」が人々の舌を変えてしまった。
    加えて「チャンプルー文化」といわれる沖縄人のおおらかさが何もかも受け入れ、結果として昔の料理が消えていく。これは和食の未来をも暗示しているであろう。 小倉 小豆(あずき)を使った料理を「小倉***」と呼ぶ。小豆の色を京都小倉山の紅葉に見立てたもの。「小倉煮」「小倉かん」が代表的。 お事汁(おことじる) 事始め(1月8日、2月8日)に作る水戸地方の郷土汁。焼き味噌で仕立てる味噌汁である。人参や牛蒡などの野菜に加え小豆も入れる。 御強(おこわ) もち米を蒸したもの。もち米は強飯(こわめし)と言い、その女性用語が「おこわ」である。今は祝事に使う小豆ともち米の『赤飯』をさす事が多い。 お座付き 日本料理前菜のこと。(席に着くと同時に出すので前菜より先)お通し、突き出しと、ほぼ同じ意味。主に祝事の席でこう呼ぶ。 折敷 懐石で使う足の無い膳。
    折敷という名は、紙を折って敷いたものを御膳代わりにした事に由来する。 お酢文字 「すし」を意味する女性用語。 お供え 【お供え餅】を略してお供えと言う。
    円形の餅を二た重ね、三重ね、五ッ重ねしたもの。 おたぐり 信州南部で腸料理のことを意味する。 小田巻 「小田巻き蒸し」は、茶碗蒸しの具にウドンを使ったもの。略してオダマキと言う。小田巻きは当て字であり、正確な表記は分からない。由来も正確には分かっていない。ただ、次の説が有力である。「苧環(おだまき)とは、麻糸を紡いで輪にしたもので、これをうどんに見立てたものである」伝説に近い説として、「静御前の衣に見立てた」というものもある。 落鮎 年魚のアユは、上流で産卵を終えた秋頃川を下り寿命を終える。その下っていく秋鮎を落ち鮎と言う。身がサビ色に変化するので「さび鮎」とも呼ぶ。 御田(おでん) 「田楽」の略称が「でん」、その女性用語が「おでん」豆腐田楽が徐々に変化して煮込み料理になった。転じて「煮込み田楽」の略称となっている。肉類、練り物、いも類、大根、ちくわ、こんにゃく、たまご、昆布などを具に、たっぷりの煮汁でじっくり味を入れていく、煮物とも汁物とも鍋物とも断言し難い料理。関東では濃厚な汁、関西では薄味の汁であり、関西ではおでんの事を「関東煮」と言う。しかし今では濃い色の関東煮は蔭を潜め、薄い色の関西風おでんが主役となりつつある。 お出花 お茶のこと。 落とし芋 椀種のひとつ。山芋をおろして塩味で調味し熱い椀に落とす。 落とし蓋 鍋より一回り小さい木蓋。金属、紙、アルミホイル、その他で代用する事もある。
    ・材料が踊らず煮崩れしない
    ・材料が浮かないので少量の煮汁で全体に味が回る 落とし油 銀杏を茹でる時に油を一滴さす。通常よりも柔らかに茹で上がる。 鬼殻焼き 伊勢えび、車えびを殻付きで焼いたもの。「具足焼き」「よろい焼き」とも言う。 エビを姿のまま背から割って背開きにし、串を打って焼く。みりん醤油に山椒などを加えたタレでつけ焼きにする。 大原木(女) 同じ意味。細い材料を束ねて結ぶこと。
    京都の大原女が、頭にのせて運んだ薪に似ていることから、こう呼ばれるようになったという。マッチ棒様の材料や、千六本や細拍子木に切った材料を複数並べて、干瓢や三つ葉等で中央から結び、薪のように束ねる。 大原女造り・大原木造り・たばね結び キスやサヨリの昆布締め、白魚やイカなど。厚みをそろえ、長さも5センチほどに揃える。それを数本束ねる。 大原木そば 同様にして蕎麦を数本束ねたもの。 荻の花 お萩、ぼたもちのこと。 朧(おぼろ) 海老や白身魚を茹でて身をほぐし、弱火で煎る。調味は塩、みりん。細かい朧にするときは当たってから炒る。食紅で色をつけたものが「田麩(でんぶ)」 おまじり 三分粥(水20倍)を炊いて重湯を作りその重湯にお粥を少し混ぜ入れる。病人食や胃を慣らす回復食によい。 親子 魚とその魚卵、鶏と卵を併せて使う料理を親子と言う。 お蒸し 味噌を女性用語でお蒸しと言う。 織部 織部焼独特の緑釉のような青み(緑)の色彩を表現した料理を織部と言う。和菓子では有名な織部饅頭がある。料理の代表は「織部豆腐」・水切り豆腐を円筒形に抜き、油でじっくりと炒める・これを四つ割りにし、だし、酒、醤油で煮る・刻み胡桃、針山葵、茗荷、浅草海苔を添える 温泉卵 鶏卵の凝固温度は白身と黄身で異なる。卵黄の方が低く、茹でると早く固まる。この性質を利用した茹で卵が温泉卵である。熱めの温泉湯で茹でた卵の形状からの名前。黄身が半熟状に固まり、白身はゼリー状のフルフルに仕上がる。65~70度の温度で30~35分茹でるのが一般的手法。薄味のだしをかけて食べる。
    ※「温度たまご」と呼ばれることもあるが、温度卵とは関西方面での料理用語で「半熟卵」の別名であり、温泉卵ではない。

    料理用語集TOPへ
  • か行 「か」

    掻敷(かいしき) 料理の下に敷く、木の葉、紙、笹の葉等。花鳥風月などを表現した細工野菜なども含む。「改敷」「皆敷」の字を当てることもある。植物の葉を使えば「葉掻敷」葉以外の部分も併用する場合は「青掻敷」紙を敷けば「紙掻敷」 掻式 松竹梅を形どった料理、三掻式のこと。おめでたい席で使う。 懐石 元は禅の修行僧が寒をしのぐために懐に入れた温石の事。後に粥になり、茶道が始まると軽食をさす言葉に変化。つまり懐石料理は茶事で供される料理が原型である。
    たんに懐石でもよいが「会席」と混同せぬよう、発音する場合は「茶懐石」と言う。
    まず一汁三菜。三菜は「向付」「椀盛」「焼き物」汁は味噌仕立て。柔く炊いた飯は一文字、丸型、山形。これに箸洗い(小吸物)と八寸。最後に香の物と湯桶が出る。
    以上が定石の懐石である。
    もてなし料理の意味合いが濃い場合は箸洗いの前に「強肴」を出す。季節の素材を淡白に味付けし、香りの強すぎるものや油がありすぎるものは使わない。椀と向付以外は取り回しが決まりなので、焼き物にしろ、煮物にしろ、客の手間が掛からぬように仕上げておく。魚は小骨まで取り除き、褄折りにて焼くのがよい。 会席料理 懐石を崩した宴会、集会料理である。
    江戸時代に俳人が集まる席を「会席」と呼んでいたことが由来とされる。もっぱら酒を楽しむための料理であり、最初に出るのも酒。料理は一汁三菜(吸い物、刺身、焼き物、煮物)に、お通し、揚げ物、蒸し物、酢の物など。最後に飯と味噌汁を出す。構成は自由であり、宴席の目的によって変える。本来はデザートである水菓子も付かないが、出すことが多いようである。会席各料理を点心に仕立てて小さくまとめ、弁当にしたものが松花堂弁当。 皆具 真塗(漆塗りの黒)の懐石道具。
    通常は真塗を使うが、家元が茶事を行う席では朱塗りを使うことが多い。 海藤花 真ダコが海藻や蛸壺に産みつけた卵。瀬戸内ではこれを塩漬けにしている。
    房状の卵は藤の花に似ており海藤花と呼ばれる。種、酢の物などに。 開炉 11月頃に行う茶の行事。
    茶事では5月から10月を「風炉」とし、11月から4月が「炉」である。風炉から炉に変わったおりに開炉の行事がある。 貝塚煮 材料を下茹でしないで淡煮にする。
    塩と味醂で味付けする「煮びたし」の一種。 貝取り つみいれの手法のひとつ。
    すり身を濡らした小さい器でとり、熱湯に落とす。こうすると涙滴型に固まり、貝の形と似せることができる。 掻き身 (1)白身魚のそぎ身
    (2)かき身造り
    中骨、サク・節の端などの余り身を包丁の峰や匙でこそげ取り刺身にする。正式には使えないものなので、ひと工夫して前盛りなどにする。 柿卵 鶏卵や鶉卵を茹でて色をつけ、柿に見立てたもの。
    昆布や木耳を細工してヘタにして楊枝等でとめる。前菜やあしらいに使用する。 覚弥(かくや) 覚弥は、たくあん(古漬け)を塩抜きして調味したもの。
    「隔夜」、「覚也」とも書く。
    江戸時代の人岩下覚弥の考案。覚弥は沢庵和尚の弟子であり、沢庵漬けを工夫したものだとも云われる。 覚弥和え(かくやあえ) 酸味の出た古漬けを塩抜きして細く刻み、酒、醤油、針生姜で和えたもの。 隠し (1)隠し包丁(かくしぼうちょう)
    ・材料を過熱する際に、盛り付け裏になる側に切れ目を入れておき、火が入りやすくする。※表側に包丁するのは「飾り包丁」になる。
    ・魚を水洗いするときに、下身側(盛り付け裏になって見えない側)に包丁を入れてワタを出し、そこから血合いなどを洗い流す。このへんを切れば表から見えない隠し包丁になる。
    (2)隠し味(かくしあじ)
    甘く仕上げる煮豆などに少量の塩を加える。このように食べても分からない調味をすることを隠し味という。その料理や材料の旨さを際立たせるのが目的。 霞汁 すり流し汁の白味噌仕立て。まず魚のすり身を出汁でのばしそれを白味噌で調味する。 割烹 割は包丁で裂く事、烹は火を入れ煮る加減。日本料理を出す店を割烹店、割烹屋と呼ぶ。
    常米に一割以下を混ぜて炊くのが一般的。 紙塩 和紙を利用する塩締のやり方。霧を吹いて濡らした和紙で魚介や肉を覆い、その上から塩をする。極めてソフトにデリケートに仕上げたいときに用いる方法。どちらかと言えば高級な材料でやることが多い。 紙鍋 燃えない紙を鍋にして作る鍋料理。その特殊な紙容器。耐熱加工と水漏れ防止をしてある紙を鍋のように型取り、土鍋代わりに材料を入れて火にかける。独特の演出効果を狙ったものである。鍋の形にするのは金網であり、そこに紙を嵌め込んで鍋にする。
    加工してあっても紙には変わりないので注意が必要である。材料は煮えやすいものを使い下茹でしておく。固い材料は使わない。また、カニの殻やエビの頭や尾ケンなど鋭いものを入れると破ける恐れがあるので使わない。火を他人(お客)に扱わせる危険度を充分に考慮して使う必要がある。 要するに、これで出せる料理はある程度決まってしまう。 唐草 材料を唐草のように見せる包丁技法。刺身に施したり、野菜に施して造りや和え物等に。
    (1)唐草大根
    飾りづまの一つ。
    ・大根の根葉から葉を除いて茎だけする
    ・茎の長さを10cm程度にそろえる
    ・包丁を40度程度の角度で寝かせ切り込みを入れていく
    ・縦にして薄く切り離し水に浸ける
    (2)唐草造り(からくさづくり)
    ・イカや赤貝に縦二ミリ程度の間隔で切込を入れていく
    ・斜め横にして包丁を寝かせて切り込んでいく
    ・これを湯に通すか炙るかして霜降りにする
    ・冷水に放したあと水を拭き取る 空蒸し 「素蒸し」とも言う。
    仕上げの蒸しではなく、下処理段階で蒸すこと。
    下茹でで旨味を逃したくないときや、水っぽくなるのを避けたいときに空蒸しを行う。
    通常は何も下味をせずに蒸すが、クセを消したい材料は酒をふってから蒸す。 唐芋転がし 鹿児島の料理で、さつま芋を甘煮にする。
    ・薩摩芋の皮を厚めにむく
    ・小口に切って水に放つ
    ・鍋に水を張り黒糖かザラメを適宜
    ・水からゆっくり煮ていく 辛子揚げ ・卵黄に溶き芥子を混ぜ込んで衣を作る
    ・淡白な材料(白身魚、えび、いか等)に粉を打つ
    ・からし衣につけて揚げる 皮鱠(かわなます) 「皮ざく」とも言う。ハモ皮とキュウリの塩揉みを混ぜたものが代表。 皮霜 魚の皮を食べられるように作った刺身。
    一般的に、旨い魚は皮と皮目も美味しいものである。しかし多くの場合生だと皮が口に残って食べづらい。そこで皮にだけ火を入れて食べやすくしたのが「皮霜」である。 皮霜作り ・皮にだけ熱湯をかけて縮ませ冷水に取る
    ・水気を拭き取り刺身に切る
    食べやすくなるだけでなく、皮下脂肪が流れ去り臭みも抜けるので、さっぱりと淡白になる。「湯引き」「霜作り」とも言う。 皮作り 皮も味わう刺身の作り方である。
    (1)皮霜作り
    (2)焼き霜作り
    皮だけを直火で炙って冷水にとる
    (3)銀皮作り
    霜をふらず、そのまま皮ごと切る
    (引きかけ切りなどで口にあたらぬようする)
    (4)共皮作り
    皮を引き、皮のみを霜降りにして細く刻む。その皮を刺身の上にのせる、あるいは添えて出す 川千鳥 スッポンを種にした椀のこと。 替り鉢 一汁三菜の内容を代えた献立。
    ・煮物を蒸し物に
    ・焼き物を揚げ物に
    この場合の「蒸し物」「揚げ物」が替り鉢である。 丸(がん) 材料を団子のように丸めること。つぶして調味した魚や肉を小さく丸める。
    こうして材料を丸くすることを「 丸(がん)にとる」と言う。 岩石 ●岩石卵(がんせきたまご)
    ・固ゆで卵を荒みじんにして塩、砂糖で調味する
    ・それを簾で巻いて蒸し、さまして小口切り
    ●岩石豆腐(がんせきどうふ)
    ・木綿豆腐を水切りして粗く崩す
    ・それを煎り豆腐にする
    ●岩石卵豆腐(がんせきたまごどうふ)
    ・南瓜を荒く切り薄味で下煮する
    ・茶碗蒸し地に南瓜を加えて蒸す 観音開き 魚や肉を厨子のような両開きの扉(鏡台や洋服箪笥などを思い起こされたし)
    ふうに包丁すること。厚い身を広げて面積を大きくする、または厚みを均一にするのが目的。他に、中に別の材料を入れて閉じるという用途にも使える。
    ・縦中央に切り込みを入れ途中で止める
    ・止めた箇所から左右に切り開く 甘露煮 艶と照りを出して柔らかく煮あげた甘い煮物。
    水飴を沢山使うため「あめ煮」とも言う。
    鮎、鮒、鯉などの川魚を使うことが多く、こうした魚は砂糖と味醂では身が固く締まってしまう。水飴を使うとコーティングになり甘味が内部に浸透せず外側はツヤと照りが出る。煮る前に素焼きか風干ししておく場合もある。また、臭み抜きに酢や番茶を加えて煮ることもある。栗、きんかん、柚子、梅などを甘露煮にするときは砂糖蜜を使う。 かっこ 蕎麦掻(そばがき)のことである。
    山梨県で「かっこ」と言う。長野では「たてこ」、青森では「かいもち」・そば粉と熱湯を半々にして、これを混ぜ、練り上げて作る。 皮てんぷら 愛媛県宇和島名物「じゃこ天」(じゃこてんぷら)のこと。
    ヒメジやホタルジャコなどの小魚を皮や骨ごとミンチにして揚げるため黒ずんで見た目はよくないが、栄養豊富で魚の味が濃厚に残り旨い。 寒干し大根 主に新潟県で作られる干大根である。いったん茹でた大根を、小口切りにしてから乾燥させてある。 柿酢 柿の酢で、まろやかでコクがあり和食料理とよく合う。
    柿は渋でも甘でもどちらでもよい。熟したも柿のヘタを取って水洗いし、密閉容器に入れて冷暗所に置いておけばできる簡単なもの。 堅豆腐 「固豆腐」「硬豆腐」とも書く。
    通常の豆腐よりも豆乳の濃度を濃くして、生しぼり法などで作る木綿豆腐である。
    味が濃いのが特徴。沖縄県の「しま豆腐」は熱いうちに食べる。他に富山の「岩石豆腐」、石川県白峰村の堅豆腐もよく知られる。

    料理用語集TOPへ
  • か行 「き」

    料理用語集TOPへ
  • か行 「く」

    五目寿司、炊き込みご飯、汁物などに入れる材料。
    ご飯に入れる材料は「加薬(かやく)」とも言う。 食い味 できた料理の味。 喰い合わせ 異なる食品を同時に食べると食あたりする事。 伝承が多く、根拠が薄弱で迷信に近いものもあるが、長い経験の積み重ねから言い伝えられていることで、無視できないものもある。一例として以下のようなもの。
    ・カニと柿 ・ウナギと梅干 ・カニと氷水 ・スイカと天ぷら ・そばとタニシ・生梅と黒砂糖 ・サバと梅の実 ・ハマグリとミカン ・フナとからし菜・生梅と黒砂糖 ・ニラと蜂蜜 喰い切り 会席料理ではこれが主流である。
    すべての献立を一つの膳に載せて出す形式に対して、客の進み具合を見て一品ずつ出す懐石流のやり方。 喰い初め 祝い膳の一種で「箸揃え」「箸染め」とも言う。生まれて120日目の赤ん坊に、一人前(一汁三菜が基本)の膳を揃えて食べさせる真似をする。 喰積み 新年の重箱料理、組重。縁起物だけを詰めてお客に出すものであった。現在はおせち料理に吸収された感もある。 空也 平安時代中期の僧である「空也上人」は独特の念仏を唱えたことで知られる。鉢やひょうたんを叩いて踊るというもの。この様子が人々の記憶に残り、料理の名称ともなっている。ひょうたんの形をした「空也最中」や「空也餅」などの菓子類の他、料理の献立にも空也を冠するものがある。 空也蒸し(くうやむし) 「空也豆腐」とも言う豆腐料理である。豆乳を蒸して作り、餡掛けにして露しょうがで食べる精進料理。
    今は、あんかけの茶碗蒸しよりやや固い卵液で豆腐を蒸す簡単なやり方や、お堂に見立てた豆腐を蒸し碗に入れて周囲に色々な具を配置し卵液を張って蒸すやり方などがある。いずれにしても基本は豆腐を中心に色々な具を吸い地よりも濃い汁で下煮して卵液出汁を加え、20分ほど蒸し、葛あんをかけて、生姜や山葵を添えるものである。 釘入り 山陽や淡路島の名産「釘煮」のことで、徳島での呼び方。イカナゴを飴煮にしたもの。その姿が折れ釘の形に似ている事から。 ようじ串、竹串、金串に大別できる。
    調理には主に金串を使い、鯛串、平串、丸串、などの「魚串」の他、うなぎ串、飾り串などがあり、昔は鉄製や真鍮製であったが現在は殆どステンレス製である。木製の竹串やようじ串には、鉄砲串、松葉串、鉄扇串、のし串、田楽串、もつ串などがある。うなぎ串など、金、木、両方ある串も存在する。焼き物以外では「串揚げ」があり、これは主に木製串を使う。 串打ち 主に焼き物にする材料に金串を刺すこと。
    串揚げや焼き鳥、田楽、団子など木串を打つ場合は「串刺し」「串打ち」兼用に使うが、金串は必ず「打つ」と言う。串を打って材料を焼くと、手元で動かせるため取り扱いが便利であり、熱の回り方も丁度良く、なにより材料が崩れることがないので美しく焼きあげる事ができる。串の打ち方は、おどり串、扇打ち、波打ち、並べ打ち、たすき打ち、一本打ち、つま折、わらび串、格子打ち、反り打ちなど10種類以上もあり、家庭の料理と料理屋が作る料理を大きく隔てているのは「串を打って焼く焼物」なので、きちんと串を打って焼くべきであろう。 櫛形切り 材料の切り方の一つ。円形を1/2で半月。半月の両端を切り落とすと櫛形。
    例;レモン
    ①下を1センチ切り落とし、縦中央から二つ割りに切り離したら片方を縦から切り四等分にすれば櫛型。
    ②横から3ミリ厚さの輪切りにし、輪切りにしたものを中央から切り離し二等分にしてその両端を5ミリずつ切り落とせば櫛型。 山野に自生するマメ科ツル性の多年草植物のこと。この根からとった「くず粉」の略称でもあり、くず粉を使う料理の名称に使う。「葛」の古代からの生産地である奈良県吉野地方ではこれを【国栖(くず)】と呼んでいて、それが名の由来だという。吉野のほか、筑前、備前、若狭、伊勢、掛川、越後などのクズが知られるも、やはり吉野産が高名であり、葛粉を別名「吉野」とも言う。1㎏の葛根から生成できるデンプン粉は、わずか100gであり、生産性が非常に低いため高価である。生産量が少ないので市販の葛粉の多くは代替品であり、鹿児島産のさつま芋でんぷんを使っているものが殆どである。
    くず粉の性質はさつま芋デンプンと似ているが、やや糊化温度が低くく、葛独特の風味が出て、粘度は高いが透明度も高い、しかも安定したゲルを形成できる、などの大きな違いがある。そのため高級和菓子や比較的高級な料理に好んで使われる。揚げ物の衣にしても舌触りが良い。 芋デンプンの他、片栗粉が混ざったものや、片栗粉そのものを代用にすることもあるが、ある種の料理は本葛を使わないとうまく仕上がらないので注意すること。
    材料にまぶす(打つ)、水で溶いて熱い調味液に加えトロミをつける、砂糖と練りあげて冷やし固める(和菓子)などの使い方をする。和菓子で有名なものは「葛餅」「葛桜」「葛ちまき」など。
    質の良い葛は小さく砕いても角のある塊状に割れる。 葛餡 葛を溶いてとろみをつける事を「葛を引く」と言い、煮出し汁に調味して葛を引いたものを「餡」という。
    卵黄を加える「金あん」卵白の「銀あん」醤油の「しょうゆ餡」(べっこう餡)
    ※金あん、銀あんは卵を使わない場合もある
    ※高価な葛の代わりに片栗粉を使う事も多いが、その場合でも「葛」と言い、料理名も「葛あん」である 葛打ち 「葛叩き」「吉野打ち」とも言う。材料に葛粉をつけて茹でる。葛粉をまとわせる事で、たんなる湯引きや下煮とは異なるなめらかな食感を持たせられると同時に材料の旨味を封じ込めることができる。片栗粉で代用することが多い。 葛切り 葛粉を薄く固めて細長く切ったもの。酢の物するか、黒蜜、白蜜をかけて食べる。
    1)水で溶いた葛粉を流し缶に薄く広げ、湯に浮かべる
    2)固まったらそのまま湯の中に沈める
    3)透明になったら缶を取り出しそのま水に浸けて冷ます
    4)葛をはがしとり細長く切る 葛鯛 椀種のひとつ。
    鯛の身をむしって当たり、裏漉しして葛に混ぜ込み、魚素麺や、団子のようにして茹でる。 葛取り 北海道の郷土料理で汁物。ご飯に同量の片栗粉を混ぜて団子に作り、茹でる。葱や人参とともに汁の実にする。 葛葡萄 口代わり、前菜にする。
    赤ワインと葛を弱火で30ほど練り、ぶどう粒くらいの大きさに丸め、ぶどうの葉を添えて品よく盛る。 葛寄せ 葛粉を流し固めた献立の総称であるが、「胡麻豆腐」も葛寄せと呼ぶこともある。和食のカテゴリでは「寄せ物」に属する。
    1)水で溶いた葛を漉す
    2)鍋に入れ弱火にかける
    3)静かに煮つつかき混ぜる
    4)粘りが出て半透明になれば練りあがり
    ※材料を混ぜる場合は練り上げた葛に下煮しておいたものを加える。胡麻豆腐、くるみ豆腐の場合は当ったものを先に混ぜてから1~4の手順を行う。
    5)濡らしておいた流し型の水気を取って流し入れる
    6)表面を平らにならす
    7)自然に冷ます
    8)冷水で冷やすか冷蔵庫で冷やす
    9)完全に冷えたら型から出して切り分ける
    ※煮汁は濁るので使わない
    ※本葛の代わりに片栗粉を使うとゆるくなる(片栗粉自体が殆ど芋のデンプンになっている)
    ※材料を入れる場合は葛の2割以内にしておく 具足 「鬼殻」と同じような意味でつかう、エビやカニを殻つきのまま作る料理に冠する言葉。具足とは侍が戦場で使う脛当てのことで、特に伊勢エビの殻がこれと似ている。伊勢エビや大車は背から二つ割にし、カニはぶつ切りか、腹からの二つ割にして使う。
    「伊勢海老の具足煮」は二つ割りにしたものを酒、みりん、醤油でさっと煮て取り出し、汁だけ詰めてその煮汁をかけたものである。この料理は正月料理や祝い膳によく使うもの。「具足焼き」は鬼殻焼きと同じもので、しょう油、味噌、塩、など焼き方は様々。 吸い口の事。お椀ものに浮かべる香気付けである。
    柚子、木の芽、生姜、茗荷、ふきのとう、ねぎ、わさび、溶き芥子など季節にあったものを椀種、つまとのバランスを考えて選び、汁を張る前に天にのせておく。 口替り 口代わりとも書く。
    「口取りの代わり」という意味で、会席料理の中程(向付、吸物の後くらい)に、海、山、里のものを作った料理を少量ずつ取り合わせて、三品から五品を盛って出す。八寸と同じようなもの。甘味の口取り肴は酒に合わないので、折り詰めにして「おみや」とし、その代わりに酒に合う料理を見繕ったのが口代わり。 口取り 儀式料理の「口取り肴」のことである。古式の饗応膳では、熨斗あわび、昆布、かちぐりなど、祝儀肴だったが、徐々に品数が増えて山海の材料を盛り合わせるものに変化した。のちに甘いものを取り合わせたものに変わり、きんとん、伊達巻、二色卵、かまぼこ、羊羹などの寄せ物となった。口取りは会席の献立の一つに入っていたが、この内容ではさすがに他の料理や酒と合わせるのは難しく、「おみや」として初めから折詰めにしてしまい、その代わりに「口がわり」を出す事になる。現在はその口代わりも八寸に収斂している場合が多い。 口切り 茶の行事。
    八十八夜の頃、新茶の茶壷の口を切る。正月献立が組まれ、白味噌仕立ての京風雑煮を出す。 鞍掛 乗馬用の鞍の形にする事。料理では、「材料の切り方」「串の打ち方」「盛り方」に鞍掛がある。
    一説には日本橋馬喰町に鞍掛橋という橋があり、その橋の欄干に馬の鞍をかけて商談をした光景にちなんだ名称だともされる。切り方では、極めて薄く紙のようにへいだ野菜を料理の上にのせて曲げるもの。そして厚めの材料を逆のV字・U字型にする切り方などがある。後者の典型はカステラ状に焼く鮨の玉子焼きに切り込みを入れて握る形である。盛り込みでは、煮物椀の仕上げに、「れん草」、「三つ葉の軸」「貝割れ菜」などを茹でて色止めもしくは浸しにしたものをかぶせるように一文字に鞍掛したりする。 倶利伽羅焼き(くりからやき) 串焼きのひとつ。
    倶利伽羅とは不動明王が右手に持つ、竜が巻きつき炎に包まれた倶利伽羅剣のことを意味する。この剣自体が不動明王の化身とされ「倶利伽羅竜王」などと呼ばれ礼拝される。その剣に似せた焼き物で、鯛のヒレを金串に巻きつけるようにして焼くもの。小さなウナギを巻きつけてタレ焼きにするものもある。儀式の膳など特別な焼き物であり、一般にはあまり見るものではない。 栗名月 月見宴(陰暦9月13日)に供える栗のこと。薄塩にて茹でただけの栗を盛る。 黒文字 ①クスノキ科の落葉低木のクロモジ
    ②その黒文字を材料にした爪楊枝のこと
    ③爪楊枝の別名 黒づくり 黒いイカの塩辛で「墨づくり」とも言う。
    富山県の名産で、加賀前田家は幕府に献上していたと言う。主な生産地は北海道と東北。
    スルメイカの皮を剥き、一般的な塩と肝臓の他に墨袋を加えて黒くする。
    滑川市近辺ではホタルイカの醤油漬け(生きたホタルイカを醤油につけたもの)にスルメの墨袋を加えて作る「ホタルイカ墨づくり」を製造している。 鍬焼き(くわやき) 肉(主に鳥の肉)や野菜を、みりん醤油で味付けして鉄板やフライパンなどで焼く間接焼きの一つ。
    たれを添える場合もある。仏教の影響があり昔は鳥獣肉を表立って家の中で食べるのを避け、納屋の中で農具の鍬とか鋤を焼き鍋代わりにして鳥肉等を焼いて食べていた。これが「くわ焼き」「すき焼き」の語源となっている。

    料理用語集TOPへ
  • か行 「け」

    鶏卵素麺 甘味の一つで、福岡の名産。 氷砂糖を煮溶かした熱い蜜に、卵黄をそうめん状に流し入れて固めたものである。 原型は明治期にポルトガル人が伝えた南蛮菓子だとされる。 化粧塩 焼き魚を飾り、美しく見せるための振り塩。 魚の大きさや状態に合わせて焼く2時間~30分前に塩味をくわせておき、焼く前にいったんくい塩を洗い流して、焼く直前に化粧を振る。このとき同時にヒレ塩もしておく。 化粧水 茹でた麺類は数回水洗いするが、その仕上げの水の事。この化粧水だけは良質の水を使うという店が多い。 化粧笹 すしの盛り込みや弁当に使う笹。
    包丁で切りやすい隈笹を使い、様々な形に「笹切り」して、飾りにすると同時に、笹の防腐・殺菌効果も利用する。※葉蘭を切るものもある笹切りの笹は、大きく分けて「剣笹」「関所」「化粧笹」「飾り物」の4種があり、すし屋が営業に使っていたのは飾り物以外の3種である。(飾り物は手の込んだ美術に近いもので、営業には使わない)
    化粧笹は図柄をこれをすしの上に飾り、お客にすしの新鮮さを伝える意味もあった。(笹は急速に乾燥してしまうので、時間が経つとクシャクシャになる。作りたてでないと笹の瑞々しさが失せる)複雑なものであり、松竹梅や鶴亀、富士山などの形に切るもの。 下駄作り カツオを造りにするときの切り方のひとつ。
    厚めに切って豪快に盛るたたきなどにする。下駄は板前の履く「高歯」を指し、これの造作にちなんだ呼び名。 月冠 「龍の目」に見立て、中央に丸いものを配置する料理で、「龍眼」とも言う。最も表現しやすいゆで卵がよく使われ、材料を茹で卵を巻いて中央から切り、切断面を見せて「目」にする。
    ※名の由来になっている「リュウガン」は、中国南部原産の熱帯・亜熱帯常緑果樹である。国内では九州南部・沖縄に産する。甘くて美味なことで知られるフルーツであり、栄養豊富。乾果は漢方にも使われる。 結解料理(けつげりょうり) 奈良東大寺で作った日本最古の精進料理。
    豆腐、餅、素麺、小豆などを材料に、様々な料理を作っていたようである。「初献」「二献」「三献」とあるように、酒を楽しむような構成であり、吸物から饅頭まである結構豊富な献立になっていて、2時間ほどかけて食べるというもの。 蹴飛ばし 馬肉のことを「けとばし」と言う。もう少し品の良い言葉でいうと「桜肉」である。 粥の汁(けのじる) 雑煮のひとつで、青森県弘前の料理。赤味噌仕立て。
    煎り大豆と小豆を水から煮たものを加える。その特徴からの名称ではないかと思われる。
    出汁は昆布と鰹節のほか、片口鰯の焼干しを使い、具を沢山入れる雑煮である。 けば・照り 「けば」は葛粉を意味する用語である。
    醤油に水溶きの葛粉を加えてとろみつけたものを「けば照り」と言う。焼き物の他煮物などに照りをつけるために使うもの。 毛焼き 鳥や鴨などの羽根を毟りとったあとに残る細い毛を、直火で炙って除去することを言う。
    現在の調理師がこれをやる必要は殆どないが、稀に野鳥を料理したりするときに用いる事がある。
    沖縄県では、豚肉の仕込みで豚の残毛を炙り焼きする手法が健在である。 けら地 けら地に使うすり身や、押しずし用の白身魚。 けん 刺身のつまの一つ。
    大根、人参、胡瓜、独活などを桂むきにし、細い千切りにして水にさらしたものである。
    通常の使い方は、繊維にそって打ったもの(縦けん)を「立てづま」にし、繊維を横から打った「横けん」は「敷きづま」にする。 玄海漬け 佐賀県呼子町名物の鯨加工品である。
    鯨の上顎軟骨(かぶら骨)を酒粕に漬け込んだ酒肴。
    調味液にみりんを使用したものは「松浦漬」である。 げんべら巻繊 和菓子の「打ち物」に使用する木のヘラ。
    樫の木で作った分厚い造作のへらで、木型に砂糖と粉を混ぜた生地を詰め込み、はみ出した生地をげんべらでこすって整える。油布巾でこする面をふき、滑りをよくして使う。 けんちん地 和菓子の「打ち物」に使用する木のヘラ。
    樫の木で作った分厚い造作のへらで、木型に砂糖と粉を混ぜた生地を詰め込み、はみ出した生地をげんべらでこすって整える。油布巾でこする面をふき、滑りをよくして使う。 巻繊揚げ 水溶き片栗粉を塗った湯葉をマキスにのせて、けんちん地を棒状に巻き込んで形成し、それを揚げたもの。豆腐はよく水を切り、他の材料と一緒にさらに細かくひき潰してから巻き込むやり方が普通である。適宜に切って盛り付け、天つゆに大根おろしとおろし生姜を添えて供する。 巻繊汁(けんちんじる) けんちん地を実にして作る具だくさんの汁物。 巻繊蒸し 魚や肉でけんちん地を包んで蒸したもの。腹を抜いて詰め込んだり、観音開きにして包んだりする。
    餡掛けにし、しょうがを添える。 健抜き 鶏の「もも肉」や「ささ身」の固い筋を除去すること。
    筋の部分に包丁の先を入れておき、まな板を利用してそぎ取るようにする。 源平 紅白に作った料理。
    源平合戦の故事にちなんだものとされ、白色が源氏の旗、赤色が平氏の旗に見立てている。
    代表的な「源平膾」は紅白鱠と同じで、大根と人参の酢の物である。目的に応じて切り揃え、塩気でしんなりさせた後、塩気を洗い落として合わせ酢で和える。砧の要領で巻き込む「源平巻き」もある。刺身でも赤身のマグロとイカや白身を合わせる「源平作り」がある。

    料理用語集TOPへ
  • か行 「こ」

    子・卵 「こがらみ」「子持ち」などの献立に使われる言葉。
    殆どの場合は魚卵を使うが、鳥獣類の卵を用いることもある。 豆類をすり潰した流体、抽出した液、それを使用した汁物を「呉」という。別名「すり流し」大豆を水に浸して潰したものも呉であり、これは豆腐の原料になるほか、様々な加工品に使用される。 濃口八方 八方だしの一つ。煮立てただし汁にみりんと濃口醤油を加えて味をつけたもの。料理にコクを出したり、材料に色をつけたい場合にこれを使用する。 鯉濃 正確には鯉濃漿(こいこくしょう)と言う。「こいこく」の料理作法は種類があるが、一例を。・苦玉(胆嚢)を避けて(鰓下から指三本目にある)胆汁が身に付いたら洗っても渋みは落ちないから注意。胴体を輪切りにし、金串を打ち焼く。それを水から4時間ほど中火で茹でる。味噌を溶きいれ、薬味を散らして饗する。
    ※鯉料理は必ず生きた鯉を使う
    ※筒切りにして使うが、内臓はつけたままでも、抜いてから煮てもよい(普通は苦玉以外の内蔵はつけておく)
    ※簡単で食べやすい作り方は水にたっぷりの酒を加えて茹でたあと、味噌を溶き入れる方法(内蔵をとっておいたほうが臭みがなく食べやすくなる)
    ※汁に合わせる「つま」には、ゴボウや大根などの根菜類がよい。青みはネギや三つ葉、吸い口には粉山椒など 鯉の洗い 夏場に向いたお造りの一つ。
    1)活け鯉を締めて三枚おろしにし、皮を引いてそぎ切りや糸作りにする
    2)切った刺身を手引湯(50度くらいの湯)でさっと洗い、氷水にとる
    3)水気を拭き取り氷鉢などに盛る
    4)酢味噌、芥子醤油などを添える 碁石作り ヒラメやカレイを刺身にするときの、特殊な切り方である。これらの魚には黒皮面と白皮面があるので、この特徴を強調するため皮ごと刺身に切り、それを白黒交互に盛り付ける。 甲州煮 ・ぶどう酒(ワイン)を使った煮物。
    ・色や形をブドウに似せた料理。(黒豆のぶどう煮、小ナスのぶどう茄子など) 香辛料 香辛料は以下の三種類に大別できる。
    ・植物の葉や茎を用いる【ハーブ】
    ・植物の種子を用いる【シード・スパイス】
    ・上記以外の植物各部を用いる【スパイシー・スパイス】
    海外で用いられる香辛料の種類は膨大であり、その数は一般人には記憶できないほど多いが、日本の食文化は四季の食材に恵まれているせいか、和食での香辛料使用率は低く、代表的な山葵、芥子、唐辛子、生姜、茗荷、山椒、柚子、紫蘇、蓼、韮、葱など、数えることができる程度の種類しかない。 穀物などに含まれる麹菌を培養したもの。様々な発酵食品の原料として使われる。
    主な特徴は、多量に含むジアスターゼの作用によって、澱粉を糖分に変えるというもの。味噌、醤油、酒の醸造に欠かせない原料であり、漬け物などにも使用されている。代表的なものが「米麹」であり、精米を蒸して黄麹菌等を得る。麹菌の酵素(アミラーゼやプロテアーゼなど)により培養条件を変えたりして目的にあう米麹を生産する。「甘酒」は、粥に米麹を加えて作ったものである。 香草焼き 香草焼きはイタリア料理のcuocere(焼き物)だが、和食に応用しやすい。
    特に「アッレルベ・アロマティケ」という焼き魚料理は、少しアレンジすれば和食でもすぐに使えるもの。水洗いした魚の腹にフェンネルを詰めて、輪切りレモンの上にのせ、レモン汁とオリーブ油を振り、オーブンで焼くという手法である。塩と胡椒を振っておく。この手法の西洋的な要素を和風に変えれば和食の香草焼きができる。また、鶏を用いる香草焼きもある。 鴨頭(こうと) 吸い口(口)のこと。 香煎(こうせん) 「麦こがし」の別名である。
    大麦を煎って粉末にしたもので、一般的には「はったい粉」と呼ばれることが多く、砂糖と混ぜ合わせて食べられるほか、製菓などにも使われている。もち米を同様にした「あられ香煎」や紫蘇の葉を粉末にした「しそ香煎」などもある。 香の物 元々は味噌を香と呼んでいた。
    食品を保存する為の味噌漬けが広まり、次第に糠漬け、塩漬け、麹漬けなども含まれるようになる。今では野菜の漬け物全般をさす言葉になっている。
    茶懐石で湯桶と一緒に出される「香物」は、通常2~3種類の漬け物を盛り合わせたもの。茶事によっては最大5種を盛り合わせることもある。 紅白膾蒸し(こうはくなますむし) 主に祝事に出す椀種である。
    白髪に打った大根と人参をそれぞれ三つ葉や竹皮で結び、卵白を流した魚皮に並べて蒸す。
    紅白膾(こうはくなます)は、正月などに広く使われる大根と人参の酢の物。 甲羅返し カニの甲羅に材料を詰めて料理したもの。
    酢を利用して(煮る・漬けるなど)柔らかくした甲羅をひっくり返して材料を詰めることからこの名がある。 甲羅揚げ カニのほぐし身と野菜などを合わせて甲羅に詰め、西京味噌にホワイトソースと卵を混ぜたものをかけ、片栗粉やパン粉を衣にして揚げる。 甲羅蒸し カニのほぐし身と百合根、銀杏、きのこ、筍などを合わせて泡立て卵白でまとめ、それを甲羅に詰めて蒸したもの。仕上げの段階で青味を加えてもよい。出汁で割った合わせ酢を添える。他にもカニ味噌を残した甲羅に熱燗を注ぐ「甲羅酒」や、大きな甲羅を利用した「甲羅鍋」など色々なものがある。 光淋の松 松、梅、菊などを模った料理のこと。画家尾形光淋の絵に因む。 氷鉢盛り 氷塊を氷ノミで削って、あるいは細かくした砕氷を型に入れて再凍結させて作った鉢やかまくらに、お造りの洗いなどを盛る。夏場の盛り方である。 氷彫刻 簡単な「菊花皿」(そうめん、刺身、夏の花などを盛る)から、本格的な大彫刻まで様々な氷彫刻がある。いずれにしても専用の道具がなければ制作は不可能に近い。需要の多い夏場には数時間しか姿を保てないこともあり、主に催事、宴会向けの飾り物とする。 黄金 黄金和え、黄金煮、黄金焼き、黄金蒸し、黄金造りなど。卵黄を利用する場合が多く、「黄身・・」という献立とほぼ同じものである。
    ケースや季節に応じて「菜の花」「山吹」などと呼び方を変え、一年中作られる料理だが、本来は秋の献立である。 小串 魚の寸法をピタリと揃えて串を打ち、焼いた物。こうしたものを「小串物」と呼ぶ。串のまま、あるいは串を抜いて盛り付ける。 濃漿(こくしょう) 「濃漿仕立て」とも言い、鯉、鯰、泥鰌、鯛の頭などを、淡い白味噌や田舎味噌で気長に煮込んだもの。代表的なものが「鯉コク」地方によっては鳥獣肉を使用したり、赤味噌を使うこともあるが、長時間煮込むので淡い味噌が適している。 小口 材料の端のこと。通常は右端を意味している。そのまま打つと小口切り。斜めに打つと斜め小口切り(はす切り、笹切り) 焦げ湯 懐石料理の最後に出る湯桶の別名である。煎った米とおこげ(湯の子)にお湯を注ぎ、塩を少量加える。(元々は釜底のおこげを炙ったものだけを使っていた)同時に出される香物を利用して椀をきれいにする。 御講汁(ごこうじる) 伊勢の郷土食で農家の冬料理。伊勢講、お伊勢参りにも関係した料理。味噌、豆腐、大根を三日ほどかけて煮込む。「おこうじる」が正確らしい。 五三の盛り 向こうを五切れ、手前(前盛り)に三切れを盛る刺身の盛り方。四二(よんにい)や五七にもする。刺身は必ず奇数盛りにしなければいけない訳ではないという例である。 漉し器(こしき) 素材を漉す道具。 裏漉し(うらごし) 素材を漉す道具で、たんに「裏漉し」とも呼ぶ。
    薄い板を曲げて木皮などで留め、上部に網を張ってある(今はオールステンのものが多い)。網は金属製と馬の尾毛製があり、馬毛製には網目のサイズにより1番から3番漉しまであり、さらに細かい「羽二重漉し」もある。使用前に水に浸けて網に張りを与え、網面を上にし、材料を向こうに置いて、木箆や木杓文字を使って少しずつ手前に寄せ、斜目になるようにして漉す。 水嚢(すいのう) 液体状のものを漉す漉し器である。寒天液を漉したり、粉を振るったりもする。曲げ物の底部に網を張り、内側に枠をはめて補強されている。網は裏漉しとほぼ同じ。網が馬の尾毛のものは出汁や味噌汁を漉す。外見は裏漉しによく似ており、昔はこれも「裏漉し」と呼ばれることがあった。しかし、使い方は裏漉しと反対に枠の内側を使用するものであり、すいのうを裏ごしとしては使えないし、裏ごしを水嚢の様に使うとすぐに網が緩んでしまう。 甑(こしき) 「せいろ」(木製の蒸し器)のことである。
    円筒形と角型があり、大釜に湯を沸かし、その上に載せて使用するので長時間蒸すことができる。
    もち米を蒸したり、和菓子の蒸し物などに適している。 小吸い物 「箸洗い」「一口吸い物」とも言う。コップのような細長い独特の専用椀を使用する。食事を終え、献州に進む前の口改と箸を清める意味で出される汁。だしに薄い塩味を付けただけのもので、椀種も軽く梅干しやむかごなどを浮かべるだけである。針生姜や欄花を口にする。これで舌を洗い、次に出る酒と八寸を賞味する。 五色 和食料理の五色は『しょう、おう、しゃく、びゃく、こく』青(緑)・黄・赤・白・黒(茶)の色である。これは盛り付け配色の基本色でもある。それとは別に献立としての五色は、材料を上記の色に染め分けるか、元々上記の色を持つ5種の材料を料理したもので、下のような献立がある。 五色揚げ(ごしきあげ) 元々は種々の野菜を揚げる精進料理。人参、牛蒡、蓮根、薩摩芋、隠元など様々な色を持つ野菜を精進揚げにするか、上記の野菜に三つ葉、椎茸、葱などを加えて刻んだものをかき揚げにする。
    もう一つのやり方は「変わり揚げ」の一種であり、衣の色で五色を表現する。新挽き粉の白色、干し湯葉の黄色、もみ海苔の黒色、京人参やパセリのを刻んだもので赤や緑の衣にする。 五色蕎麦(ごしきそば) 三月三日の雛祭りの後で供えるもの。純白の一番粉を青黄赤白黒各色に染める。青よもぎ、紅、卵黄、卵白、焼き昆布、胡麻、けしの実、抹茶、青海苔などを使う。 五色素麺(ごしきそうめん) 葉緑素、そば粉、梅干し、卵黄などを使って五色にした素麺。 五色膾(ごしきなます) 大根、人参、胡瓜、椎茸、油揚げ、しらたきなどを使った酢の物。群馬の郷土料理でもある。 御膳 「御膳そば」など最高クラスの材料につけられる他、一膳にセットされた料理名などに多用される言葉である。高級を美称する料理の名称に使われているが、あまりにも使われすぎて無意味に近くなっている。元来は天皇に出す食事を意味している。 小袖 小袖とは着物の小袖の形や柄に見立てた模様を表現した切り方や料理である。 小袖切り 大根などを四角柱に木どり、それを台形にしたり、一箇所の角を丸くして山形になるように整形し、小口から適当な厚さに切る。椀種などに使う切り方。 小袖大根 大根の甘酢漬けで着物の袖の柄を表現した料理。輪切りにした大根を立て塩でしんなりさせ甘酢に漬けたもので、様々な具をはさんで二つ折りにする。具はカニ、エビのほぐし身の他、季節の銀杏や栗、きのこなどを使い、木の芽など青味を加える。 骨料理(こつりょうり) 魚の骨を一品に仕立てた各種の料理。中落ち(中骨)を使うもの、頭やカマも使うものなど様々だが、いずれも旨味が凝縮した部分であり、ここを捨てることなく食べれるようにすると同時に、持ち味を引き出す工夫が凝らしてある。 骨蒸し(こつむし) タイやホウボウなどの頭と中骨に薄塩をしておき、塩を洗い流して焼き(あるいはそのまま)、昆布を敷いた器にのせ、だしを加えて蒸し上げる。取り出して蒸し汁を漉し、頭と中骨を形よく盛った器に張る。野菜や豆腐などを加えて蒸すのもよい。 骨煎餅(こつせんべい) カレイ、キス、ウナギなどの中落ちや中骨に小麦粉をまぶして低温の油でじっくり揚げたもの。 サンマ、アジ、イワシなどの青魚の骨でやっても美味しい。軽く塩を振り、レモン汁などを振って食べる。 骨酒(こつざけ) 鯛、甘鯛などの中骨とヒレを焼き、酒を注ぐ。いったん漉してから飲む。 骨湯(こつゆ) 焼き魚や煮魚を食べ終えたあと残った骨に、熱湯を注ぐ。塩や醤油で味をつけてこれを飲む。 小付け 酒肴として出す少量の料理。 塾し(こなし) 和菓子の生地の一つ。練り物に属する。
    餡にもち粉と小麦粉を混ぜて練り蒸したら砂糖を加えて揉み込む。 小鍋仕立て 酒菜として供する献立。
    (1)小型のコンロに一人用の鍋をのせて出す。鍋にはあらかじめ材料や調味だしを張っておき、加熱すれば食べられるようにしておく。 (2)鍋のまま出す煮物。 木の葉 木の葉南瓜(このはかぼちゃ)
    南瓜の緑色をいかした飾り切り。
    南瓜を八つ割りにし、菱型に木どり、木の葉の形に整え皮に葉脈を切りこむ
    ※葉脈彫りは三角ノミや小型の包丁がよい 木の葉作り(このはづくり) 刺身刀法の一つで、簡単な細工作り。
    ・細長い小魚(アジ、キス、サヨリ、サンマ、イワシ等)を三枚におろして皮を剥き小骨を取る
    1)上身と下身を分け、背向こうで重ねる
    2)中央から切り分ける
    3)切り分けたものを上下に並べ4重にする
    4)同じように中央から切り、さらに重ねる
    5)八重になったものを切って起こし腹側を合わせる 木の葉切り(このはぎり) 酢の物に使う細工作り。
    1)締めた小アジの上身と薄切胡瓜を同じ寸法に揃える
    2)木の葉作りの要領で上下に並べ重ねる
    3)中央から切って合わせる 木の葉生姜(このはしょうが) 酢取り生姜の一つ。谷中生姜(葉付きしょうが)を木の葉の形に整えたもの。 小鉢 (1)器の名称。小ぶりの鉢。(2)和え物や酢の物などの献立。 駒板 「小間板」とも書く。打った蕎麦生地を切る際に使う道具。両端に向きの違う足が付いており鍵型になっている。その形は「抜き板」とほぼ同じである。 胡麻 和食で最も使用頻度が高い香辛料である。香辛料というより普通の調味料感覚で使われている。ゴマ科ゴマ属の一年草。種子を香辛料として利用する。原産地はアフリカ説とインド説があり判然としないが、古くから使われていたことは確かなようである。日本には奈良時代に中国から伝わり、当初は滋養強壮の薬として珍重され、やがて欠かせない油脂源になって行き、その後色々な食品に用いられるようになった。
    種皮の色で以下の三種に大別されている。・白ゴマ・黒ゴマ・金ゴマ(皮の色が違うだけで中身はすべて同じ白色)炒ることで香りが出る。種子を炒る「いりゴマ」、それを擦った「すりゴマ」(製品化されたものが当り胡麻)、すりゴマをペースト状にした「練りゴマ」こうしたものが、加工食品や料理の原料にされる。 切りゴマ いりゴマを包丁で切ったもの。すりゴマよりも油が出ないが、香りは出る。吸い口や浸し物などに使う。 つまみゴマ(ひねりゴマ) いりゴマを指先で潰して吸い口にする。 ゴマ醤油 すりゴマか切りゴマに醤油か割り醤油を合わせる。 ゴマ味噌 すりゴマに味噌を加え酒、みりん、砂糖などで調味し、弱火で練り上げる。風呂吹き、田楽、和え物に。 ゴマ酢 すりゴマに二杯酢、三杯酢、土佐酢などを加えてペースト状にする。 ゴマ豆腐(葛寄せ) 白すりゴマを葛と混ぜあわせ弱火で練り、型で冷やし固める。 ごまよごし すりゴマを砂糖、醤油、塩で調味し和え衣にする。 白和え 白すりゴマに裏ごし豆腐を加えて和え衣にする。 ゴマ汁 白すりゴマを白味噌仕立ての汁と合わせて漉す。 小町和え 朝地和え(切り胡麻和え)のこと。 小町作り イカ刺身の上部だけを紅色に染める。琉球料理で「花イカ」として多用するのは火を中心迄通してある。 殺す 塩や酢で材料をしめる事。「煮殺す」など、料理の味を駄目にする事。「コロシを入れる」は活締めのこと。現在の板前はあまり使わない言葉。 五味 味の基本で、甘・酸・辛・苦・鹹(しおからい)和食はこれに旨味を加える。中国の五行思想が元。大饗宴には五味八珍を出した。インドは甘味、酸味、塩味、辛味、苦味、渋味の六味。 献立 (1)料理供卓の順序を立てる事
    (2)料理名 菰豆腐(こもどうふ) 「包み豆腐」とも言う。しぼった木綿豆腐を魚のすり身、山芋、卵白と合わせ混ぜて棒状にし、藁などで包んで蒸す。 権蔵鍋 くじら鍋の事。鯨を権蔵という。

    料理用語集TOPへ
  • さ行 「さ」

    西京簾(さいきょうすだれ) 「京すだれ」とも言う。
    平安時代からある「御簾」が原型になっている。
    「お座敷すだれ」などのインテリアばかりではなく、「巻きすだれ」もあり、一般のすしすだれよりも、竹がやや細い。しかし綴じ目はしっかりとしており頑丈にできている。 西京味噌 京の白味噌で、近畿、中国、四国地方で製造されている。甘みが強い。昔の職人は公卿味噌と呼んだ。
    米麹が多く、塩は5%程度と少なめ。しかも短期間で熟成させるため、夏場などは傷みが早く酸味が出やすい。しかし、和食料理人にとっては白味噌の代表と言ってよく、和食でたんに「白味噌」と言う場合、それは西京味噌のことである。 再進 懐石料理の「強肴」のこと。 菜箸 調理・盛り付け箸。竹製が多い。長いものから短いものまで種類が多いので、「煮物用」「揚げ物用」「盛り付け用」「刺身用」と分けておくとよい。サイズは45センチ~25センチくらいで、揚げ物には長い菜箸を用い、一般調理用、盛り付け用と短くしていく。25センチ前後が盛り付けに適している。新品はヒモで一膳ごとに繋いであるが、邪魔なのでヒモは外しておく。表面をラッカーなどでコーティングしてあるものが多くなったが、滑りやすいので小刀や紙やすりなどで先の方の塗装を除去したほうが使いやすい。また、焼け焦げやヘタリなども同様にして直しておく。ちなみに直径が1センチほどもある丸い箸は、「こね箸」あるいは「衣箸」と言って、天ぷらの衣を作るための箸である。また、懐石では取り箸を菜箸と言うことがある。 料理を意味する言葉。
    狭い意味では菜(副菜)を指し、さらに教義には酒のつまみを指しているが、本来は料理全般を意味し、酒肴だけをさした言葉ではない。ちなみに魚料理は「真菜」と言う。 酒煎り (1)貝のむき身の下処理。
    アオヤギ、ハマグリなどをむき身にしたあと、軽く酒で煎り、すぐに冷水にとって冷ます。こうすることで生臭みと独特のクセを抜くことができる。
    (2)さけいり
    エビ、イカ、アワビ、白身魚、鶏肉などを少量の酒で水分が飛ぶまで炒りつける。 酒煮(さかに) 「酒塩煮」(さかしおに)ともいう。
    出汁、塩、酒で材料を煮上げたもの。
    酒の特性をいかした煮物で、材料は貝類や白身魚を使い、出汁は基本的に使わず、使う場合でも昆布を 敷くだけである。酒をたっぷり使用し味付けは塩のみ。醤油で香りをつけるにしても少量にしておく。 菜盛り椀 懐石料理の「煮物椀」のこと。 数え方。羊かん等を数える用語。単位。 酒蒸し 酒と塩、材料によってはだしも加えて蒸す料理。
    新鮮な材料の持ち味を引き出し、同時にクセを消すことが出来る。単純な作り方であるがゆえに悪い材料ではうまく出来ない料理でもある。昆布を敷いて(または少量のだしを張って)、材料をのせた器に酒をたっぷりかけて蒸す。塩のみであたりを付け、醤油を使うならば香り付け程度にする。魚貝の他、豆腐や鶏肉も適する。 酒焼き 魚を白焼きにし、酒、味醂、だしにつけて焼きあげる。
    鷺不知(さぎしらず)
    小魚をこう呼ぶ。または琵琶湖産「いさぎ」の事。鷺でさえ見逃すという意。 先附 「つきだし」「お通し」「通し肴」「先走り」「箸付け」「前菜」そして先付け、これらはみな同義語である。酒席に出す一番最初の料理を意味している。(細かく言えば前菜とお通しは違うのだが広義には同じ)和え物や珍味を猪口(小鉢)や珍味入れで少量出すことが多い。 ざく 鍋やすき焼きの副材料(具)のこと。雑具(ざつぐ)が「ざく」に転じた言葉である。例えば、牛肉以外の野菜やしらたきや豆腐など。 馬肉を桜、または桜肉という。別名「けとばし」
    これの鍋仕立てが「桜鍋」で、すき焼き仕立てにするか、江東区名物の味噌仕立てなどにする。
    ちなみに、肉屋で馬肉を売ってはいけないとされていた。(牛肉と同一に扱かうのが禁忌されていたため) 桜煎り 茹でたタコの足を小口から薄く切り、それを酒と醤油で炒り煮したもの。 桜粥 小豆粥のことを桜粥と言う。 桜煮 タコの煮物である。生だこを、酒、醤油などで柔らかに煮たもの。足を小口から適度な厚さに切り、その周囲に包丁で切り込みを入れると桜を強調する一品に仕上がる。 桜干 白身魚、又は青魚(アジ、イワシ等)の開きをみりん醤油に浸け、風干しにする。 桜飯 (1)茹でたタコを薄切りにし、酒、塩、醤油などで煮る。 その煮汁でご飯を炊き、炊きあがりにタコを混ぜ込む。
    (2)醤油で炊いたご飯。「黄枯茶ご飯」「茶飯」とも言う。 桜蒸し 桜の葉に白身魚を乗せたり包んだりして蒸す。薄紅に染めた道明寺で魚を包むこともある。葛餡をかけ、つゆしょうがにて供する。また、菊花漬をのせて蒸す飯蒸しも桜蒸しと言う。 桜湯 半開の桜の蕾の塩漬けに、お湯をさしたもの。祝宴では茶を忌むので、茶の代用として桜湯を出す。 酒八方 「酒だし」とも呼ぶ八方だしの一つ。だしに酒を加えたもの。酒の量は適宜加減する。クセの強い材料をあっさりと煮上げたい時に用いる。酒とだしの割合を反対にしたものは「だし酒」と言う。 越後笹、鞍馬笹、立山笹、業平竹の葉など。一般に利用するのは隈笹(クマザサ)である。(熊笹という字は誤用)昔から笹は毒消しにもなると云われ利用されてきたが、実際にある程度の除菌効果がある。また、豆類を煮るときに加えると早く柔らかくなるともいわれる。掻敷として、また刺身、 焼き魚、卵焼きなどの料理や和菓子などを包んだり巻いたりする用途に広く使われている。包んで蒸す「笹蒸し」や、蒸し焼きにする「笹焼き」にも使われる。笹切りすし屋などが料理の敷き、仕切り、飾りに使うもので、「けん」「せきしょ」「化粧」などがある。クマザサの他、敷き笹にはハランを使うこともある。 笹ずし 「笹巻きずし」とも言う。酢で締めた魚をすし飯と一緒に笹の葉で巻き込むなどしたもの。「毛抜きずし」とも言われ、現在の箱ずしや握りずしの原型になっているという。魚は小ダイ、アジ、コハダ、キス、アユなど。 笹作り 三枚に卸した魚を斜めにそぎ切りする刺身刀法。刺身が笹の葉の形と似たものになる。キス、サヨリ、アユなど細長い小魚に用いる。 笹掻き ゴボウや人参、大根などの棒状野菜を鉛筆削りのようにそぎ切りにする。 ささら 竹を細かく割って束ねた洗浄用具。大・中・小があり、用途によって使い分ける。 魚の水洗い ワタを出したあと、血合いを掻き出して水洗いするときに使う。小さいササラがよい。
    たわし代わり大きなササラでもよい。ワサビを掃除したり、おろし金を洗うときは先の方を持って使う.鍋を洗うときは手元を持った方がやりやすい。鍋洗いでは和食よりも、中華料理の方が利用頻度が高く、これは中華鍋に馴染んだアブラを適度に保って洗えるからである。使用後は熱湯をかけて消毒し、乾燥させておく。 さしこみ 汁の実で、「あしらい」のひとつ。主役の「椀種」にそえる椀づまの、青みでないものを「さしこみ」と言う。【椀種】【椀づま(さしこみ+青み)】【吸い口】が、基本的な汁の実である。 さしこ 腹当部が厚く作られた板前用前かけ。一般の前かけは腹部を折り返して紐で結ぶようになっているが、これは板のように厚い刺し子(綴り縫、綴れ刺)が付いており、腹をガードできるような造作になっている。 差し身 刺身のことである。めでたい席の場合は「お造り」と書く。刀法を「作り」と言い、通常の献立には向付の欄に魚の名と作り方を表記し、隣に褄と剣を書く。
    「長手」「平」「越し」「背越し」「そぎ」「細」「糸」「切掛け」「賽の目」「角」「引き」「小波」「洗い」「ぶつ」「切離」「切掛」「八重」「土佐」「大名」「叩き」「藤」「牡丹」「菊花」「鳴門」「磯部」「松皮」「蝶」「束ね」「大原女」「逆」「蛇腹」「博多」「鹿子」「ちり」「薄」「銀皮」「皮霜」「火取り」「焼き目」「湯洗い」「湯ぶり」「昆布〆」「酢〆」「檸檬〆」「山かけ」「まぶし」「おろし和え」などの作り方がある。 差し身代わり(さしみがわり) 生の刺身の代わりに火を通したものを出す。 鯖市松焼 三枚におろしたサバの片身を縦中央に切離して四つにした身を並べ、長さを揃えて中央から切る。それを皮と身交互に市松に組み直し、串を打って焼く。 座禅豆 煮た大豆・黒豆のこと。 作法椀 薄葛仕立てのすまし汁.実は野菜が主体。 莢豌豆(さやえんどう) 煮物や椀の青みとして欠かせない「絹さや」が代表。豌豆にはグリンピースなど実を食べるものと、さやを食べるものがある。そのさやえんどうにも「大さや」と「絹さや」があるが、日本で莢豌豆といえば絹さやを指している。絹さやは若いさやを早採りしたもので、さや同士が擦れ合う音が衣擦れに似ていることから絹さやと呼ばれる。色を残すため、軽く下茹でして色をとめ、加熱調理では必ず仕上げの段階で加えるようにする。下処理での筋取りは、背側の筋をとるだけでよい。腹側の筋まで取ると、形を保てない。 さらしな 玄蕎麦(そばの実)を挽いてふるいにかけた白い一番粉を「さらしな粉」と言い、その略語でもあるし、それを打って作った蕎麦(さらしな蕎麦)の事でもある。また、代表的蕎麦産地である長野県の更級地方も意味している。「さらしな」は商品名になっており、更科はそば屋の屋号になっている。しかし、一般的に慣用として蕎麦やそば粉をサラシナと呼ぶことが多く、名前に更科が付く料理も多い。※さらしな粉は、「御膳粉」「さらし粉」ともいう 更紗(さらさ) 更紗とは綿や絹に施した染織模様である。何をもって更紗なのか困惑するほどその様式は非常に多いのだが、料理としては友禅のような彩りや蜂の巣模様のような独特な線を更紗模様に見立てている。魚介類、鶏肉、野菜類を彩りよく合わせて作る「更科和え」や、玉だしと合わせた卵で、炒り煮した鶏、塩茹でのエビ、含ませた野菜などを具にして焼きあげる「更紗卵」などがある。更紗模様風になった切り口を見せて盛る。「更紗煮」「更紗焼き」などもあり、「ぎせい豆腐」を別名さらさ豆腐という。 さんが 青魚に味噌を混ぜ、たたきにする焼き鱠。房州の漁夫料理。 三色膾(さんしきなます) 細く整えた材料三種を合わせた酢の物。
    (1)胡瓜、人参、しらたき
    (2)大根、人参、葡萄 三尺菜 信州野沢菜の別名。たか菜もこう呼ぶ。 山水盛り 山と川を表現する盛り付け方。奥に山を配置し、そこから海に流れるように川を配置する。
    例えばやや左奥に杉盛りや重ね盛りを置いて山とし、手前にイカの糸作りなどを置いて川にする。
    仕上げにつまをあしらい、辛味を添える。 三度豆 さやいんげんの事。三度笠ともいう。収穫が何度もあるためこう呼ぶ。 三杯出汁 かつお節のだしの事。かつおだし。一番から五番まである。三番以降は「捨てだし」といい、煮物に使う。 三平汁 塩鮭と野菜で作る北海道の郷土料理。松前藩斉藤三平が考案したという説、江刺の漁夫三平が作ったという説、三杯汁がなまったという説。最初はニシンの漬け汁と野菜を合わせて作ったらしい。 三の膳 正式の日本料理で本膳、二の膳の次に出す膳。焼き物がのる。

    料理用語集TOPへ
  • さ行 「し」

    強肴(しいざかな) 特に薦めたいものがあるとき、小腹を満たす為にという意味合いでお客にすすめるもの。 「進肴」ともいう。炊き合わせに和え物などを組んで酒に合う内容にする。基本的に懐石料理のみで使用される献立名。 塩煎り 銀杏や豆などに塩を加え、フライパン等の平鍋で加熱調理したもの。 塩釜 みじん粉に砂糖と蜜を混ぜて木枠で固める打ち物菓子。ゆかりや塩と海草の粉末を加えて風味をつける。宮城県の塩竃神社の祭神(製塩の神)が製造を伝えたとされる。 塩釜焼き 材料を塩で包み、天火(オーブン)で焼いたもの。 白身魚や松茸を、そのままか、和紙(又はパラフィン紙)で包み、それをさらに、塩、卵白、片栗粉を混ぜて練ったもの(あるいは卵白を泡立てて塩を適宜加え混ぜる)で包み、天火で表面がキツネ色になるまで焼く。 塩辛 塩漬けすると同時に発酵熟成させた食品。 代表的な塩辛は魚介類の生殖巣や他の内蔵を塩漬にして発酵させたもの。これに身肉も加えることが多い。一般に魚介類が多いが、他の食材を使って作る塩辛も納豆など幅広く存在する。自己消化(発酵)をする食品ならば多くの場合塩辛を作ることが可能である。麹などを加えることにより、さらに幅広い食材を利用できる。 塩引き 塩をまぶして保存する塩蔵の魚を意味する。 「塩ザケ」はその代表であることから、塩漬けにした鮭・鱒を意味する言葉としても使われる。伝統的には内蔵を抜いた鮭に40%ほどの塩をして(エラや内臓にも詰める)、保存したものが塩鮭(鱒)であるが、近年は塩分を減らす傾向があり、今の人に40%はやや辛すぎるようである。「荒巻(新巻)ザケ」とは、この塩の量を15%以下にした甘塩鮭を意味している。 塩引き鮭 新潟県村上名物の鮭の塩干し。川獲の鮭に塩をして10日ほどおき、それを塩抜きして冬の寒気で乾燥させる。さらに半年ほど干して固め、薄く身を切り取ったものに酒をかけたものが「サケの酒びたし」である。ちなみに、「とば」は鮭の腹身を細く切り、燻して後、寒風干しにしたものである。 塩摺り 主として胡瓜に塩をしてまな板で擦ること。「板ずり」と同じ意味である。汚れとイボを落とし、独特の青臭さを抜く。これをそのままさっと湯に通せば色も出る。 塩漬け 塩には様々な効果があるが、そのうちの一つである「浸透圧作用および脱水作用」を利用して食品を加工したものである。「漬け物」というカテゴリに属し、保存目的と調味目的でやり方が違ってくる。保存食品の場合は下漬けと本漬けの工程があるのが普通で、調味目的の場合はそのままか、さっと洗う程度に塩分を抜いて食べるものなので漬け時間を短くする。前者は同時に発酵させるのが通常であり、長時間漬ける。
    下処理に多用する「塩じめ」は、浸透圧のみを利用し、脱水作用は最低限にとどめておくやり方であり、塩漬けとは別のもの。脱水が進行し塩分が食材に浸透して塩辛くなる前に塩を洗い流すことで、適度に身が締まり生臭みが抜ける。 塩抜き 塩蔵品を真水か塩水につけて塩分を抜くこと。「塩出し」ともいう。真水に少量の塩を加えると早く、これが「呼び塩」多少塩気が残る程度に抜くのがコツで、抜き過ぎはよくない。 塩吹き (1)飾り塩
    もっぱら「塩花を咲かせる」のが目的。焼き魚に振る塩で、焼く直前に振る化粧塩。これを塩吹きとも言う。
    (2)飾り水引
    祝事の焼鯛には口、背びれ、腹びれ、尾に水引を飾る。 この水引を塩吹きと言う。
    (3)塩吹き昆布
    「汐吹きこんぶ」とも書き「塩こぶ」「塩こんぶ」ともいう。 昆布を醤油で煮たもの。乾燥すると自然に塩が粉状に吹き出すことからこう呼ばれる。製品の塩昆布は、塩に様々な調味料を混ぜた「まぶし粉」をつけたもの。 塩焼き 材料の味を最も端的に引き出すことができる焼き方。
    本来の塩焼きは「塩味をつけておいた材料」を焼いたものであり、現在一般に使われる振り塩をして焼く手法は「白塩焼き」(又は花塩焼き)という。しかし今は特に区別することはない。脂の少ない淡白な材料は焼く直前に塩を振る。脂の多いものは焼く少し前に振っておく。(振るタイミングは材料の具合をみて調整する)皮の薄い魚は塩が乾いているうちに焼く必要がある。姿の大鯛などは昆布入の立塩に数時間浸ける、くい塩をするなどの工夫をしなければうまく焼けない。脂ののり具合と材料の鮮度によって塩をする時間は違ってくるので、焼方は材料を判別する経験と能力が必須である。
    一般的に、盛り付け表になる上身から焼き始め、四分ほど火を入れて裏を六分焼く。(下火で焼く場合は上(下身)から汚れが回ることがあるので必ずしも同じやり方とは限らない)脂が出なくなる、目玉が白くなっている、化粧塩がほどよい色に焦げている、尾のあたりをつまむと凹む、などが焼き上がりの目安となる。 直煮 直接材料を煮ること。下煮・下焼き・下揚げはしない。材料の形が崩れにくい。
    「直炊き」とも言い、「田舎煮」「山家煮」などの献立名をつける。材料の持ち味や香りを引き出せる煮方だが、クセの強い材料には適さない。だしで材料に火が入るまで煮て柔らかくなってから味をつける。 地紙 扇子のような形にする切り方や作り方。簡単には銀杏切りの鋭角部を落とせば地紙になる。これを地紙切りと言い、祝宴などによく使う。 色紙切り 材料を色紙のように切る。四角に木どり、薄く切って椀や付け合わせにする。
    「色紙南瓜」は四つ割にして四角形にし、角は細く面取りする。
    色紙切りにしたものをさらに切って長方形にすることを「四半切り」という。 式包丁 (1)包丁式という儀式に使う特殊な包丁魚(主に鯉)用と鳥獣肉用で形態が異なる。
    (2)四条流庖丁道の別名
    (3)生間流等に伝わる包丁技法 鴫焼き(しぎやき) 茄子の焼き物である。茄子を縦半分に切り、針打ちしたあと油を塗って焼く。途中で練り味噌を塗りさっと乾かすように焼きあげる。縦半分に切った茄子の形を鴨に見立てたものだが、輪切りにした茄子を同じようにして焼いても鴫焼きという。 時雨 さっと降ってすぐにやむ秋の雨を、時雨という。これに因んで短い時間で仕上げる料理にこの名称を付けたものがある。あじ味噌に、みりん醤油で煎り煮したハマグリを加えた「時雨みそ」、小倉あんを茶巾にして蒸した「時雨かん」など。 時雨煮(しぐれに) しょうがを加えた佃煮風の煮物で「生姜煮」ともいう。
    材料はハマグリの他、赤貝、あさり、かつお、まぐろなどを使う。しょうがを加えて甘辛く煮しめる。代表的な「ハマグリの時雨煮」は、濃口と溜の二種の醤油にしょうがを入れて殻ごと煮たあと、身を取り出してさらに煮しめたもの。 四条流 歴史のある日本料理の有名な流派。
    日本料理の祖「磐鹿六雁命」の家系である高橋氏に変わり、光孝天皇の仁和2年(886年)から包丁式を執り行った藤原山蔭(藤原朝臣山陰中納言政朝)がこの流派の祖とされる。
    「四条流」と呼ばれるのは、藤原隆季を祖とする四条家に伝えられた後である。のちに四条園流、大草流、四条園部流などが派生した。現在も継承されていて、神事で包丁式を奉納している。 下煮 仕上げ煮(本煮)をする前に薄味で煮て含ませる。「準備煮」と言うこともある。 主に仕上がりの味を崩したくない椀種や和え物に使うほか、煮物全般に幅広く使う方法である。 下茹で 材料を煮る前の下処理・準備として茹でておくこと。煮えにくいものを柔らかくしておく、あるいはクセやアクを除く、さらに色を出す・とめるなどの目的がある。 七五三盛り 儀式、祝事に使う刺身の盛り方。
    作った身を、縁起の良い奇数(陽数)である三、五、七切れに盛る。祝事には紅白盛りにする事が多い。日常料理では必ずしもこの盛り方にする必要はないが、一人前の目安にしやすい五切れがよく使われる。 七輪 小型の炭火コンロのこと。「かんてき」ともいう。 名の由来は「七厘(昔のお金の単位)の炭で煮炊きしたり、暖を取れたりする」ということから。 卓袱鍋(しっぽくなべ) 関西風の寄せ鍋であり、卓袱料理とは無関係。
    卓袱の文字は卓袱台(ちゃぶだい)からである。中央にコンロ用の穴があり、ここに鍋をのせていたことから。 卓袱料理(しっぽくりょうり) 中国から長崎に伝来し、和食と混合した料理。卓袱は食卓布、又は赤い卓子を意味しており「卓子料理」とも書く。六人がけの卓で会食し、小菜(しょうさい;冷たい料理)と温菜に分けて供される。小菜は口取り、差味(刺身)、焼き物、揚げ物など。温菜は 椀、煮物、大皿、鉢、角皿など。
    伝来の献立一例御鰭→御味噌→小菜差味→小菜湯引き→小菜口取り→小菜甘味→小菜焚会→小菜漬物→坪椀→中鉢→大鉢→煮物椀→御飯→梅椀→水菓子 芝煮 佃煮と反対に、軽くさっと煮上げる魚介の煮物。
    芝近辺でとれたエビや小魚を、酒、塩、醤油を煮立てた汁で軽く煮たもの。 信濃蒸し 「信州蒸し」とも書く。
    信濃(信州)は蕎麦を意味する。
    魚を観音開きなどにし、固茹で蕎麦を巻き込んで巻きすごと蒸しあげる。そば汁をかけ薬味を添える。 篠切り(しのぎり) 円筒形に細長く包丁する切り方。篠とは提灯骨などに使う細くて柔らかい「しの竹」のことで、この篠竹に見立てて切る。 信田 信田は「油揚げ」のことであり、油揚げを用いた料理にこの名を付ける。大阪は信田の稲荷がこの名の由来。肉や野菜を詰めて巻いたものを「信田巻き」と言い、いなりずしを「信田ずし」、きつねうどんを「信田うどん」と言う。信田巻きは煮たり蒸したり揚げたりと、様々な仕立て方があり、精進でもよく使う。精進の場合は詰め物に野菜や豆腐を使う。一般には肉、卵を加えることが多い。 篠の葉 大きく成長したスズキを指す言葉。 忍び生姜 「隠ししょうが」とも言う。ひねしょうがの絞り汁を料理にかけること。極めて少量で露しょうがよりも少ないことから「隠し」「忍び」と言われる。 忍びてしろ シビ(小まぐろ)の軟骨を「てしろ」と言う。それを塩と酢で締め、醤油で食べるもの。 芝鮨 「芝舟すし」のこと。笹の葉を舟に見立て、すしを盛る。 柴蒸し 笹の葉に卵液を塗り、白身魚をのせて蒸す。柴に見立てた松茸の軸などを配置しておく。 島台 白木のかざり台である。祝事に使用し、縁起物の飾り料理を載せるもの。 縞剥 「すだれ剥き」ともいう飾り剥き。胡瓜、南瓜、茄子などを、縦から皮をしま目に残して剥く。 しめこん 凍りコンニャクのこと。茨木の特産で、煮物などに使う。 〆蒲鉾 熊本で開発された食品である。長崎産のハモやグチなど最上の魚のすり身でカマボコを形成し、その上に新鮮なしめサバを張り付けるというなかなか考えつかないアイデア商品であり、味も決まっている。この商品が優れているところは、斬新なアイデアはもちろんだが、「地産地消」でないと美味くない、すなわち新鮮でないとその味が失せるという点であろう。(現在の冷凍技術、流通事情から、そう断言はできないが) 釈迦揚げ 豆腐の変わり揚げの一つ。
    卵白をつけて、あられ切り野菜(さつま芋など)や砕いた葛を衣にして揚げる。名の由来は、釈迦の螺髪(らはつ[髪型])に似ていることから。 蛇籠(じゃかご) 蛇籠とは川の治水に使う竹の籠のことで、中に石を詰めて水流を制御したりするもの。
    その形に見立てた細工切りを「蛇籠切り・蛇籠剥き」と言う。 蛇籠蓮根 (1)斜め輪切りにした蓮根を中央から2つに切り、端を整えて円筒形に剥くbr (2)蓮根を横からではなく縦に(穴が出るように)桂むきにする 蛇籠胡瓜 ・胡瓜を筒で抜いて籠のような穴を作り、それを桂に剥くなお、「蛇腹胡瓜」は表と裏に細かい切り目を入れて交差させ立塩に浸けてしんなりさせたもの。 蛇の目 材料を環状、輪状(輪っか)にする切り方。胡瓜、独活、人参、大根などの芯を丸く抜き、小口から切る。 ①懐石で焼き物をさす言葉「御菜」「重引き」ともいう。古くは焼き物をお重に盛っていたのでこう呼ばれる。
    ②重箱
    料理や飯を詰める箱。四角、丸型、隅切り、長方形、楕円形、なかには木瓜など凝った形もある。料理との相性からほとんどの場合頑丈な漆塗りになっているが、特殊な陶磁器製の重もある。重と言うだけに重ねられるようになっていて、「一と重ね(一般物)」のお重は五の重と同じように普通は客前に出さない。現在は三重ね物が主流になっている。 十三夜切り 切り方の一つ。円形に切り出した材料の端を、十三夜月の欠けの部分の様に落とす。 酒精酢 芋や糖蜜から出るアルコールを原料にした加工用の酢。淡白でクセが少ないので多用され、生産量も多い。 重曹 炭酸水素ナトリウムのこと。
    重炭酸ナトリウムともいい、加熱により二酸化炭素を発生するので、食品添加物の膨張剤として使われる。菓子類に多用されるが、炭酸水を利用した飲料や料理にも色々と使用されている。野菜の色出し、漂白、山菜のアク抜き、臭み取り、さらにタコや豆の煮物(柔らかくなる)、肉類のしたごしらえ(やはり柔らかになる)、冷凍のエビやイカ輸入アワビなどをプリプリに膨張させるなど用途は多岐にわたる。
    あまりにも普通に使用されるため、添加物だという意識がない人も多いが、ビタミンBを破壊するなどのマイナス面もあるし、多量に摂取すると体に異常をきたすというデーターもある。 ベーキングパウダー 「ふくらし粉」とも呼ばれる膨張剤。水を加えて加熱するだけで炭酸ガスが発生する。炭酸水素ナトリウム(重曹)に、第一リン酸カルシウム、酒石酸、重酒石酸カリウム、でん粉、ミョウバンを加えたもの。酵母の代用としてパンやケーキに使うこともある。 イスパタ 「イーストパウダー」の略語。炭酸水素ナトリウム(重曹)と塩化アンモニウムに、重曹、焼きミョウバン、重酒石酸カリウム、小麦粉などを加えた膨張剤。和菓子の饅頭などに使用されている。これらの膨張剤は便利であることは確かだが、人工合成された化学物質であり、添加物であるということを忘れてはいけない。 酒盗和え 酒盗はカツオの内蔵を塩漬けにして発酵させたもの。これを衣にした和え物が酒盗和えである。
    酒盗を包丁で細かく刻み、鍋に入れ酒、みりん、少量の淡口醤油などを加えて一煮立卵黄を加え火を落とし溶いた片栗粉を加えて練って布で漉し、この衣で淡白な材料を和える。 (1)味と栄養が最高のとき
    (2)量が豊富なとき
    (3)材料に最も適した料理方をしたとき 上身 捌いて卸し、骨などを取り除いた魚の身。この状態にすることを「上身仕上げ」と言う。 あとは切りつけるだけの「食べられる部分だけ」にまでした「片身」を意味し、これを「柵取り」「節」にするか、「切りつけ」る。また、「正身」も同じ意味で使う言葉だが、多くの場合これは鶏肉など鳥獣肉に対して用いる。ちなみに「うわみ(上身)」とは、魚の頭を左側に向けて背を上にして置いた時に、上になる側の身のことである。魚は流通段階から頭を左にしておくので、下身は魚自体の重みで傷みやすい。従って下身を先に使うのが常道である。 宵夜鍋(しょうやなべ) 豚肉のちり鍋であり、通称は「豚ちり」この名称は、毎日食べても飽きない、次の夜も食べたくなるほど美味いという意味。だし昆布を敷いた鍋に水を張り、2ミリ程度にスライスした豚肉と豆腐や葱など定番の鍋野菜を煮て、ポン酢醤油で食べるもの。
    コーラやビールなど炭酸飲料で煮ると、さらに旨くなるという話もあるが、これは好みが別れるであろう。 定規切り 二枚、あるいは三枚におろした魚をそぎ切りにして、三角定規風の形に切り出す。 定切り 三枚おろしにした魚の身を、皮目を下にして一文字に切り落とし、今度は繊維にそって長方形に切り出す。 醤油豆 そら豆の醤油漬けで、香川県の特産。そら豆を炒って、熱いうちに唐辛子を散らした砂糖醤油の液に漬ける。 上南羹 寒天で固める流し物の和菓子。錦玉羹に上南粉(きめの細かい米粉)を加えたもの。
    一般に、練り羊羹と重ねて二層にしたものが多い。 薯蕷(じょうよ) 山芋(ヤマノイモ)を「しょよ」といい、これが転じて「じょうよ」となった。すりおろした山芋を用いて作る料理に薯蕷の名をつける。料理で最も一般的なのは白身魚の「薯蕷蒸し」であり、和菓子の「薯蕷饅頭」もよく知られるところ。 薯蕷蒸し 1)薄塩をした白身魚の切り身を霜降り
    2)蒸し鉢に昆布を敷いて1をのせる
    3)鉢ごと蒸す
    4)六~七分火が入ったところでトロロをかける
    5)蒸しあがったら銀あんをかける
    ※とろろに泡立て卵白を加えてもよい 上用羹 裏漉しにした山芋と砂糖を合わせて作ったあんを、寒天液で固める流し物の和菓子。 白河 白甘鯛(しろあまだい)の別称。甘鯛には黄アマ、赤アマ、白アマの種類があるが一般に出回るのは殆どが赤甘鯛であり、赤アマが甘鯛の代名詞になっている。白甘鯛は赤よりも美味しいのだが、極希にしか穫れないので、幻の魚になっている。本来の「ぐじ」は、この白甘鯛を指していたと語る古老が多い。 白炊き 名古屋名物「水炊き」の手法。鶏ガラは強火にすると汁が白く濁る。鍋に入れる前に潰しておくとさらに白濁する。ちなみに、博多ラーメンなどは豚骨を金槌で砕き、強火で煮たて続けて汁を白濁させる。 白酒焼き ひな祭りの献立。
    タイなどの白身魚か鶏肉を、素焼き又は塩焼きにしておき、それに卵白を加えたり酒でのばしたりした白酒を塗って、乾かすように焼き上げる。 白酢 水切りして裏漉しした豆腐と、三杯酢と混ぜあわせたもの。胡麻などを加え、白酢和えに使用する。 白蒸 「しろ煮」「はく煮」ともいう。
    白系の野菜(大根、うど、蓮根、百合根、イモ類)を白い色のまま煮上げる手法である。
    アクを抜いたり、下茹でしたり、酢水につけたりして「色出し」「色止め」をして、調味の醤油は白醤油を使い色をつけない。 白煮 白煮に使う八方だし。白煮の他、色を飛ばしたくない様々な材料に使用する。白醤油を使って色が淡い八方だしにする。あるいは、醤油を使わず代わりに塩を加える。
    ※白醤油小麦を原料にした愛知県特産の醤油。醤油のなかで一番色が薄い。塩分は15%程度と濃口醤油と変わらないが、極端に色が薄く、麹の香りがたち、甘みが強い。色をおさえたい料理に重宝するが、変色しやすく保存には向かないので注意が必要である。 白八方 白煮に使う八方だし。白煮の他、色を飛ばしたくない様々な材料に使用する。白醤油を使って色が淡い八方だしにする。あるいは、醤油を使わず代わりに塩を加える。
    ※白醤油小麦を原料にした愛知県特産の醤油。醤油のなかで一番色が薄い。塩分は15%程度と濃口醤油と変わらないが、極端に色が薄く、麹の香りがたち、甘みが強い。色をおさえたい料理に重宝するが、変色しやすく保存には向かないので注意が必要である。 懐石の一汁。
    実は精進ものを使用し、仕立ては味噌。関東では三州味噌を主体にした合わせ味噌、関西は白味噌を使用するのが一般的だが、夏季には赤味噌を使うことが多い。 白妙(しろたえ) 白酢:色のない無色の米酢
    白妙酢:「泡吉野酢」ともいう。吉野酢に泡立て卵白を入れる。
    白妙揚げ:「白扇揚げ」ともいう。泡立て卵白と合わせた衣で揚げる。
    白妙焼き:白身魚を白酒(もち米・みりんで作る甘い酒)に浸して焼く、あるいは、かけ焼きにする。 陣笠 さつま芋の切れ端。 信玄弁当 「鷹の羽弁当」ともいう。武田信玄考案の、信玄袋に入れた野外弁当。内容に特に決まりはなく、料理屋では松花堂同様に軽い献立で出すところもある。 新五朗 福島のいろり料理。団子をいろり火でたれ焼きにする。 新香 旬の野菜の糠味噌漬けや塩漬け。たくあんや味噌漬けなど古漬は「新香」と言わない。 真薯 読みでは「しんじょう」とも呼び、書きでは「真丈」「真蒸」「新丈」などとも表記する。生の海老や白身魚などに薄塩をしておき、それを包丁で叩いて当り鉢でよく当たり、調味をしてつなぎと混ぜ合わせる。つなぎはおろし山芋、卵白、デンプンなどである。これを丸にとるなどして成形したものを、蒸す、揚げる、茹でる等するものを、真薯と言う。

    料理用語集TOPへ
  • さ行 「す」

    素頭落とし(すあたまおとし) 魚のカマ、胸ヒレの前から頭を直線に切り落とすこと。略して「すあたま」と言うことが多い。カマを付けて斜めに頭を落とすのを「かま下落とし」という。 酢洗い 魚貝の下処理のひとつ。主に貝に用いる。生臭みを抜き、余分な水気が出るのをおさえる。生酢、割酢(水で薄めたもの)に材料をさっと浸す。このあと合わせ酢をかけたものが「酢貝」である。殺菌にもなるので、貝類はできるだけ酢洗いしたい。 吸い笠 味見するときに使う小さな猪口。お玉で味見する人が多いが、好ましいことではない。 吸い口 お椀に入れる香辛料。略して「口」季節感が出せる、味を引き締める、ほのかな香りによる食欲の増進などの効果がある。椀の実に合わせ、木の芽、柚子、山椒、ミョウガ、ふきのとう、胡麻、海苔、葱、しそ、生姜、わさび、芥子、胡椒、すだち、れもんなどを使用する。 水前寺海苔 淡水産のノリ。藍藻類ネンジェモ科。熊本の水前寺周辺の池や江津湖が原産地であったことから水前寺海苔という名称になった。現在、天然ものはほとんどなく、博多の久留米や甘木(朝倉市)で養殖されたものが出回っている。※久留米では「紫金苔(しきんたい)」、甘木では「寿泉苔(じゅせんたい)」とも呼ばれている。 水晶煮 白い淡白な材料を煮る手法の一つ。冬瓜や白瓜などを半透明に茹でて、淡い味を付ける。煮物のほか椀や酢の物に用いる。 吸い出し 煮物をつくったあとの鍋に残った汁のこと。 吸い鍋 吸い物椀を、鳥ガラスープで作ることを意味する。 吸い物 広義には汁物、狭義には1番だしに塩と淡口醤油で薄味をつけた吸地を張ったすまし汁。すまし仕立てのみではなく、濁り仕立てもある。大きく分けて、陶器に入れる簡素で上品な吸い物である【茶碗】と、漆器に入れる簡素な吸い物である【椀】、漆器椀に盛る実沢山の吸い物である【椀盛】の三種がある。 末広 扇面のように先を広げる仕方を末広と言う。「地紙」「扇」と同じ。末広切り(すえひろぎり)胡瓜や茄子、人参、大根、竹の子の手元二割ほどを残し、縦に切り込みをを入れて扇のように広げる。または扇のような形に形成する。
    末広串(すえひろぐし)扇串と同じ。 酢貝 二杯酢や三杯酢をベースに各種の調味料を加えた酢をかける貝の酢の物。赤貝、みる貝、青柳、平貝、帆立貝、ほっき貝、鮑、栄螺、牡蠣などを、生のまま、あるいは酢洗いするかさっと湯に通すなどして酢と合わせる。 鬆が入る(すがはいる) 「ス」とは、蜂の巣状に穴のある状態のこと。内部がスカスカの大根・牛蒡などを意味する。「すがたつ」「すだち」卵や豆腐などは、温度が高すぎたり、加熱をし過ぎたりすると、表面や内部に気泡ができてしまう。それを「スが立つ」と言う。通常はこれを避けるため蒸気を逃したたり火加減を調整して対処するが、わざとスを立てる「すだち豆腐」「す巻き豆腐」などの料理もある。 杉板焼き 材料に杉の香りを移す焼き方。「片木焼き(へぎいたやき)」とも言う。材料は魚介、きのこ類、鳥獣肉など。薄塩をするか下味をつけおき、それを二枚の杉薄片で挟んで竹皮などで縛るか、杉板にのせて天火で蒸し焼きにする。 梳き引き(すきびき) ウロコが細かい魚の「こけ引き」手法。「すきとり」とか「すきごけ」とも言う。甘鯛、鮃、鰈、鰤などのウロコをとる時に用いる方法である。一般的には頭を右に置き、尾の方から出刃、相出刃、柳刃などを使って表面のウロコと薄皮を、身を傷つけないように鋸引きで削ぎ取る。人によっては頭を左にして内引きすることもあるが、外引きが正しい。 杉盛り 細作りにした身を山形に盛ること。深めの器に杉を思わせるように重ね盛る。
    主に茶懐石の向付に用いる盛り方で、刺身のほか和え物、酢の物なども同様にする。 掬い豆腐(すくいどうふ) 絹ごし豆腐や、卵豆腐を、包丁せずに使うこと。お玉のふちで切り、器に盛るか椀の実に。 酢牛蒡 柔かく茹でたごぼうを、ごま酢につける。 すじ ①動物の腱や筋膜
    ②関東風おでんの具である「すじかまぼこ」
    関西でおでんの「すじ」は牛の筋を意味しているが、関東では練り物の「すじかまぼこ」を意味する。すじかまぼこは、サメ軟骨や大型魚のすり身から出る筋を練り潰したものが主原料で、タラなどの身をつなぎにして棒状に形成し、茹で上げたもの。独特のコリコリした歯ざわりが特徴。 雀は小鳥のなかで一番美味いとされ、「小鳥焼き」とは雀を焼いたものを意味している。特に、寒い季節の雀は美味く、「寒雀」として珍重される。徐々に雀が出回ることもなくなって来たが、雀の旨さにちなんで色々な料理に雀の名前が残っている。
    雀焼き(すずめやき):本物の雀をタレ焼きにしたものと、小さなタイやフナを背開きにして串を打ち、雀に似せて照り焼きにしたもの。
    雀ずし(すずめずし):カスゴダイを酢締めにし、腹開きにして握る。尾を立てて雀のような形に仕上げる。和歌山の名物でもある。 酢取り 酢につけることを意味する。
    「酢取り生姜」「酢取り茗荷」「酢取り防風」など。
    1)酢を少量加えた水で茹でる
    2)ザルにあげて塩をふる
    3)冷めたら合わせ酢に漬け 簾剥き(すだれむき) 縞目むき」ともいう。茄子や胡瓜に縞目をつけて剥くこと。 簾骨(すだれぼね) 魚の腹骨(ガンバラ)のこと。 砂擂り(すなずり) 魚のハラモ(脂分が多い腹の身)をさす。(主に磯魚だが、カジキなどにも使う)また、尾に近いヒレを砂擂りということもある。 酢蓮(すばす) 「酢れんこん」のこと。薄く切った蓮根を酢水につけ、焼きミョウバンを加えたりしてさっと茹でたあとザルにあげて塩をし、冷めたら三杯酢に漬ける。酢水にさらしたあと三杯酢で茹でてそのまま冷ますやり方もある。 素引き 鳥の羽を湯引きせずに毟ること。 簀巻き切り(すむつかり) 「しみつかり」「しもつかり」「すみつかり」ともいう。関東地方の郷土信仰料理で、初牛の日に稲荷に供する。鬼おろしで荒くおろした大根に、煎った豆、人参、油揚げを加えて醤油で煮、酢を落としたもの。 簀巻き豆腐(すまきどうふ) 豆腐を巻きすで巻き締め、巻きすのまま八方だしで煮る。冷めたら巻きすを外し、包丁する。椀の実の他、煮物の前盛りにもする。 隅取り お重の詰め方の一つ。隅の方から料理を詰めていく方法。 素蒸し 下ごしらえのために材料をそのまま蒸すこと。調味はしない。 酢憤り(すむつかり) 「しみつかり」「しもつかり」「すみつかり」ともいう。関東地方の郷土信仰料理で、初牛の日に稲荷に供する。鬼おろしで荒くおろした大根に、煎った豆、人参、油揚げを加えて醤油で煮、酢を落としたもの。 摺り流し(すりながし) 汁が主役の椀。「すり流し汁」材料をすり潰して裏漉しにかけ、出汁でのばしながら加熱する。すまし、味噌仕立ての二通りあり、吸地は葛を引くと分離を防げるし口当たりも良くなる。すり潰す材料は魚介類(白身魚、ハモ、カニ、エビ、牡蠣、生うに、マグロ、アジ、イワシ、カツオなど)のほか、鶏肉、豆腐、銀杏、枝豆、栗など。口には葱、三つ葉、茗荷等のみじん切りが定番だが、柚子、木の芽、水芥子、すり生姜、粉山椒なども使う。 すんき漬 木曽御岳(王滝や開田)で作られる塩を使わない漬け物である。原料は王滝カブラの葉。熱湯に通した葉を熱いまま「漬種」を用いて桶で漬ける。 打豆(ずんだ) 打豆とは、茹でた枝豆をすり潰して塩や砂糖で調味したものである。菓子では宮城県の「ずんだ餅」、料理では「茄子の打豆和え」など。 ずんべ ずんべとはトコブシの一種で、小型の鮑のような貝。これを炊きこみご飯にする。
    「ずんべご飯」は山口の郷土料理。

    料理用語集TOPへ
  • さ行 「せ」

    青藍海苔 徳島県那賀川産の川のり。
    淡水のカワノリは、栃木県から九州にかけての太平洋に注ぐ川の上流でのみ採取される。
    それを原料に、すいて乾燥させたものが、日光の「大谷川のり」、東京秋川の「多摩川のり」などであり、徳島の青藍海苔もその一つである。 清涼殿蒲鉾 赤、青、あずき色の、腰高カマボコ。清涼殿とは平安期の御殿のことで、器に盛る時の姿でこれを表現したものであろう。各色ごと順番に盛り付ける。 赤飯 祝い事に使う飯で、今は「おこわ」と同義。不祝儀には小豆を黒豆に代える。もち米とその1割程度の小豆を使用して蒸すか、あるいは炊いて作る。先に小豆を破れないように弱火で煮て、煮汁にもち米を浸け、蒸籠で打ち水をしながら小一時間蒸す。時間を短縮するために炊く場合はもち米に米を混ぜるとよい。 背越し 小魚を刺身に造る方法のひとつ。主にアユに用いるので、「背越し鮎」とも言う。若い鮎や鮒をヒレ下から切り、箸で内臓を除き、ヒレを落とし5mm厚さで小口切りにする(筒切り)それを冷水で洗い、身がはぜたら水気を拭き取り、器に盛って酢醤油やたで酢、酢味噌などを添える。 節味噌(せちみそ) 香川県の「讃岐味噌」を節味噌と呼ぶことがある。白い甘味噌で、正月の雑煮などに使うことから節味噌とも呼ばれる。 雪花和え(せっかあえ) 「卯の花和え」の別名である。 節句蕎麦 桃の節句に食べる五色そば。 節句 「節供」ともいう。季節祭である。神々に料理を供え、その料理を食べて邪気払いする。
    主に下の五節句を指している。
    1月7日 人日(じんじつ)
    3月3日 上巳(じょうし)
    5月5日 端午(たんご)
    7月7日 七夕(たなばた)
    9月9日 重陽(ちょうよう) 雪平(せっぺい) 雪平は和菓子の練り物である。求肥に白練切餡と卵白を加えて練りあげたもの。へらを使って、やや大きめに花びらの形などに仕上げ、主に引き菓子にする。 銭形切り 六文銭の形に切る刀法で、「銭切り」ともいう。小口に切った野菜の芯を杉箸で角型に抜き、椀種、煮物、酢の物、口代りなどに使う。 料理を載せる台のこと。形は円形、角形、楕円形、半月など様々。足がないものと足つきの二種がある。足なしを「折り敷」という。足付きは、棒足(ぼうあし)、宗和足(そうわあし)、猫足(ねこあし)、蝶足(ちょうあし)、亀足(きそく)、胡桃足(くるみ あし)、三方(さんぽう)などがある。
    昔は各家庭にあった箱膳は中に食器が納まるようになっている。また、持ち運びする岡持ちは膳ではない。 膳置き 「膳組み」ともいう。手前左側に飯椀、右側に汁椀、奥に向付が基本。流儀ごとに置き方が決まっている。 千切り 野菜を細長く切る最も一般的な手法。まず2~3寸高さに切り揃えて薄切りにし、それを重ねて縦から細く刻む。刻み幅により「荒せん」「中せん」「極せん」「針せん」の種類がある。 前菜 料理の前に酒に添えて出す3品ほどの小さくまとめた少量の料理。冷めても美味しく、なおかつ食欲をそそり、見た目に美しくなければいけない。海のもの、山のもの、里のものを取り合わせて三種盛り、五種盛りにする。五色を基本として配色に気をくばり、味も各自変化をつけるようにする。総合的に後から出てくる料理に期待感を持たせるような仕上げでなければいけない。元々日本料理にはなかった献立で、西洋料理や中国料理から近代になって導入されたものである。 善哉(ぜんざい) 関東ではお汁粉。小豆を煮崩して砂糖を加えた汁。餅、粟、蕎麦、栗、白玉等を入れる。 船場汁 サバを使った潮椀で、大阪の問屋街、船場に由来。塩サバの骨と頭、昆布でだしを取り、大根を入れて煮る。酒を加えて臭みをとると同時に味を整える。吸い口は露生姜、木の芽、胡椒、酢など。野菜を多めにした『船場煮』もある。 千本揚げ 天ぷら衣を用いる変わり揚げ。魚に天ぷら衣をつけ、そうめんをまぶして揚げる。白色のそうめんの他、黄色、茶色のそうめんを使う。 扇面切り 末広切り、おうぎ切り、地紙切りと同じく、扇の形に切り出す。 千六本 四条流の刀法のひとつ。小口からマッチ棒ほどの幅に切る。 千松 米飯のこと。

    料理用語集TOPへ
  • さ行 「そ」

    雑炊 ご飯に雑多な材料を加え、煮だし汁をベースに、醤油味、みそ味などで炊いたもの。
    「おじや」ともいう。生の米から炊く粥に近い雑炊もあるが、基本的にはご飯から作る。水を増すことで出来上がりの容積も増加することから、米の節約のために作っていたと考えられ、「増水」が本来の表記ではないかという説もある。一般的に野菜や魚介鳥獣肉を用いて作った汁物(鍋や味噌汁)の残りを利用して作ることが多く、そのほうが美味しく出来上がる。煮汁に加えるご飯は、いったん洗って入れると粘りが出にくくなり、さらり とした雑炊になる。もっとも、増水が目的の節約料理であった昔は、わざと粘りを出してカサを増やしていた筈で、現代とは逆だったであろうと思われる。 宗太節(そうだぶし) 主に蕎麦やうどんのダシ材料になるかつお節である。濃厚で香りが強く、色の濃いだしがとれるので、吸い物などに使う一番だしには適していないが、麺類のだしには最適。カツオの一種である宗田鰹(惣太鰹)(ソウダガツオ)をかつお節に加工したもの。宗田鰹は「マルソウダ」と「ヒラソウダ」の二種類が存在し、マルソウダガツオは別名「めじか」と呼ぶ。なので宗太節のことを「めじか節」と呼ぶこともあり、小型のものを「ささめじか節」という。これは笹の葉に似ているためである。
    主な産地は、鹿児島、熊本、高知。 雑煮椀 正月料理のお雑煮のこと。
    餅が主役になるお椀である。
    一般的に関東はすまし、関西では味噌仕立てが多い。しかし地方、家庭によって仕様は千差万別でもある。主なものを列挙すると下記の様になる。
    北海道:味噌・すまし 鮭の身と腹子、地のじゃが芋、青菜
    秋田:すまし 大根、里芋、人参、蒟蒻、焼き豆腐
    仙台:すまし 鮭腹子、せん牛蒡、せり、大根、人参
    東京:すまし 海老、小松菜、蒲鉾、柚子の吸い口
    京都・大阪:白味噌 大根、牛蒡、里芋、焼き豆腐
    金沢:すまし 焼き鯛、くわい、里芋
    岡山:すまし 塩ぶり、地野菜
    長崎:すまし 鶏、塩ぶり他あらゆる具を多種
    鹿児島:br すまし 蒲鉾、椎茸、青菜、魚類
    その他中国風の鶏雑炊、洋風のコンソメ・ポタージュ風など。基本的に焼き餅を使うが、アン入り大福を使う地方もある。 素麺 奈良時代に中国から渡来した小麦食品。小麦粉を塩水で練り、棒状に延ばして油を塗り乾燥させた生地で細く製麺する。径の太さによって「そうめん」「冷麦」「うどん」に分けており、製造方法は「手延べそうめん」と「機械そうめん」の二種がある。なめらか、茹でのびしない、強靭で歯切れがよい、などが上等なそうめんだとされている。最高級の素麺を「ひねもの」といい、これは「厄」を経て芯が強靭に変質した素麺のことである。厄とは寝かせている過程でグルテンが変質し脂質が酸化してしまい、劣化とは逆に麺が強靭になる現象の事である。料理に使う素麺としては、「白滝そうめん」「卵そうめん」「紅花そうめん」「挽き茶そうめん」などがある。料理法としては、普通に素麺として茹でるほかに揚げたり、結んだりして使うことがある。また、細長く造る献立にそうめんの名をつけることも多い。祝事の献立に使う場合、「あや白髪」と書くことがある。 添え 「あしらい」と同義。主役の料理に添えるもの全般を意味する。
    添え串(そえぐし):焼き魚などで串を打つ際に、安定させるために打つ補助串を添え串という。
    添え褄(そえづま):刺身のあしらいであるツマのひとつ。他に敷きづま、立てづま、飾りづま等がある。
    添え盛り(そえもり):刺身の作り身のこと。刺身はまず土台になる作り身「台盛り」を置き、その手前に「前盛り」を配置する。この前盛りのことを添え盛りという。三種盛りの場合は、「台」「前」「添え」の三種にして盛り合わせる。 底塩 漬け物はまず容器に塩を振る。それを底塩という。その上に材料を並べて塩を振り、これを繰り返す。 蕎麦寿司 ソバの海苔巻き。茹でそばを広げ、卵焼きを中心においてすだれで海苔巻きにする。
    そばつゆの他、ワサビと水を添える。 そぼろ そぼろは、魚、エビ、鶏肉などの身肉を加熱して繊維を細かくしたもの。また、炒り卵もそぼろと言う。そぼろの語源は粗朧(そおぼろ)だとされており、非常に細かくしたものをおぼろ(朧)と呼び、それよりも粗いものをそぼろと言うようになったらしい。そぼろに調味を加え、炒りあげたものが「さくら田麩」である。食紅で色をつけることもある。以上は商品としてのそぼろであり、料理においては少々異なってくる。料理では生から炒りあげるものをそぼろと呼び、茹でたあとほぐして炒るものをおぼろという。どちらも生卵を加えて仕上げる。すしオボロは、上身を茹でて水に よくさらし、当たり鉢やミンチにかけて細かくしたあと炒り煮しながら調味を加えて仕上げる。最高は芝海老のオボロであるが、一般的には白身の魚を使う。すしのオボロには卵を加えないのが普通。そぼろを使った料理としては、「そぼろご飯」、「そぼろ餡」がよく知られる。鶏そぼろを芯にしていり卵や湯取卵で巻しめる「卵そぼろ」などもある。 染め卸し 大根卸しに醤油で色を付けたもの。焼き魚や卵焼きのあしらいなどに。

    料理用語集TOPへ
  • た行 「た」

    大安寺汁 奈良の伝統的豆腐料理。かやの実油で仕立てる。 鯛兜 タイの頭を丸ごと使用する料理に用いる名称。その形が武士の兜に似ているのでこう呼ばれる。代表的な献立が「鯛の兜煮」醤油味で仕上げ、木の芽や柚子を天盛する。 鯛の兜焼き 鯛の頭を切り離さずに開いて薄塩で焼く。盛り付ける際、薄い汁を張ることもある。 大学芋 さつま芋を油で揚げて糖蜜をからめたもの。安価で高カロリーであることから学生に人気のある食べ物だったので、この名称になったという。サツマイモを輪切り、乱切り、拍子木切りなどにし、水に浸けアクを抜いたあと、中温の油でじっくりと揚げる。砂糖と水で作っておいた蜜をからませ、黒ゴマをふって仕上げる。 鯛蕪 鯛と聖護院蕪を多めの汁で炊いた京都の煮物。柚子の皮を刻んで添える。 鯛飯・鯛ご飯 鯛の炊き込みごはん。様々な調理法があり、作り方は一様ではないが、概ね下記のような手法である。
    ・鯛を焼いて米と一緒に炊き、身をほぐしてご飯にまぜる作り方
    ・鯛を醤油味で煮て、その煮汁と水を合わせてご飯を炊き、鯛の身をご飯に散らす
    作り方
    鯛飯(たいめし) 鯛のそぼろご飯。松江や伊予の郷土料理でもある。鯛を茹で、身をそぼろ(紅を加えることもある)にして錦糸卵などと一緒にご飯にのせる作り方。ご飯は鯛の茹で汁を漉したもので炊く方法と普通の醤油味で炊く方法がある。 鯛茶 「鯛茶漬け」ともいう。新鮮な鯛の身を使ったお茶漬けである。鯛の身をそぎ切りにしご飯にのせ、熱い茶をかける。山葵ときざみ海苔も加える。一般的にそぎ身に胡麻醤油で下味をつけてからののせることが多い。お茶は煎茶、またはほうじ茶や番茶。玉露の粉茶を用いることもある。 鯛ちり 鯛を主材料にした「ちり鍋」である。たいの切り身のほか、春菊又はホウレン草、長ネギ、糸こんにゃく、豆腐、山菜やきのこ類などを昆布だしで煮る。れんげ、受け皿、ポン酢などを用意して食べる。薄切りにした鯛の身をしゃぶしゃぶ風に食べるのは「鯛しゃぶ」である。 大徳寺納豆 塩辛納豆のことで「寺納豆」ともいう。豆味噌のような風味で塩辛い。色は黒褐色。
    大徳寺納豆とは京都産の寺納豆を指しており、他に浜名湖産の「大福寺納豆(浜納豆)」もある。 大徳寺麸 津島麸のこと。別名「利久麸」ともいう。京生麸と同じく料理に使う生麩のひとつ。
    椀種、酢の物、和え物のほか、精進のお向こうにも使用する。 鯛南蛮 葱、又は唐辛子を入れた鯛の椀や鍋。紫蘇のみじん切りを加えた物も南蛮という。 台の物 ①焼き物のこと
    ②足付きの台にのせた料理(遊郭への出前(仕出し)がそうであった) 鯛味噌 なめ味噌(加工味噌のひとつ)の一種。茹でた鯛の身を荒潰しにして白甘味噌と混ぜ、練りあげる。調味を加えることもある。製品としての鯛みそは、鯛とタラのそぼろを仙台みそと合わせて調味して練ったもの。仙台の「三年たい味噌」が有名。松島近辺が発祥とされ、昔ながらに鯛の身のそぼろだけを使い仙台味噌と合わせて三年間貯蔵して作られる。 大名焼き 野鳥や野菜を串焼きにする箱根地方の郷土料理。砂糖と醤油(両味)の辛いタレで焼く。 鯛麺 ① 広島、愛媛の郷土料理で、そうめんと鯛を盛り合わせたもの。鯛を姿で盛り、波のように茹でそうめんを盛る。鯛は竹皮を敷いて醤油味で煮たものか、塩焼きの鯛の、いずれかを用いる。
    ② 鯛の身を材料にした「魚そうめん」 台盛り 盛り合わせる刺身の主役になる切り身(作り身)を台盛りという。主役とは鯛や鮃、鮪などを美しく引いたものを指す。掻き身や細作りの刺身、小魚など、添えに使うようなものは台盛りにならない。
    台(だい)
    煮物などの盛り付け用語で、「枕(まくら)」ともいう。料理を器に寄せ盛りする際に、最初に配置する土台的なものが台である。これに寄り添う形で次を盛る。 高砂和え 穴子の漉し身と青菜の和え物。穴子は白焼きにして裏漉しにし、白ゴマ、みりん醤油で調味して軽く茹でた青菜と和える。兵庫県高砂の穴子が高名であることからの献立名。穴子の替りに、煮た白身魚のほぐし身を使うこともある。 鷹の羽弁当 信玄弁当(袋に入れた携帯弁当)のこと。鷹の羽は武田信玄の衣替え紋。 宝煮・宝蒸 宝蒸し(たからむし)小型の冬瓜・南京の天を落とし、中をくり抜く。そこに鶏や魚介そして野菜類を詰めて蒸す。 滝川豆腐 ガラス鉢などに盛る夏向きの涼しげな献立。その姿が滝川のようにみえることからこの名がある。豆乳(あるいは裏漉し豆腐)をゼラや寒天で固める。流し缶で冷やし固め、細長に包丁するか、天突きで麺のように突き出す。冷たい出汁割醤油をかけ、山葵やふり青柚子を。 焚き合わせ 関西風の煮物。「煮合わせ」ともいう。二種以上の煮物をひとつの器に盛り合わせる。 竹焼き 別名「鮎の竹筒焼き」竹を縦に割り、鮎を入れて蓋をし、蒸し焼きにする。
    竹皮焼き(たけのかわやき)
    ① しめらせた竹の皮に味をつけた白身魚をのせて焼く
    ② 小鳥を骨ごと叩き、だし味をして油を塗った竹皮で焼く 竹鍋 1)太い孟宗竹の両節のあるものを裂き鍋を作る
    2)野菜や白身魚を小粒に切り揃えて下煮する
    3)竹鍋に材料を入れて熱い鍋地を張り火にかける 竹卵 若い竹の子を二つ割にし、半熟卵を射込み、蒸す。 竹虎椀 葱と油揚げだけの汁。 田吾作料理 広義には農家発祥の「田舎料理」のことを意味する。狭義には福島県飯坂温泉の郷土料理。献立は「木の芽田楽」「かじかの甘露煮」「うどの酢の物や一夜漬け」「わらびの味噌煮」「たらの芽天ぷら」など。 田毎蒸し 信州田毎の月※を表現した料理。※長野県更科にある冠着山麓の水田に映る月
    ① 茶碗蒸しに鶉卵を落とし少し蒸し足す
    ② 白身魚、野菜などに泡立てた卵白をかぶせて蒸し、卵黄か鶉卵を落としてさらに少しだけ蒸す。 葛の銀あんをかけて仕上げる。 襷落とし(たすきおとし) 大名おろしのこと。 手綱 三種以上の材料を斜めに並べてねじり、手綱に似せる。切り方、作り方、料理。
    手綱押し:薄く切ったキュウリを塩でしんなりさせ、これを押し枠に広げる。その上部に「いり卵」「えび」「しめサバ」などを斜めにして並べる。押しをかけて、短冊形に切り分ける。主に酢の物として使用する。胡瓜の代わりにすし飯を用いたのが「手綱ずし」
    手綱切り:手綱に似せた切り方。手綱抜き」という器具を用いることが多い。
    手綱作り:刺身技法のひとつ。寸法を合わせて薄い短冊に切った刺身を並べ、 叩き 調理法のひとつである。文字通り包丁などで叩く。菜や柚子などを刃叩きして潮やあら煮、かぶと煮などによく使う。他に、カツオの焼き霜作りのような手法もたたきと呼ぶ。(これが叩きと呼ばれるのは、焼き霜にした後切って薬味等とまぶしてから手のひらで叩く過程があったからである)
    叩き寄せ(たたきよせ):鶏・魚肉を包丁の刃で細かく叩き、卵をつなぎとして加熱調理したもの。
    叩き揚げ(たたきあげ):鶏・魚肉を包丁の刃で細かく叩き、小麦粉や片栗粉をまぶして揚げたもの。豆腐など他の材料を混ぜることもある。やや濃い目の天だしで供する。
    叩き木の芽:木の芽を包丁で刃叩きして木の芽焼きや木の芽酢に使う。
    叩きごぼう:酢水などでアク抜きしたゴボウを、すりこ木や包丁の峰や腹などで叩いて味をしみこみやすくすること。
    叩き鱠(たたきなます):「沖なます」とも呼ぶ。アジなどの上身を薬味や味噌と混ぜ叩いて作る漁師の沖料理。 橘卵 橘の花に似せた飾り卵。
    ① 素半紙で半熟卵の黄身を包み白身につける
    ② 半熟卵の黄身を一晩味噌漬けにする「黄身漬」 竜田 紅葉のような色に仕上げる料理。主に醤油で色を出すが、エビなど素材色を利用することもある。「龍田」と表記することもあるし、「立田」と当てる人もいる。龍田は「龍田の錦」つまり紅葉のことである。奈良県生駒にある
    「竜田川」の紅葉は名物であり、その美しさにちなんだ献立名である。
    竜田揚げ(たつたあげ) 魚介類や鳥獣肉を醤油・酒・味醂に浸けて下味を付け、葛粉か片栗粉を打って揚げる料理。「くず揚げ」ともいう。昔は切り込みを入れて紅葉の形を強調する作り方もあった。
    竜田焼き(たつたやき) 白身魚や鶏肉に味醂醤油につけて焼き、味噌だれを塗って仕上げたもの。 竜田豆腐(たつたどうふ)
    ●寒天寄せ
    豆腐、桜えび、葱を炒りあげて寒天で寄せる。「真砂豆腐」ともいう。 ●揚げ煮
    1)裏漉し豆腐を砂糖で調味し、つなぎ粉を加える
    2)茹でた小豆も加えて成形し胡麻油で揚げる
    3)油をきって煮物に用いる 伊達側 魚のすり身に卵を混ぜて焼いたものを伊達側という。のり巻きの具などに使用していた。 玉子の素 略して「たまもと」卵黄とサラダ油を混ぜたもので、練り物やしんじょうに加えてふっくらさせる用途に使う。酢の入っていないマヨネーズのよう なもの。 玉締め 「しめ卵」「湯取り卵」ともいう。溶き卵を、少量の塩を加えて煮立たせた出汁に入れてゆるやかに固め、取り出して巻き簀で締めて冷まし形を作 ったもの。※ 広い意味では「卵とじ」など卵の凝固力を利用した料理全般に使われる言葉でもある。 玉地 小田巻きや空也蒸しなど蒸し物の地。だし汁と卵液を合わせて調味した汁。 玉酒・玉割 「玉」とは、関東で水を意味する調理用語。水源であった多摩川の水に由来する。魚の下洗い等に使う「玉酒」は酒を水で割ったもの。一般的に同量の水で割る。「玉割り」とは水で薄めることを意味する。 玉味噌 木の芽味噌や酢味噌などの調理味噌のベースになる味噌を玉味噌という。
    味噌(赤味噌も使うが普通は白味噌を使う)に、酒、みりん、などを加えて火にかけて、練りあげて作る。卵黄やだしも加える場合もある。これを 冷蔵保存しておき、必要に応じて使用する。酢を加えてのばせば酢味噌になり、青寄せや叩き木の芽を混ぜれれば木の芽味噌になる。他にも色々 使える便利な味噌である。 俵煮 油揚げを横二つに切り、具を入れ煮込む。仕上げが俵形になるようにする。 丹波 京都と兵庫にまたがる丹波地方は大粒の栗の名産地。その栗を丹波栗と言い、それに因んで栗を用いる料理を丹波という。たんに含ませただけの 「含ませ栗」や、それを裏漉しして利用するもの。甘栗を蒸し物の具にするものや、うに和えにするなど、丹波の献立は多彩である。
    丹波蒸し:剥いた栗を薄切りにし、白身魚の上にのせて蒸す。カンナを使って栗を薄く削ぐ手法もある。
    丹波焼き:白身魚に泡立て卵白をかぶせ、上に薄切りの栗をのせて焼く。
    丹波揚げ:薄切りの栗と片栗粉を合わせて衣とする。小魚やエビなどに下粉をし、卵白をつけ、衣で揚げる。

    料理用語集TOPへ
  • た行 「ち」

    千切蒟蒻(ちぎりこんにゃく) こんにゃくを切る際包丁を使わず指でちぎったり、お玉や茶碗などで掻き切ること。切断面が荒くなることで調味料がしみこみやすい。むしり蒟蒻ともいう。 筑前煮 鶏と野菜の煎り煮。博多の郷土料理。「炒り鶏」ともいう。福岡では亀煮(がめ煮)と呼ぶが、これは元々スッポンを材料にしていたからで、今は 鶏肉でもがめ煮である。骨付き鶏のぶつ切りを油で炒め、大根人参、牛蒡、蓮根、里芋、椎茸等を加えさらに炒り、水を加え両味(砂糖、醤油)で 煮込む。また、炒めものに水溶き片栗粉でとろみを付ける料理を筑前煮という場合もある。棒鱈や小芋などを加えた京都風を「筑前だき」という。 千草 色々な材料を取り合わせる料理を千草という。「たくさんの」という事でもある。また、千草は「青い材料」も指している。「百草(ももぐさ)」も同じ意味。「千草和え」「千草焼き」「千草揚げ」「千草蒸し」など。 池鶏子(ちけいし) 食用ガエルのこと。蛙の肉が鶏に似た味であることから。 稚児餅(ちごもち) 蝋燭形のもち。外側は求肥、中は白味噌。元々は京都三条、若狭屋の特製品。 地粉 地粉は地元で生産した小麦から作られた小麦粉。日本各地の小さな製粉工場で少量が生産される。 茶巾 茶巾とは茶道で使用する布のこと。この布に見立てた料理、料理法を茶巾という。
    茶巾しぼり:「茶巾絞り」は、栗、百合根、芋類、豆腐などを裏漉しして布巾で絞り上げ、絞り目をみせる。「**茶巾」という具合に、材料が献立名になる。ご飯の場合は「茶巾めし」
    茶巾ずし:薄焼きの卵焼きを茶巾に見立てすし飯を包む料理。「大内山」ともいう。包み方は様々で、長角に畳み込む「袱紗ずし」や、中央をすぼめたり切り開いたりして小物入れ(茶巾)に似せるやり方などがある。
    茶筅切り(ちゃせんきり):抹茶用の道具、「茶せん」に似せた刀法。代表的なのがナスの茶せん切り。ヘタを残し茄子の下部に数本の切り込みをする。これを煮ると「茶せん煮」 茶通 和菓子の焼き物である。小麦粉、抹茶、卵、砂糖で生地を作り、胡麻あんを包む。煎茶の葉をのせて焼き、仕上げに蜜を糸状に塗る。 茶事 茶礼と食礼を融合させたもの。懐石と茶の湯(濃茶)が合わさった作法。 茶屋鰊(ちゃやにしん) 身欠きニシンの生姜煮。両味(砂糖醤油)で甘辛く仕上げる。 中串(ちゅうぐし) 鰻蒲焼の中サイズ。 忠七飯(ちゅうしちめし) 炊きたてのご飯に海苔、山葵、柚子をのせ熱い汁をかけて食べる。
    埼玉小川町の郷土飯。 蝶作り 蝶の姿に似せる飾り切り。鮑の柱、赤貝などを、中央まで小波で切り、開く。 調理師 調理師には【調理師】【製菓衛生師】【船舶料理士】などがあり、いずれも免許を取得しなければ名称を使用出来ない。さらに専門調理師・調理技能士・職業訓練指導員という高度な専門資格も存在する。しかし実際の現場において必要性があると言えるのは(資格により待遇が向上するのは)【ふぐ調理師】と【職業訓練指導員】くらいのものである。名称も曖昧であり板前全般を【板前】と呼称するのと同じく洋食でも一般のキュイジニエをシェフと混同する。さらに全体を料理人(調理師)と呼称するのであるから、この免許制度の現実的意味合いは薄いと言わざるを得ない。 散らし盛り 一箇所にかためず、器全体を使い、離して盛る。刺身や前菜等の盛り付け方である。 ちり 「ちり」と名のつく献立には「ちり鍋」と「ちり蒸し」がある。
    「ちり酢」はポン酢を意味する。たんに「ちり」という場合はちり鍋のことである。白身魚の薄造りも「ちり作り」ということがある。 魚の切り身を熱湯に入れると縮んで「ちりちり」身が爆ぜるようになる。その様子を表現した料理名と云われる。つまりオノマトペ(擬声語)が変化して料理名となったようなものである。ちり蒸しは、白身魚や貝を野菜と合わせて昆布を敷いた蒸し鉢にのせて玉酒を注いで蒸し上げたもの。「徳利蒸し」ということもある。ちり鍋は、昆布を入れた鍋で煮る。 ともに野菜はアクのないものを選び、豆腐なども加え、ポン酢で食べる。使う材料によって「たいちり」「たらちり」「ふぐちり(てっちり)」「かきちり」「かにちり」など。複数を合わせて使う場合は「寄せちり」

    料理用語集TOPへ
  • た行 「ち」

    掴み 調味料を計る目分量のこと。つかみ砂糖、つかみ塩、つかみ味噌。レシピ本に「少々」とあればそれは指三本でつまんだ分量であり、3グラム前後である。
    つかみ仕立て:味噌汁の仕立て方のひとつ。三州味噌は当ると苦味が出るので、だしに浸し手で掴み潰してから加熱して漉す。 突き出し お通しと同じ。料理の前に出す簡単な酒の肴。 月の雫 信州葡萄に糖衣をきせたもの。 月見 月見芋(つきみいも):山芋とろろにうずら卵
    月見蕎麦(つきみそば):かけそばに生卵
    月見団子:上新粉で作った団子を、十五夜には15個、十三夜には13個、里芋、柿、栗、ススキ等と供える。 佃煮 海産物(海藻・魚貝)を味醂・醤油で煮しめたもの。大阪の陣で手柄を立てた摂津西城郡佃村の名主「森孫右衛門」は、恩賞として幕府から江戸湾内の漁業権を許されて佃島に住んだ。彼が雑魚の処理に蔗糖と醤油で煮た物を売り出したのが始まりとされる。 突羽根 ビャクダン科の落葉低木「衝羽根(ツクバネ)」の果実。果実の先端には花の後に苞が残り、羽根突きの羽子(はご)に似ている。よく似た「ツクバネソウ」はユリ科であり別種だが、やはり衝羽根に似た実がなる。羽子板の羽根によく似ている形から正月料理に使われるもので、秋に実った果実を塩漬けや酢漬けにしておき正月の椀盛やおせちに使用する。献立には「津久羽根」と表記することもある。 津久根 津久根は当て字で、「捏」と当てることもある。つくねの意味は手でこね丸める事であるとされる。魚や鶏肉、時に野菜などを混ぜ、細かく叩くかミンチに挽いて、卵、山芋などをつなぎとし、練り上げてから団子のように丸める。鶏が主原料の場合は「つくねどり」と呼ぶ。これを揚げたものが「つくね揚げ」、焼いたものが「つくね焼き」である。煮たり蒸したりもする。 造り板 切った刺身を仮置きする板。宴会等で多量の器に刺身を盛る場合などに使用する。
    塵取りのような囲い枠、又は互い違いの足が付いており、「抜き板」とほぼ同じものである。何段かに重ねることができるようになっている。 付け包丁 蛸引に似た刃の無い長い包丁で、板物の形成用。板物とは主にカマボコを意味し、すり身を板にのせて形を整える用途に使うヘラのような包丁である。菓子作りにも使用する。 漬物 塩などを使い、魚介、鳥獣肉や豆腐、豆類などを漬け込んだもの。主流は野菜を漬けたものである。数時間で漬ける「即席漬け」一晩漬ける「一夜漬け」1ヶ月以上を目安にする「保存漬け」保存漬けでも期間により浅漬から古漬けまで様々。 つけば ① 漬け場(つけば)鮨店のカウンター内部のこと。鮨の仕事は漬ける作業が多かった名残り。
    ② 付け場(つけば)鯉類など川魚の産卵場である。特に千曲川の浅瀬を指し、初夏の産卵期に漁獲した魚をそこで食べる料理が「付け場料理」 筒切り 丸の魚を骨ごと輪切りにする刀法。骨からも旨味が出るし、煮崩れにくいので煮物料理に向いた切り方であり、サバの味噌煮などが代表。直角切り、斜め切り、銭切り、小口切りなども同様の意味で用いる。 包み揚げ 火の通りがよくてクセのない主材料を別の素材で包み、薄衣で揚げる料理。包む素材は湯葉、薄焼き玉子、大葉、ライスペーパーや春巻き皮など様々である。主材料に油を吸わせたくない場合は、和紙やセロハン紙で包んで揚げるとよい。 包み焼き 魚介や鳥獣肉、野菜・きのこなどを包んで蒸し焼きにしたもの。昔は竹の皮とか葉蘭で包んだが、現在はアルミホイルで包むのが普通。素材の風味を逃がさない調理法である。蒸し器で仕上げたものは「包み蒸し」である。味付けや手法は洋風料理の要素も取り入れて多岐にわたる。 苞揚げ(つとあげ) 「つと」とは藁束や、植物の皮などを束ねた「菰(こも)」のようなもので料理を包んだものである。「わら苞納豆」のような形になる。献立の「つと揚げ」は、藁の代わりにそうめんや茶そばを使って材料を包んで揚げたもの。 繋ぎ 材料にネバリ(粘着性)を与えたり、なめらかにするなどの目的で加えるもの。 小麦粉、葛や片栗)、米粉、卵白、おろし大和芋、しんじょ、海老肉など。デンプンを含んだ食材がよく使われる。 椿作り 椿の花に似せた料理。お造りや「椿ずし」などがある。鮪やスモークサーモンなどを薄く切り花弁を作る。芯には菊花の酢漬けやいり卵を。椿の葉があれば下に敷く。 本膳献立の一つ。二の膳にのせて出す蓋付き陶器に小煮物を。 懐石の器。主になますを盛る極小のうつわ。 壺酢 鹿児島の福山などで製造される「黒酢」のこと。中国式の壺で熟成、発酵させるのでこの別名がある。1~3年と発行期間が長く、黒っぽい色になるが、基本的には米酢と同じものである。健康飲料としても名高いが、過剰な健康効果を期待すべき根拠はない。 蕾漬け(つぼみづけ) 菜の花のつぼみを塩漬け、糠漬けにした京都の食品。椀種などに使う。 つぼ抜き ① 魚の口からエラごと内蔵を抜き出す
    ② エラぶたを広げてエラと内臓を抜き出す
    ③ 頭を落とした魚の腹を切らずに内蔵を抜き出す
    いずれの場合も、エラの付け根を切り離し、包丁の先や割り箸、あるいは指先を使って行う。 壺焼き さざえ等の巻貝を殻ごと焼いた料理。一般的にはサザエを使用する。醤油に酒とみりんを加えたものを差して焼く簡単な浜焼き風から、「吸地仕立て」「煮物仕立て」など作り方は様々である。器に盛る場合は一塊の塩を置き、その上に殻ごとのサザエをのせる。塩にアルコールをかけて火を点ける演出もある。 つま 刺身に添えるあしらいの品。「褄」「妻」などの字を当てる。刺身を引き立て、盛り全体を美しくする為と、「消化を助ける」「毒消し」「臭み消し」などの目的を兼ねている。食用が目的でない「飾り物(飾りづま)(細工物)」もあるが、殆どは刺身の合間に食べられる素材を使っている。 大別すると、
    敷きづま」(枕づま)(置きづま)「立てづま」(前づま)「飾りづま」「添えづま」
    けん:ダイコンやキュウリやニンジンなど桂むきにできる野菜を薄く剥いて極千に打ったものを水にさらしパリっとさせたもの。つまの一種。野菜の繊維にそって打ったものが「縦けん」繊維を切断するように横打ちしたのが「横けん」使い方は刺身の下に敷く「敷きづま」(これを横けんを使う場合が多い)か、刺身の後方に立てる「立てづま」(これは縦けんを使う)など。
    つま桶(つまおけ):つまを入れておく小判型の桶で「あしらい箱」という。現在はほとんどがステンレス製でありフタ付きのバットにステン缶が並んでいる仕様。つまり「薬味入れ」と同じような作りになっていて、併用して使っていることが多い。 妻折り 焼き魚の串の打ち方で「つま折り串」という。爪折りとも書く。切り身にしにくい細長く小さな魚や薄い切り身などの端を曲げて串を二本刺す。 片づま折り=尾を折り曲げて打つ
    両づま折り=両側を曲げて打つ
    友づま折り=頭を折ったものと、尾を折ったもの二種を盛る つまみ物 「つまみ」のことである。撮み、摘まみ、抓み、などと表記する。簡単な酒の肴を意味する。 撮み胡麻 二本の指で胡麻をつまんで潰し、香りを出す。吸い口などにする。「ひねりごま」ともいう。 撮み御料(つまみごりょう) 乾しわかめを具にしたおにぎり。島根県の郷土料理で、漁師が後醍醐天皇に献じたという故事にちなんで御料の名に。 つまみ盛り 刺身の盛り方のひとつ。「そく盛り」ともいう。鮎、イカ、サヨリなどを細めに作り、箸でつまみ上げるようにしてまとめ、山形に整える。 つみれ 「摘み入れ(つみいれ)」を略してつみれと呼ぶ。魚肉や鶏肉のすり身を調味し、つなぎを加えて団子状に丸め、それを摘み取るようにして煮立った汁に入れる。この調理法からの名。肉類の他、豆腐、芋、野菜などを材料にするつみれもある。仕立ては味噌や吸地など。「つみれ汁」や「つみれ鍋」などにする。 つめ 醤油、酒、砂糖、味醂などを煮詰めたつゆ。濃く仕上げて照り・粘度を出し、刷毛で塗るつけだれ。穴子の煮汁に調味を加えて作る。 爪型切り 主に野菜を切る刀法のひとつ。かの爪=三角形の薄切り駒爪=筒を斜め切りにする。乱切りに近い。 光沢出し(つやだし) 味醂や卵黄で料理に照りをつける。 汁煮染め 福島、会津の郷土料理。汁気の多い煮物であり、朱い会津塗の椀に盛る。
    材料は地元の野菜が主体。 強霜(つよしも) 沸騰湯でしっかりと火を入れる霜降り。深霜。 面水(つらみず) 茹で上げて盛りつけたソバに打つ水。蕎麦屋の用語。 氷柱(つらら) 細切りにした材料に葛をつけて茹で、冷水で洗うと葛が透明になり、つららのようになる。夏に涼を表現する料理としてよく献立され、旬の鮑が使われることが多い。これを「葛あわび」とか「氷室あわび」という。 鶴型切り 主に祝儀料理に使うむきもの包丁。芋類を鶴の形に細工する。「舞鶴」「折り鶴」「立ち鶴」「卵鶴」「巣ごもり鶴」などの種類がある。 釣瓶ずし(つるべずし) 奈良県の「鮎ずし」のことである。熟れ鮨のひとつであり、腹開きにした鮎を塩漬けにしたあと、すし飯を包み、笹の葉(又は竹の皮)で覆って、重しをしてなれさせる。独特な釣瓶型の桶で作るのでこの名前がある。

    料理用語集TOPへ
  • た行 「て」

    出合い 相性の良い材料を組み合わせること。天ぷらに大根おろし、松茸に豆腐等。 定家煮 魚介の酒塩煮。古い関西料理のひとつである。 手打ち そば、うどんを、機械を使わず手でこねてのばし、切る。 手捏ね寿司(てこねずし) 志摩の海女料理である。カツオを使ったちらし寿司。
    1)醤油に刻んだ木の芽を加えて漬け汁を作る
    2)新鮮なカツオを切り、漬け汁に10分ほどつける
    3)カツオを取り出し汁気を切っておく
    4)寿司桶のすし飯にカツオと生姜の薄切りをのせる
    5)身を崩さないように注意し、手で混ぜ合わせる 手酢・手水 炊いた飯を素手で触れる必要がある料理を作る時に使用する水である。
    ご飯粒が手につかないようにする、手の清潔を保つ、手の温度を下げて火傷を防ぐ等の意味を持っている。すしを作る際、手を湿らせておくための、水と酢を同割程度にしたものを「手酢」という。それを入れる容器を手酢缶という。多くは金属製の容器なので鉄カンとも呼ぶ。指先に手酢を付け、余分な水分を切るために片方の手のひらに叩きつけることから打ち水または叩き水と言う人もいる。赤飯、飯蒸し、おにぎり、もち、などを作る時に同様に使用する水を「手水」という。 鉄火 鉄火とは「やきがね」を意味し、火で熱した鉄が赤くなることから【赤い色】を表現する言葉として使われる。料理としては赤色の材料、赤色に仕上げる、ぴりりと辛く仕上げる料理を指している。
    鉄火丼:上記の「焼き金」をそのまま表現した丼物。真っ赤に熱した鉄を想わせることから。
    鉄火味噌:名前はやはり「焼き金」に由来する。煎り大豆、刻みゴボウ、レンコン、麻の実、唐辛子などを赤味噌と混ぜあわせて調味をした「なめみそ」の一種である。
    鉄火巻き:鉄火は博打場(鉄火場)も意味しており、賭博をしながら箸を使わずに食べられる寿司ということで、鉄火巻きと呼ばれるようになったという。 鉄砲 鉄砲や銃弾に因んだ名を持つ料理である。また、唐辛子や山葵などでガツンとくる辛味を出す料理もそう呼ぶ。 ●てっぽう
    フグの別名で「てつ」ともいう。主に関西で使う言葉。猛毒で知られるフグは「当たると確実に死ぬ」ということから鉄砲になぞらえてこう呼ばれる。フグ鍋を「てっちり」、フグ刺しを「てっさ」
    ●鉄砲巻き
    ①細巻き寿司の別名
    ②わさびをきかせたカンピョウの細巻き。銃身を思わせる筒状の形と、辛味を強調していることから。
    ●鉄砲漬け
    千葉成田などの漬物。ウリの中に唐辛子、しその葉などを詰めて塩漬けし、塩抜きして調味液に漬けたものである。
    ●鉄砲和え
    唐辛子をきかせた酢味噌和え。「鉄砲なます」「てっぱえ」ともいう。味噌に唐辛子と刻み葱を加え酢、砂糖で調味し、好みの野菜や魚介を和える。さっと茹でたわけぎ、三杯酢で洗ったフナなどを主役にするものもある。
    ●鉄砲焼き
    ①皮付き筍の芯に唐辛子、味醂しょう油を詰めて大根で栓をして蒸し焼きにしたもの。
    ②鶏肉や魚介に辛子酢味噌を塗って焼いたもの。 手取り真薯 しんじょ地を掌でにぎり、形にして茹でる。主に椀種に使用。 手引湯 沸騰寸前のお湯。湯の温度を確認するため指を入れる際、熱くて指を入れられないくらいの湯加減をいう。霜降り用はこの手引湯くらいがちょうど良い。 手毬 かたく絞った布巾(またはラップ)にすし種をおき、小さくまとめたすし飯を置いて絞り込み、手毬のように丸く作った寿司。前菜、口代りなどに使用する場合はごく小さく作る。ゆで卵の黄身を裏漉して、とろろと合わせたものをすし飯代わりにしてもよい。
    手毬作り(てまりづくり):麩、蓮、芋、慈姑などを、手毬に剥く包丁技法。 照り 酒、味醂などの糖分や葛などを使い料理にツヤをつけることを、照りをつける、照りを出すという。
    ●照り煮(てりに)
    煮汁を煮詰めて絡ませる、煮上がりに味醂を加える、煮上がりに水溶きの葛を加えるなどして材料に照りを出す煮方。「つや煮」ともいう。
    ●照り焼き(てりやき)
    魚介や鳥獣肉に醤油、砂糖、味醂、酒などを煮詰めたタレをハケで塗りながら、焦がさないように中火で焼いて、照りよく仕上げる焼き物。通常の「つけ焼き」よりも濃厚に仕上がる。
    ●照り醤油(てりじょうゆ)
    ①けば照り:醤油に溶き葛粉でつやをつけたもの。
    ②本照り:醤油に味醂、酒を加えて煮詰めたもの。水飴やザラメなどを加えることもある。
    照り酢(てりず)吉野酢とほぼ同じもの。土佐酢に薄葛を加えツヤを出す。
    照り鰹節(てりかつおぶし)鰹節に火を入れ(蒸す・炙る)て、照りよく削り、醤油と味醂でいり煮したもの。祝宴などの八寸、口取り等に使う。 田楽 古に田植えの踊りことを田楽といった。豆腐に串を刺し、味噌を塗って焼いた「田楽豆腐」は、この行事で踊る田楽法師の姿と似ていることからの料理名であるとされる。水切りをして形を整えた豆腐に串を刺して強火の遠火で焼き、木の芽味噌、ゆず味噌、ごま味噌などの田楽味噌を塗って仕上げ焼きをする。豆腐の他に「こんにゃく」「さといも」「なす」などの材料を使って作る田楽もある。赤味噌と白味噌の田楽を使い分けて「紅白田楽」にすることもある。
    田楽串:刺す部分が二股に別れており、豆腐が崩れないで安定するようになっている。持ち手の部分は竹の緑を残しており、この色を残すために田楽は金串で焼いて、仕上げに田楽串を打って客に出すという手間をかける。
    魚田:「魚田楽」のことで、アユ、ヤマメなどの川魚に串を打って素焼きにし、田楽みそを塗って仕上げ焼き。
    おでん:一般のオデンを、正式には煮込み田楽という。 天上昆布 真の昆布という意味もある「まこんぶ」には、最上とされる「道南三銘柄」というものがある。「白口浜」「黒口浜」「本葉折り浜」の三種がそれである。昆布の銘柄は産地、形状、そして切り口の色などで決まる。良質で甘みのある品のよい澄んだ出汁がでる真昆布では特に切り口が重要であり、少量しかない白口が珍重される。こうした僅かしかとれない最高品質を天上昆布という。また、白口浜昆布は「献上昆布」とも呼ばれる。 天鋤(てんすき) 白身魚の天ぷらを湯で油切りし、薄い天ツユで野菜と煮る。 天台 いわゆる「油きり(揚げ台)」のことで、バットなどに網が付いている揚げ物用の道具。これの天ぷら専用のものを天台という。 天茶 天ぷらをのせたお茶漬け。天ぷらは軽めの衣でさっくりと揚げて粘らないように。エビなどは天丼のように花揚げにする。揚げたての天ぷらを熱々のご飯に。割り塩を振り熱いお茶、またはだし汁をかける。ねぎ、生姜、胡麻などの薬味をのせて出す。 天南 「天ぷら南蛮」の略語で、そば、うどん用語。 田麩(でんぶ) ① 「そぼろ」を食紅で薄紅色にしたもの。イカ、白身魚、エビ等を茹でて細かくし、炒りあげてそぼろを作る。これに調味を加えたものが田麩である。エビが入れば必要ないが、色の出ないものは着色することが多い。タラ類のそぼろをピンク色に着色したものが「桜でんぶ」である。
    ② 人参やさつま芋を桂むきにし、そうめんのように細く切り、これを蜜煮したもの。婚礼の折詰などに使う。 天麩羅 小麦粉、卵、冷水で衣を作り、魚介や野菜をこの衣で揚げる料理。揚げ物(衣揚げ)のひとつである。てんぷらの語源は分かっていないが、ポルトガル語のテンベロ(調理)、スペイン語のテンプロ(聖堂)、このいずれか、あるいは両方から転じた名称とされている。天ぷらは非常に簡単な料理でもあり、かつ和食の中でも一番難しい料理。基本は薄力粉を同量の水で溶き、箸でかき混ぜ、ダマがある状態でピンと揚げる。これは江戸前であり、揚げたてが生命線。
    沖縄・長崎風の天ぷらは逆に卵、酒、砂糖等色々加えた厚い衣で菓子風に揚げる。これは冷めても美味しく食べられる。西洋のフリッターやベニェもこの種。
    天ぷら油:天ぷら専用の揚げ油。ごま油とサラダ油をブレンドしたものが多い。割合は「5:5」「6:4」「7:3」など。太白ごま油のみで揚げる高級専門店もある。
    天だし(天つゆ)だし3~4にミリン1醤油1が基本。材料や衣によって調整する。だしに味醂を加え、煮立ててアルコール分を飛ばし醤油を加える。砂糖はくどくなるので使わない。 伝法焼き 伝法とは焙烙という器の名称である。伝法焼きの原型は「焙烙焼」なのだが、伝法焼きは焙烙焼きとはかなり異なる。
    ① 貝殻焼き:「宿借り焼き」と同じで、アワビやサザエやホタテの貝殻を利用した焼き物。水溶きした小麦粉に卵を混ぜ、そこに材料を加えるという、お好み焼きやもんじゃ焼きのような地を、貝殻に詰めて天火で焼きあげる。
    ② 鉄板焼き:上記の地を、油をしいた鉄板で焼く。
    ③ 焙烙焼き:素焼きの器に魚の切り身をのせて焼いたり蒸したりする、焙烙焼きとかなり近いやり方で、こうした手法全体を幅広く伝法焼きと言うこともある。 天盛り 煮物や和え物、酢の物を盛り付ける際に、最後に添える香りもの。香りがよく、彩りが料理を引き立てるものを使用する。ゆずの皮、木の芽、青じそ、白髪ねぎ、針ショウガ、刻み大葉、針海苔、糸がつお、など。季節にあったものを、料理との相性を考えて使う。

    料理用語集TOPへ
  • た行 「と」

    東海寺和え 『たくあん和え』のこと。東海寺は沢庵和尚が開いた寺で、名前はこれにちなむ。たくあを「千切り」「あられ切り」「みじん切り」などにし、水で洗うようにして塩抜き、土佐酢や割り醤油を含ませて魚や貝と和える。一般的にはアジやサバを昆布締めにして細かく切ったものを使用する。 東海夫人 貝を意味する言葉。蛤、浅蜊、青柳など、二枚貝の古い呼び方。 当座 当座とは、「保存用にはならないが、暫くはもつ」という意味合いで料理につける言葉である。
    当座漬け(とうざづけ):保存用ではない漬け物。2~3日で食べるか、長くても1周間くらいで食べきる塩漬けであり、「新漬け」ともいう。塩分量は3~5%で、白菜や高菜などを漬ける。
    当座煮(とうざに):野菜を酒と醤油で辛く煮たもの。佃煮ほどは保存できないが、数日はもつという煮方であり、主にフキ、葉唐辛子、ヒジキなどを当座煮にする。 橙皮 柑橘類の皮をさす。陳皮、橘皮も同じ。 東寺揚げ 湯葉を揚げる、または湯葉衣で揚げたもの。冬場は『木枯し揚げ』とも言う。鶏笹身や淡白な魚介類を生湯葉で包んで揚げたり、乾燥湯葉を細かくした衣を粉、卵白で纏わせて揚げる。 唐人 砂糖のこと。 通し肴 お通し、先付け、付き出し、先走り、おつまみ。すべて通し肴と同じ意味である。 遠江 【遠江=とうとう身】フグの外皮と身の間にあるゼラチン質の皮のこと。(フグ以外の魚でも同じように呼ぶケースがある)湯引きにして刺身に添えたり煮凍りなどにする。「三河(愛知県)《身皮》からみて隣になるのは遠江(静岡県)なので」という洒落っ気から云われ始めたらしい。 銅八銭 落花生のこと。 東坡(とうば) 東坡とは、北宋の詩人『蘇東坡(蘇軾)』が好んだという故事にちなんだ料理名。日本へは卓袱料理によって伝わった。
    東坡煮(とうばに):中国料理の東坡肉(トンポウロウ)角煮の原型ともされ、調理法はほぼ同じ。従って、角煮を東坡煮と称することもある。豚バラ肉を大きめの角切りにし、脂やアクを抜き柔らかくする為「おから」や「米ぬか」で茹でて水で洗う。それを甘辛く煮て、ねり辛子を添える。
    東坡揚げ(とうばあげ):材料に粉と卵白をつけ、砕いた焼き麩か裏漉し豆腐を衣にして揚げるか、薄切りの豆腐で材料を巻いて揚げたもの。
    東坡豆腐(とうばどうふ):これは豆腐に衣をして揚げたもの。水切り豆腐に醤油味を付け、粉、卵白、焼き麩衣をつけて揚げる。 刀法 材料を包丁で切る方法。外国料理が火の料理ならば、和食はまさしく割烹である。和食では野菜一つ切るのに100通り以上も切り方があり、この分野で他国料理の追随を許さない。従って芸術性は抜きん出ているが、それによって料理の総合面を犠牲にしている部分も多少ある。 道明寺 道明寺とは大阪藤井寺にある寺のこと。この寺で保存食として作られたもち米の糒が評判になり、以来もち米を蒸して乾燥させたものを道明寺と呼ぶようになった。道明寺は保存食であり、お湯で柔らかく戻して食べる。救荒食物の意味合いもある食品であった。
    道明寺粉:精白もち米を蒸して乾燥させた道明寺糒を挽き、ふるいにかけて粒を揃えたもの。挽き方によって粗さが大中小の三段階に分かれ、用途によって使い分ける。菓子材料や揚げ物の衣などに使われる。一般的には粉と同量の水で炊き、むらして柔くしてから使用する。
    道明寺蒸し:白身の魚や鶏肉などに薄塩をし、道明寺粉をつけ蒸す。仕上げに葛あんを。
    道明寺揚げ:変わり揚げのひとつ。材料に粉と卵白をし、道明寺粉を衣にして揚げる。 「斎食(さいじき)」「おとぎ」ともいう仏家の料理である。当然ながら元は精進料理だが、現在は普通に肉類も使用している仏家が多い。 木賊(とくさ) 木賊は、シダ類トクサ科の、茎のみの草である。この草の色(黒っぽい緑色)を「とくさ色」といい、この色に似せた仕上げ方をする料理を「木賊」という。主に青海苔を使ってこの色を出す。
    木賊焼き:白身魚、イカ、エビなどに薄塩をした焼き卵白を塗って青海苔をまぶす。
    木賊煮:野菜類を荒千に切って煮上げ、仕上げに青海苔。薄味で煮る「木賊ごぼう」などがある。
    木賊揚げ:衣に青海苔を使用した変わり揚げ。
    木賊うど:独活を甘酢に漬けて青海苔をかける。煮物にすることもある。 特殊製法塩 いわゆる「天然塩」「自然塩」や、「岩塩」「焼き塩」「調味塩」「うまみ塩」などを総称する言葉。一般の生活用塩、工業塩ではないもの。香辛料や旨味調味料や昆布などを混ぜたりしたものや、塩化ナトリウムを混ぜて食塩の代用とするものもある。(食塩や食卓塩は生活用塩である) 床重 新婚初夜の夜食。新婚の夜に重詰の料理を置いた昔の風習。 土佐 土佐(高知県)はカツオ節の産地として有名。
    この事から、「土佐」の名称は「かつお節」の代名詞となっている。カツオ節を利用する調味料、料理の献立名にもこの名称をつける。
    土佐節:まだ脂が薄く、カツオ節として最適な高知産のかつお節。
    土佐造り:カツオのたたき。
    土佐醤油:しょう油に酒とみりんを加えて煮立て、カツオ節を加えて漉したもの。
    土佐酢:三杯酢にカツオ節を加えて煮立たて、漉す。
    土佐煮:カツオ節の旨味と醤油の辛味を出した煮物で、竹の子、フキ、ゴボウ、コンニャクなど淡白な材料を使う。土佐醤油で辛めに煮たり、カツオだしを主体に味付けし、「粉がつお」をまぶして仕上げるやり方などがある。
    土佐蒸し:アワビや鶏肉などを土佐醤油に漬けて蒸したもの。その他、鉢物、和え物・酢の物、汁物・椀物、ご飯物、漬物、肴、すり流し、なまり、など色々な土佐料理にも土佐を冠する。 閉じ蒸し 煮た材料の上に溶き卵をかけて蓋をする、「卵とじ」などのような料理のこと。 土蔵焼き タナゴやフナの蒸し焼き。背開きにして中骨を取り除き、腹に味噌を詰めて、濡れた和紙で包み、蒸し焼きにする。 徳利蒸し 徳利の形をした三段の器を使ったちり蒸し。下段に出汁昆布をおき、白身魚、鶏肉、白子、きのこ類、野菜、豆腐などを配置し、だしを張って蒸す。中段に薬味、上段にポン酢を入れ、形を組んで出す。 土場燗(どばかん) 囲炉裏などの熱い灰の中に、酒を入れた器を埋め込んで温めた熱燗酒。 止め椀 会席料理の最後に出す汁のお椀。味噌汁であることが多い。 一つの材料の異なる部分を合わせて作る料理。例えば魚の身と肝を和えるなど。
    ●共和え
    魚の身・アワビの身などを、その肝や腸を衣として和えたもの。「肝和え」ともいう。調味に酢を加えると「共酢和え」
    ●共汁
    肝をすり流しにして、身を椀種にする。 とや料理 ① 宿屋の料理。「やど」を返した言葉。料理屋の料理よりも下だという意味合いをもつ。
    ② 野鳥の囲炉裏焼き。岐阜県多治見の郷土料理である。 どり 鳥の背骨からすだれ骨に、隠れるようについている「肺臓」のことをドリという。昔から「トリは食べてもドリ食うな」と云われており、細菌が多いので調理の際には必ず取り除く。 取り粉 取り板や餅箱などに散らす粉。ついたモチに絡ませる粉のこと。片栗粉、浮き粉、うるち米の粉など。 鳥辺和え 鶏の酢の物。蒸した鶏肉を細く切り、しんなりさせた胡瓜、蓮、独活などと吉野酢で和える。 泥酢 味噌を使った合わせ酢のこと。関西風の言い方。あんこうの共酢などもこう呼ぶ。 鶏わさ 『鶏刺』の別名。主に笹身を使った鶏の刺身。筋を取ったササミを霜降りして刺身に切り、山葵を添える。湯通しした三つ葉と、わさび醤油で和える和え物風もある。 団亀汁(どんがめじる) だしベースの汁でナスを煮たもの。仕上げに溶きからしを加える。「泥がめ汁」ともいう。
    ナスを亀甲形に切って作ることが多かったので、この献立名になった。現在は皮目に格子状の包丁目を入れる程度が多い。 どんがら汁 タラと野菜の味噌汁。山形県鶴岡の郷土料理である。

    料理用語集TOPへ
  • な行 「な」

    直し ① 味醂(みりん)のこと。有名な産地である千葉の流山を意味する『流れ山』という呼び方もある。
    ② みりんに焼酎を加えて甘味を抑えた酒。『本直し』ともいう。 流し物 加熱して液状にし、器や流し缶などに入れて冷やし固める料理。煮凍りなどのように素材の固まる性質を利用する他、寒天やゼラチンの凝固力 を借りることが多い。代表的なものに煮凍りや滝川豆腐、菓子類などがある。煮こごりは魚や海草などを薄味で煮て、煮汁ごと冷やし固めるものだが、一部の魚類を除いてゼラチン質が弱いケースが多いので、通常は煮溶かしたゼラチンを加えて作る。食紅、ひき茶、黒ごま、クチナシなどで色 をつけ、異なる色を重ねたり、マーブル(大理石)、市松、ふくりん、矢羽根などの模様をつけることが多い。前菜や口取り、焼き物の前盛りなどに使用する。 流し缶 流しものを作るほか、卵豆腐、真蒸のように蒸し固める、松風のようにオーブン焼きにする料理にも使用する道具で、「流し箱」ともいう。バット代わりに用いる事もある。 ながれこ 小型のアワビ。トコブシと似ているが、トコブシはアワビではない。 名残 季節の境目に過ぎゆく季節の風情を器や掻敷や料理で表現すること。
    主に秋口に夏を惜しむ場合に使われる。元々は茶懐石の用語であり、10月までで風炉の使用を終えて11月からは炉を出すことにちなむ。
    この時期に夏の名残を感じさせる懐石献立を出す。 梨割 縦から真二つに材料を切り分ける刀法。鯛の頭を中央から二つに切断したり、伊勢海老を縦二等分に切り分けるときなどに使う言葉である。 菜種和え 卵黄を用いた黄色い衣を使う和え物。「黄身和え」「山吹和え」と同じものであるが、春には「菜種和え」という献立名にする。 菜種蒸し 「黄身蒸し」「黄金蒸し」と同じもの。卵黄を塗ったり、茹で卵の黄身を使い色よく蒸しあげる。同様の蒸し物である「菜の花蒸し」は、炒り卵や茹で卵の黄身を裏漉したものを材料にのせて蒸し、菜の花に見立てたもの。 納豆焼き 油揚げの中に納豆としそを入れて焼いたもの。生姜醤油で食べる。 七草 「七種」とも書く。邪気を払い万病を防ぐとして、正月明けなどに白粥に入れて食べる「七草粥」の材料である。
    春(正月7日の七草粥):せり、なづな、ごぎょう、はこべら、ほとけの座 すずな、すずしろこの七種で邪気を払う。
    春(正月15日の粥):米、粟、ひえ、そば、小豆、きび、みのごま(現在はこれに代わる小豆粥が主流)
    秋の七草:荻、葛、桔梗、すすき、なでしこ、 おみなえし、ふじばかま (荻と葛以外は食べない) なべ 独り立ちできる一人前の板前。「鍋をとり回せる(火を扱える)」「鍋を持って歩ける」。つまり、煮方以上を意味するものと思われる。 鍋下 火のこと。
    薪火や炭火のことだが、現代においてはコンロのガス火と解釈できるし、やや広義に「熱源」を指す言葉でもあろう。 鍋返し フライパンを振るように鍋の向こう側を起こして振り動かし、材料を上下させることを鍋返しという。少ない煮汁で煮る煮転がしなどに、平均してむらなく味が回るようにするのが目的。野菜が中心であり、煮崩れしやすい魚などでやる場合は鍋回しに。
    鍋回し(なべまわし):鍋返しをすると崩れる煮物などは揺すりまわす。 鍋地 寄せ鍋など、鍋物に使う煮出し汁のこと。鍋地を張って小さなコンロごと食卓に出し、別盛にした材料を煮ながら食べるスタイルが多い。 鍋鴨(なべしぎ) しぎ焼きの別名。ナスを油で炒めて調合味噌をかける。 鍋止め ・煮物を煮汁に浸けておくこと。
    ・煮上がった煮物を鍋から出さず、そのまま冷ましておくこと。
    いずれ場合でも味を深く含ませるのが目的である。※上のような理由ではなく、ものぐさからそのまま鍋に料理を入れて置くのは料理人失格である。作った料理は別容器に移し、使った鍋はただちに洗うのが調理人の常識。 鍋肌 調理中に香味をつける目的で調味料を加えるときは「鍋肌から入れる」ことが多い。縁から伝わせるように調味料を鍋肌に触れさせることで、急激に加熱されて香りが出て料理に移るためである。つまり、鍋肌とは鍋の内側の側面のことである。 生揚げ 関東での厚揚げの呼び方。 生代わり 刺身の代わりに出す料理。 鱠・膾(なます) ナマスは、材料を細かく切り、酢であえる料理。語源は「生酢」であり、現在の酢の物のこと。
     魚介類が主材料の場合は「鱠」
     野菜を材料にしたものが「膾」
     (当初は獣肉を酢で和えたものを膾と書いていた) 生出汁 「魚のあらだし」のこと。白身魚の頭や中骨に薄塩をしておき、洗い流して素焼きしたあと水から加熱し、沸騰したら弱火にしてアクを除きながら充分に旨味を引き出して漉す。仏では「fomet de poissn」、伊では「brodo di pesce」が、これに相当する。 生出来 芯まで火が通らなかった料理。通しすぎ(焦がし等)よりは恥とされない。※板前の世界では、加熱にしろ調味にしろ、「過ぎ」は許されない失敗だとみなされる。(和食だけではなく、海外料理でも似たようなものらしい。その大きな要因は、「未満」は手を入れて商品にできるが、「過剰」は元に戻せなくなり、殆どのケースで廃棄する他ないからであろう) 生身 白身魚のすり身のこと。 生利節(なまりぶし) 関西では「なま節」という。カツオの身を煮熟して作る。その後「焙乾」した焙乾生利節もある。一般のカツオ節のようにだしを取ることはできない。ほぐして和え物にするか、蒸して煮付けなどにする。 並時雨 そぼろ状にしたあんを、型で固める和菓子。あん、新引き粉、上新粉を混ぜ、ふるいにかけてそぼろ状にし、木型にはめる(抜き型を使ってもよい)風情のある名前は、ボロボロと崩れる並餡が晩秋の時雨を想わせることから。 菜飯(なめし) 青菜を加えたご飯物。京菜やかぶの葉等、青菜類を刻んで塩茹でしたものを炊きこんだり、炊き上がったご飯に混ぜ込むなどして作る。豆腐田楽には菜飯がつきものとなっている。 なめる 振り塩が材料に浸透している状態。「塩をなめさせる」「塩をなじませる」 嘗味噌(なめみそ) そのまま食べられるように作られた味噌のこと。副食、酒の肴として供する。
    醸造なめみそ:嘗め味噌用に醸造されたもので、「金山寺みそ」「ひしほみそ」「もろみそ」「五斗みそ」などがある。加工味噌(あじみそ・調味みそ)
    普通の味噌に様々な材料を混ぜ込み、調味を加えて練り上げたもの。「鯛みそ」「鶏みそ」「鉄火みそ」「かき味噌」「ゆず味噌」「しぐれ味噌」「ごま味噌」「大葉みそ」などがある。 名吉 ボラのこと。鮮やかな紅色の血合いから。献立のお造りの欄には、【日の出名よし】などと書く。 鳴門 ① 鳴門海峡の渦巻きに見立て、切断面が渦巻き模様に見えるように作ったもの。
    鳴門巻き:白身魚のすり身を二分し、半分を紅色に染めて広げ重ね、マキスで巻き上げて蒸すものなどが代表。紅身ではなく昆布に広げて巻くやり方もある。卵巻きに海苔を挟むのも鳴門巻き。
    鳴門造り:海苔や大葉をイカで巻いた刺身がこの代表。
    鳴門かまぼこ:うどんなどに具として使われる市販のカマボコ。略して鳴門という。
    ② 徳島鳴門産のワカメを鳴門と呼ぶ。このワカメを使った料理の名前に鳴門を付けることがある。また、ワカメを衣に混ぜた天ぷらを「鳴門揚げ」という。
    ③ 徳島産のスダチを使った料理。八方だしにスダチを加えた漬け汁を作り、揚げた松茸、霜降りした鳴門鯛、ワカメを漬け込んだ「鳴門漬け」が代表。 納屋汁 「すけそうだら」の塩煮。佐渡の郷土料理。 南禅寺 京都左京区の南禅寺周辺は美味しい豆腐の産地として有名であった。この事から南禅寺を冠する豆腐料理がいくつかある。
    南禅寺豆腐:南禅寺周辺の豆腐のことであり、その豆腐で作った湯豆腐や田楽のことでもある。
    南禅寺蒸し:豆腐を当たって漉し、卵白を加えてすり混ぜ、だしを加え好みの材料(麸、銀杏、鶏肉、青味など)を入れて茶碗蒸しの器などで蒸し上げる。蒸しあがったら葛あんをかけてワサビを天盛り。
    南禅寺揚げ:あたり鉢で水切り豆腐を当たり、だし、酒、塩、卵、小麦粉を混ぜ込んで衣を作る。この衣で材料を揚げたものが南禅寺揚げである。 難波 ネギのこと。ねぎの料理になんばをつける。大阪難波がネギの名産地であることから。※葱は南蛮ともいうが、これは由来が別で難波とは無関係 南蛮 室町末期から江戸時代にかけて、海外から渡来したものを南蛮と呼んでいた。南蛮とは東南アジアを意味するのだが、西欧人が日本に来る場合 アジアを経由して来航した為、外国から渡来するものは一様に南蛮と言われたものらしい。具体的にはスペイン、ポルトガル、オランダ、東南 アジアのことである。菓子において「カステラ」や「金平糖」などが南蛮菓子と呼ばれた。食材や料理における南蛮は、とくに「唐辛子」と 「ねぎ」を意味する言葉である。唐辛子はこの時期の渡来なのだが、ネギは平安以前から日本で使用されていたもの。これも南蛮と呼ばれる ようになったのは、日本に滞在した南蛮人が体に良いとして盛んにネギを食したからだとされている。
    この南蛮(ネギ・唐辛子)を使う主な献立は、「南蛮煮」「鴨南蛮」「かき南蛮」などであり、代表的な「南蛮漬け」は、小アジ、ワカサギ、 モロコなどの魚介類をから揚げにして、焼きネギ、唐辛子を入れた合わせ酢に漬けたもの。 南部 胡麻を使う料理に南部を冠する。ゴマを振った「南部せんべい」などの菓子もある。
    南部焼き:ゴマだれに材料を漬けて焼いたり、胡麻を振って焼く。
    南部揚げ:ゴマを振って揚げる。ゴマは切り胡麻や半ずり胡麻を使うことが多い。

    料理用語集TOPへ
  • な行 「に」

    煮合わせ 別煮にした二種以上の煮物を同じ器に盛ること。煮合わせは関東風の言い方で、関西では炊き合わせと呼ぶ。材料の持ち味を引き出すため基本的には薄味で煮るが、味付けは関西が薄味で関東が若干濃い。 にいもじ 芋茎(ずいき)の別名。 煮梅 梅干の塩分を抜き、甘く煮たもの。針で穴をあけ、水にさらして塩分と酸味を抜き、甘煮する 煮え端(にえばな) ①煮汁が沸騰した瞬間
    ②材料に火が通った頃合い
    とくに味噌汁でよく使われる言葉であり、「煮えばなが一番旨い」とされている。沸かしすぎると味噌の香りが失われてしまうからである。煮物、汁物、鍋物などは、このタイミングで何をするかによって仕上がりが大きく違ってくる。 煮卸し 「おろし煮」と同じ意味。淡味の魚介や鶏肉などの煮物に、大根おろしを加える。 煮方 板場の調味担当者。板場の長、脇板(二番)に次ぐ三番目のポジションであるが、大きな板場では数名の煮方がいる。
    調理長(板前・本板・花板)と二番は一人だけ。 苦玉 魚類の胆嚢をさす言葉。調理中に潰すと、身に苦味が回り洗っても落ちない。したがって通常は取り除く。サンマやアユは例外的に好んで食べられる。 煮切る 調味用の酒やみりんのアルコール分を飛ばすこと。アルコール分は調味に不要なので、沸騰させて蒸発させる。煮立った時に火をつけて蒸発を促すこともするが、少量の場合は点火しなくても炎が出る。 煮崩れ 材料の形が、主に過加熱によって崩れること。火力を調整したり、落し蓋をしたり、材料の形を揃えたり面取りしたりすることで防止する。 肉付け 鳥獣魚肉の挽き肉を、付けたり詰めたりすること。野菜をくり抜き、あるいは形を利用して挽き肉を詰めて、煮たり焼いたり揚げたりするのは『肉詰め料理』 煮凝り 1)煮魚の煮汁が冷めて凝固したもの。
    2)1の性質を利用、応用した料理。
    ゼラチン質の多いサメ、エイ、カレイ・ヒラメ類、アンコウ、スッポン、鶏肉、海藻などは、柔らかく煮るとその煮汁が低温で固まる特徴がある。この性質を利用し、身や皮などを適度に包丁して煮汁と一緒に流し缶などで冷やし固める。ゼラチンや寒天で凝固を補助すると安定した煮こごりを作ることができる。 煮込み (1)煮込み鮨(にこみずし)五目ずしの具を入れて米を炊き、いり卵や青味などを天盛りする。
    (2)煮込み饂飩(にこみうどん)名古屋の郷土料理。小鍋に生ウドンと具を入れて、出汁と八丁味噌をベースにした煮汁で煮込んだもの。 煮込み田楽 関東炊き(おでん)の正式名称。焼き豆腐に味噌をつける田楽が、コンニャクを煮て味噌をつけるものに分岐し、後にコンニャク以外の様々な具を煮込むようになった。 煮転がし 煮汁がなくなるまでいり煮する煮物。芋、筍、茸などが材料になる。
    少量の煮汁で、材料をゆすって焦がさないように転がしながら煮詰めていく。 煮殺す 煮物の典型的な失敗作である煮過ぎ。材料の持ち味が消えてしまうこと。
    煮ころし(にころし):関西で「すりながし」をさした言葉。 二色卵 ゆで卵の黄身と白身を別に裏漉して、これを二段に重ねて蒸す。巻いて蒸す伊達巻様もある。
    錦卵(にしきたまご):二色卵に青寄せを混ぜた白身を加え、三色三段にしたもの。 煮染め(にしめ) 野菜や乾物などを濃い味で煮たもの。煮汁を切って器に盛る。日持ちがよい。味が深く浸透する煮物なので、折り詰、重詰や弁当などに適して いる。いっぺんに煮上げないで、時間をかけて煮ては冷ましを繰り返しながら汁を詰めていくと出来が良い。 煮出し汁 出汁と同じ意味。鰹節、煮干し、昆布、椎茸などを煮出してつくる。
    野菜や肉類から出汁をつくったものは「スープ」とも呼ぶ。 二丁盛り 二点盛りや相乗りと同じ意味。同じ皿に二種類の料理を盛ること。
    相乗りは主に鉢や向付に盛るときに使用。 煮付け 魚貝類、野菜類、鳥獣肉を甘辛く煮る手法。煮染めと同じく少ない煮汁で煮詰める。 煮抜き卵 (1) 固ゆで卵の関西言葉
    (2) 落とし卵(煮汁に落とす)
    (3) 湯せん卵
    (4) 半熟卵を煮る 煮抜き豆腐 「す立ち豆腐」煮過ぎて鬆が入った豆腐。 二枚蓋 煮物に落とし蓋をし、さらに鍋蓋をする。こうすると材料が踊らないし、早く火が通る。 二枚包丁 刺身刀法の一つ。切り掛け作り、八重作りとほぼ同じ。皮が硬く、身が柔らかな魚に用いる。切り込みを入れてニ刃目に切り離す。あるいはサクの表面に縦に包丁目を入れて切る。口当たりを良くし、醤油がしみやすい。 煮物椀 「椀盛り」を懐石では煮物椀とか菜盛り椀と呼ぶ。野菜などの種を沢山使った汁物である。吸い物より濃い地を張って、吸い口を。 煮焼き 一度煮た材料を焼く手法。穴子などはこうすると旨い。 煮奴 やっこ(四角)切りの豆腐を薄味で煮る。すが入らぬよう火加減に注意。天盛りに糸がき。 煮寄せ 魚介や鳥肉をみじん切りにして煮る。その煮汁でそのまま寄せ固め、包丁して種とする。椀種、酢の物、煮物などに。 如心松葉 そば粉を原料に、松葉につくった京菓子。 入麺 「煮麺」とも表記する。温かいかけ汁で食べるそうめん。汁はやや薄めに作る。照り煮にした椎茸、三つ葉やねぎなどの青味を添える。 睨み鯛 祝儀の席で出る鯛姿焼き。本来は観賞用で、箸は付けず持ち帰るもの。 人形卸し 刺身用の薬味。山形に盛った大根おろしの天にワサビをのせる。形から「富士おろし」とも言い、「人形わさび」「こけしおろし」とも言う。 わさびの部分を醤油にしたものは「染めおろし」といい、天ぷらに添えるものである。 煮笊(にざる) 魚などを煮るときに使うザル。「敷きザル」とも言う。竹を粗く編んだもので、縁取りはない。鍋底に敷いて材料を煮、煮上がったら端をまとめるように持って煮物ごと引き上げる。煮崩れや焦げつきを防いでくれる。

    料理用語集TOPへ
  • な行 「ぬ」

    縫い串 串の打ち方のひとつ。イカ等、身の縮む材料を針で縫う形で打つ。平たくて表面積が大きな材料や、繊維が複雑な為に縮む材料は、通常に焼くと身が反ってしまう。これを避けるため縫い串を打って焼く。裏側に数本の串を、手元でまとまるよう扇型に打つ。 普通は米ぬかを指す。麦、粟、きびなどのヌカもある。こうした穀物を精白する際に出る滓を糠と呼ぶ。米油にしたり、ぬかみそ、各種のあく抜き(筍など)、渋抜き(乾燥数の子など)、沢庵漬け、魚介の糠漬けなどに使用する。 糠漬け 塩を加えた糠で材料を漬けて重しをする。大根を漬ける「たくあん」がその代表である。北陸には魚類を漬ける「こんか漬け」がある。 糠味噌漬け(ぬかみそづけ) 糠を炒り塩を混ぜ、水をさす。野菜を加え、乳酸菌による発酵を待つ。熟成した糠床に、野菜などを漬ける。関西圏では「どぶ漬け」とも呼ぶ。
    床の手入れ:水が上がっていたら除去する。日に1~2回上下を返すように混ぜる。カビが出たら取り除き、上部の床を捨ててかき混ぜる。赤唐辛子や粉からしを加えると虫がつきにくい。新たに野菜をつける時に、「いり糠」をひとつかみ加える。酸味が出たら、いり糠と重曹や粉からしや卵の殻などを加える。 糠味噌煮 赤身の魚をぬか味噌で煮込んだもの。北九州の郷土料理。 抜き鮎 産地で内臓を抜いて出荷される鮎。内臓はウルカに加工する。 抜き板 端ニ方、または三方に足(縁)の付いた板。焼き魚の金串を抜く板である。大量の刺身を仮おきしたり、経木を敷いて厚焼き卵を置いたりもする。鮨屋では巻物や握りを並べるのに重宝する。重ね置きできるので場所を取らず、風通しも良いという利点がある。通常は白檜製だがプラ製など色々ある。 抜き滓(ぬきかす) 酒粕、西京漬けなど、各種味噌漬けの残り味噌で、二番滓。別の用途に再利用する。 抜き型 花や木の葉、ひょうたん、動物などに模して材料を打ち抜く形成道具。材料を詰めて形成するタイプもある。主に金属製であり最近は殆どがスレンレス材だが、アルミやブリキ製などもある。
    押し枠(おしわく):主にご飯を詰めて形成する道具。押し寿司の枠(バッテラなど)、幕の内弁当のご飯の抜き型、おにぎりの型など。木製とプラスチック製がある。 饅(ぬた) 味噌を使うナマスの一種で、酢味噌や辛子酢味噌で魚介類、野菜類を和えた「和え物」のこと。あさりとねぎ、わかめとウド等が代表。味噌のトロリとした感じから「ぬた」と呼ばれる。からし酢味噌を別名「ぬた味噌」という。昔は雛の節句に作られる料理だった。 ぬっぺ汁 岩手県の汁物料理。「ぬっぺい汁」とも呼ぶ。大根の絞り汁と、卵でおろし大和芋をのばし豆腐を入れたものを、温めておいた吸い地に加え、葱や海苔をのせる。 滑り(ぬめり) 「ぬめり」は魚介や野菜の粘液を指す。穴子などの魚介は塩を用いて水洗いしたり、霜降りする下処理でぬめりを取り除く。わけぎなどはさっと茹でた後酢洗いする。多くは下処理で除去する(ぬめり取り)が、例外的にぬめりを賞味する食材もある。・ぬめりを賞味する食材「じゅんさい」や「なめこ」や「めかぶ」など 布目包丁 「鹿の子包丁/鹿の子切り」「格子目」と同じ意味。イカなど、固くて味が染みにくい、また加熱で崩れにくい材料の表面に、縦横の切り目を入れること。

    料理用語集TOPへ
  • な行 「ね」

    寝かす 材料をしばらく置いておく 葱鮪(ねぎま) マグロの脂身と根深ネギ(白葱)を使う料理を葱間と称する。通常は「葱鮪鍋」を意味する略語である。浅い鍋に、だし、醤油、味醂の濃い目のつゆを張り、葱から煮ていきマグロを加え、マグロに火が入ったら器に取り分けて粉の山椒や七味などを振って食べる。すまし仕立てにしたものが「葱鮪椀」、もしくは「ねぎま汁」である。(味噌仕立てもある)他に「葱鮪焼き」もある。焼き鳥の「葱間」との混同に注意。葱間は「葱鮪」から派生した名称。昔はマグロが安く、とくに脂身(トロ)は価値がなかった為に安価であった。この部分を利用して葱と 共にぶつ切りにして煮た庶民的な料理が原型。現在は赤身と脂身の値段が逆転しているが、赤身を煮込むとぱさついた仕上がりになるので、やはり脂のある部位が向いている。カマや手屑なども使用する。 葱味噌酢(ねぎみそず) 根深葱(白ねぎ)の青い葉の部分を当たり、酢味噌に加えたもの。 猫足膳 足つき膳のひとつ。猫の足の形に似せて作った、足を持つお膳。 根白草 「根白草」は芹のことである。 捩じり蒟蒻 「手綱こんにゃく」と同じ。短冊に切ったこんにゃくの中央に包丁を入れて、そこに端を潜らせる。飾りになると同時に味が浸透しやすい。 根も葉も汁 ナス、キュウリ、揚げ豆腐を油で炒って味噌仕立てにした汁物。奈良地方の盆料理である。 練り粕 酒粕(板かす)に味醂を振って寝かせたもの。 練り酒 酒に卵白と砂糖を加え、とろ火で煮たもの。 練り山椒 求肥に山椒を加えて練りこんだもの。 練り卵 黄身だけ、あるいは白身を半分だけ、火を通しながらしゃもじで練りあげる。卵独特の臭みを抜くのが目的であり、「いり卵」ではない。 練り味噌 味噌(主に田舎味噌)を漉して加熱しながら味醂・砂糖を加えて練り上げたもの。「玉味噌」とも呼ばれ、作り方は微妙に異なる場合がある。そのまま使うほか、ごまを入れれば、ごま味噌、木の芽を入れれば、木の芽味噌、柚子を入れれば、ゆず味噌になる。 練り物 ①調理に練る工程がある料理、和菓子小豆あん、きんとん、ようかん、葛きり、練り味噌など。
    ②水産加工品
    かまぼこ、ちくわ、bはんぺん、さつまあげなど。歯ごたえの良さが基準となっており、これを「足」と称する。「足が強い」のは高級な白身魚(ヒラメ、ハモなど)を原料にしたものであり、弱いものは赤身の魚やサメ、スケトウダラなどを原料にしたものであることが多い。 年魚 鮎の呼び方のひとつ。一年で一生を終える魚であることから。

    料理用語集TOPへ
  • な行 「の」

    伸し(のし) 1 材料を平たくまっすぐにすることのし串、のし梅、のしいか、のしもち、のしどり
    2 1のようにした材料の呼び名「のしえび」など
    3 切ったり成型したりしてのし形にしたもの「のしわらび」など
    伸し板(のしいた):材料を伸ばす作業に使う木製の平らな板。そば、うどん、中華点心類の皮などを「伸し棒」を用いて伸ばす。檜製が多い。
    熨斗(のし):祝儀物、進物に添える紅白の紙を長手六角形に折ったもの。
    熨斗:これは干したアワビを柔らかにのした物を簡略化したものであり、「のし形」という。料理を長角形に切って端を曲げ、横から見ると「の」の字に見える形にするのも「のし形」である。イカなどを焼く時に用いるのし串(わらびイカ・わらび串)はこの形。 能代揚げ 生身(魚のすり身)に卵黄を混ぜ込んだものを、材料に付けて揚げたもの。材料に海苔を巻いて、その上から生身・卵黄を付けて揚げるやり方もある。 のそちり 「のそ」という魚を使ったちり鍋で、愛知県の郷土料理。のそのおろし身に、ウドやホウレン草などの野菜を加えたちり仕立て。 濃餅 のっぺいは、濃餅のほか「能平」「野平」とも当てる。「のっぺりした、とろみのある」というような意味だとされ、片栗粉や葛粉でとろみをつける実沢山、澄まし仕立ての汁物である。原型は精進料理であるが、全国各地に同様の料理がみられ、それぞれの地方で郷土料理になっている。各地の特産である野菜や鳥獣肉をふんだんに使い、地域の特徴を出している。ご馳走と呼べる惣菜としての位置づけで、また各種の行事にもよく作られる。その中で「のっぺ」と呼ばれる料理は、汁物ではなく両味(砂糖・醤油)で煮た「煮物」であることも。
    濃餅蕎麦(のっぺいそば):薄葛仕立てのあんかけそば。 昇り串 姿の焼魚の串打ちの一法。「波打ち」ともいう。川魚が川を登る姿を模して打つ串の打ち方。尾をピンと立てる打ち方は海魚の踊り串(うねり串)と同じだが、川魚は【登り/昇り串】と呼ぶ。(登り串は尾を強調し頭は立てない) 海苔和え 「磯部和え」のこと。乾燥のりをもどして調味し、加熱した野菜、イカ、牡蠣などを和えたもの。 海苔酢 三杯酢に、戻した焼き海苔を混ぜたもの。 海苔煎 海苔を使った煎餅。
    ① 焼き煎餅に海苔を巻いたもの
    ② 蛤などの茹で汁を海苔に吸わせて数枚重ねにし、焼いたもの
    ③ 生海苔(又は戻した乾海苔)に醤油で味をつけ、天火焼きにしたもの のりしろ 海苔巻きを巻く際に、上部に残す余白のこと。
    紐巻き寿司:閉じ口(留)」になるので巻物は破裂しない。完成したのり巻きの、裏側中央の位置に来る。

    料理用語集TOPへ
  • は行 「は」

    灰あく 木や藁の灰を沈殿させた後の澄んだ水。
    ① 材料のアク止めやアク抜き(今は重曹があるのであまり使わない)
    ② 豆の下茹で(早く柔らかになる)
    ③ 野菜類の色出し 灰焼き 洋食の「スー・ラ・サンドル」の技法。和食でも応用可能である。
    ・ファグラを木炭の粉末で包む(ぶどうの枝の灰を加える)
    ・刻んだトリュフを表面にかける
    ・蒸し焼きにする
    ※それぞれの材料を和風に変えるとよい 梅花卵 鶉卵を梅の花に見立てたもの。椀、口代わり、折詰めなどに使用する。
    1) うずら卵を固ゆでにする
    2) 熱いうち殻をむく
    3) 竹串五本を等間隔で卵の周囲に並べる
    4) 3の串の上下を輪ゴムで縛る
    5) 自然に冷ます
    6) 白梅はそのまま、紅梅は着色
    7) 横から切断し、切り口を見せる 盃洗(はいせん) 返杯のとき盃を洗う水の入った丼、容器。 梅肉 梅の実の果肉のこと。生梅は「塩漬け」「砂糖漬け」「果実酒」「ジャム」などのほか、生皮を「針梅」「よじり梅」などにして吸い口や酢の物等に使用する。梅干しは「梅肉和え」「梅肉醤油」その他広範に使用される。 梅肉和え:梅干しを裏漉しして醤油と甘味を加え、淡白な材料を和える(イカ、ハモ、百合根、蓮根など)
    梅肉しょう油:ハモ、タコ、マゴチなどに使用する刺身醤油。裏漉した梅干しをしょう油でのばす(だしを加える場合もある)
    梅肉酢:白身魚などの酢の物に用いる。裏漉した梅干しを煮きり酒でのばす(合わせ酢でのばす場合もある) 刃打ち(はうち) 包丁の刃を使って材料を叩くこと。
    ・ 材料を柔らかくする
    ・ 材料を細かくする 葉掻敷(はかいしき) 料理の下に敷く掻敷のひとつ。木の葉を用いる場合、葉掻敷という。 博多 博多帯の縞目になぞらえた料理全般。色の異なる素材を重ねて切り口に模様を出す。その縞模様が見えるように盛り付ける。「博多焼き(はさみ焼き)」「博多揚げ」「博多押し」などの献立がある。
    博多作り:刺身技法の一つ。イカに大葉や海苔を挟んで、切り口の博多模様を見せる。サヨリなどを重ねて模様を出すやり方もある。 形などから袴を想わせる物。
    1 つくしの固い節部分の薄皮
    2 エビの尾の部分の外殻
    3 松葉の枝付部分
    4 徳利を入れる容器
    その他 萩真薯(はぎしんじょ) 車エビ、銀杏、小豆を混ぜたしんじょ地を蒸したもの。
    ・流し缶で蒸し、三角に切り出す
    ・丸めて蒸す
    ・野菜の桂剥きに詰めて蒸す 萩御飯 小豆の炊き込みご飯。小豆を萩に見立てて「萩ご飯」という。破れないように差し水をしながら小豆を柔らかに茹でて、その茹で汁と水で米を炊く(酒と塩で調味し小豆を加えて炊き上げる) 白扇揚げ 白煎揚げとも書く。別名「白妙揚げ(しろたえあげ)」泡立て卵白と小麦粉(又は片栗粉)を衣にして揚げる。軽く揚げるのが特徴なので火通りの悪い材料は不向き。もしくは前もって材料に火を通しておく。泡立卵白1個分に水溶き片栗粉・水が各大さじ1程度。これを混ぜた「白扇衣」で材料をふわりと揚げる。 白的 白いご飯のこと。精進用語である。 白煮 「しろ煮」「しら煮」ともいう。白い材料(蓮根、山芋、うど、百合根など)を白く煮上げる手法。下処理でアクを抜いたりアクを止めたりした後、色を付けないようにして煮る。しょう油を使う場合は白醤油を用いる。 歯車切り 野菜の飾り切りのひとつ。タケノコやニンジンなどの周囲にノコギリの刃状に切り込みを入れて、小口から適度な厚さに切り分ける。鋸歯間隔をさらに細かくすれば「す巻き切り」 羽子板切り たんに「羽子板」ともいう。正月料理に使う細工包丁。ニンジンなど、固めの野菜を長方形に木取り、それを末広型に切る。柄の部分を細工し、羽子板の形にする。 箱鮨 「押しずし」とも、大阪ずしの代表であることから「大阪ずし」とも呼ばれる。作る側の調理人は「ばってら」と呼ぶことが多い。バッテラとはボートのことで長方形の押し箱の呼び名にもなっているが、正しくはバッテラとは「棒ずし(さばずし)」のこと。しかし通常の営業では「おみやげ」に箱ずしが適する事、そのハコの名称がバッテラである事などから職人は箱ずしもバッテラと呼んでいるし、これを棒ずしとも呼んでいる。つまりハコも棒も特に区別をしない店が多いのである。長方形のすし枠にすし飯を詰めて押す。葉蘭などを敷き、その上にネタを並べて上から飯を詰めて押す即席のものと、詰めた飯の上にネタを並べて蓋をし、重しをしておくやり方がある。後者を「早ずし」と呼ぶ場合もある。きれいに作るコツは角をしっかりつけること。四隅にシャリを多めに入れて押すとよい。 挟み揚げ よく用いられる揚げ方の一つ。別の材料を挟み込んで薄衣で揚げる。
    一般的なのは、茄子に挽き肉などの組み合わせ。 日本料理に欠かせないのが箸。通常食事に使用する「常用箸」の他、「取り箸」「祝い箸」「豆腐箸」「煮物箸」「魚箸」など実に様々な 箸がある。太古から使用されており、その語源は「鳥の嘴」であるという説もある。木材を筆頭に様々な材料で作られているが、材料の異なる箸を一膳にして使ってはいけない。日本では「骨拾い」を意味するからである。
    菜箸(さいばし):調理用の万能箸で、主に竹製である。揚げ物、煮物、盛り付けなどに使用する。焼物に使うと焦げやすいのが難点。焦がした場合は紙やすり等で磨く。箸はすべて二本一組で「一膳」というが、菜箸は一膳ごとに紐で繋げてある。この紐は邪魔になるので切ってから使う。
    金箸(かなばし)先が金属製になっている箸で「盛り箸」ともいう。熱には強いがすべりやすく、塗りの器などに傷をつけてしまう事もある。元来は魚専用の箸だったようで、「真菜箸」などの名称も残っている(真菜は主菜、魚のこと)調理用としては他に「こね箸」などがあり、これは主に天ぷら衣を混ぜるとき使う直径1センチほどの太い丸箸である。 箸洗い 小吸い物である。別名「湯洗いもの」「一口吸い物」料理の中頃か終わり頃に出す。 箸付け 「箸割り」とも言う。先附やお通し等と同じ意味。 端じ噛み 現在は酢取り生姜を指す言葉として用いられていて、酢の物に添えたり焼き物のあしらいに使う。元々はショウガの古名で、山椒もまた「はじかみ」の古名がある。その由来は、辛いので「端から噛む」、また薄紅色が「恥じらい」に通じるからなどと伝わる。 箸休め ①料理の途中で出す小盛り料理。酢の物や和え物が多い。
    ②料理をさっぱりさせる為の添え物。 柱蒸し 貝柱を具にした茶碗蒸し。貝は青柳の小柱を使うことが多い。具を加えない地で(もしくは少しの柱や具を卵液に加える)茶碗蒸しを作り、仕上がり寸前に貝柱を載せて蒸し上げ、熱いくず餡をかける。 走り 「走り物」も「初もの」も同じ意味。季節の最初に出る旬の生鮮食材。 蓮蒸し 「蓮飯」とも呼ぶ。蓮根の葉でもち米を包んで蒸したもの。もち米は酒と塩で薄く味をつけて一晩置き、それを蓮の葉で包み込んで蒸し上げる。 旗本雑炊 ヤッコに切った(四角切り)豆腐を具にした雑炊。 ばち 場違いという意味。
    ・本場以外でとれた食材など
    ・あやかった名を持つ食材など
    ・その場所・状況に相応しくないもの全般 深みのある器のこと。献立では以下の様な意味になる。
    鉢肴 (はちざかな)  焼魚・焼物のこと
    鉢前 (はちまえ)  酢の物や煮物
    鉢代り(はちがわり) 鉢肴の代わりに出す料理
    鉢蒸し(はちむし) ちり蒸しなどの意 八寸 方八寸(24センチ)の片木盆(へぎぼん)(杉の四角い器)、又はそれに盛った懐石料理。料理は茶懐石の献酬の際に出される酒肴であり、 基本的に海の物と山の物を対照的に作り、2種2品を対角線上に盛り付ける。(今は3~5品が多い)盛り付ける器は杉の四角盆だけでなく、丸や 半月、長形など色々で、無垢ではなく塗りも用いるし、木地以外の器に盛ることも多い。この場合は足のない「折敷」に限らない。 八寸:広島県の料理で「おはっすん」ともいう。瀬戸内物のサワラやエビ、地の里芋や蓮根や牛蒡などの野菜を薄い醤油味で煮た料理。8寸の鉢や平椀に盛り付けるので、「おはっすん」と呼ばれる。 八杯豆腐 豆腐のすまし汁。出汁4、酒2、しょう油2の濃い元割。 八方出汁 「八方地」「八方汁」とも言う。煮立てただしに味醂・醤油で薄く味をつけたもの。出汁4~8、味醂1、しょう油1が基本。あらゆる用途に使え る(八方に使える)ことからこういう呼び方をする。天ツユやそばツユ、鍋地などもこの一種である。料理によって使い分け、酒八方、しょう油八方、みりん八方など、調味の濃淡で呼び方を変えることもある。 八方面取り 面取りのことで、四角に切り出した煮物用の野菜の角を除去することを意味する。全部の角を削り取るのでこう呼ぶ。円形のものは「両面取り」 と言う。 花揚げ 別名「散らし揚げ」「浅草揚げ」薄めに作った天ぷらの衣で花を咲かせるように揚げる、天麩羅の揚げ方。上手くいかない場合は先に衣を広げて浮かせ、その上にタネを載せるようにするとよい。 花氷(はなごおり) 和食の氷細工の一種。
    ① 花形に彫った氷彫刻
    ② 紫陽花などの花びらを中に入れて凍らせた氷の器。(花鉢とも言う) 花生姜 焼き物や酢の物にあしらうハジカミの飾り切り。ハジカミ(谷中しょうが)の根に鋸のような切り目を入れて開き、柄の方に縦包丁を入れて水に放すと花が開いたようになる。 花卵 ゆで卵を縦横から波形、菊形、梅形などに切る手法。竹串に縛った絹糸を使って動かしながら切る。 花弁餅(はなびらもち) 天皇家の行事で使われる「菱はなびら餅」(一般家庭における正月の鏡餅に相当する)を元に、裏千家が考案した茶菓。主に初釜に出される。小豆の汁で紅く染めた求肥と、白い求肥で、白味噌と牛蒡蜜漬け(ふくさごぼう)を一本包んで菱型に折る。 花巻き蕎麦 関東の蕎麦屋に多い献立。そばつゆに溶き卵を混ぜ込んで、固まり加減の頃合いに、あらかじめ器に入れておいた茹で蕎麦の上に、汁ごとかけてやる。 花見 白下糖をこう呼ぶ。茶色で甘みが強い砂糖である。主に煮物に使用する。 跳ね切り 鮭、ブリ、タラなどを切り身にする刀法の一つ。包丁を寝かせて先を斜めにし、皮目を切断する為最後は刃を立てる。この包丁の一連の動きから付いた名称だと思われる。刃先を右上に跳ねて切り始めるところが特徴。行木(行儀)よりも面積が広くなり、火が通りやすくなるし、片身あたりの切り数を多くできる。魚屋が多用する刀法だが、最近は料理屋でもよくやっていて、「飾り切り」などと呼んでいる。 羽二重 羽や絹のように、ふんわり・柔らか・きめ細やかなど、優雅なイメージを持つ調理法や料理・菓子に使われる言葉。
    羽二重漉し(ばぶたえごし):三番漉しよりもさらに細かい漉し方。「絹漉し」とも言う。たとえば「しんじょう」などに作り、椀種や口代り等にする。(羽二重椀、羽二重しんじょう)
    羽二重蒸し(はぶたえむし):卵白、だし汁、豆乳や牛乳などを羽二重漉しにして器に張り、なめらかに蒸し上げる蒸し物。蒸しあがったら餡をかけ、わさびか生姜を添える。茶碗蒸しと同じような具を入れてもよい。
    羽二重餅(はぶたえもち):福井県の銘菓でもあり、絹のよう感触が特徴。質の良いもち粉のみで作る和菓子。卵白を加える手法もある。又、「羽二重団子」等もある。 蛤鍋 ハマグリの鍋物で、略して「はまなべ」とも言う。さっと炙った蛤のむき身、豆腐、ねぎ、野菜類を、味噌味で鍋にする。 浜焼き ① 鯛の姿焼き。祝儀料理。
    ② とれたての魚貝を塩焼き・醤油焼きにしたもの。 羽盛り(はもり) 鶉や鴫などの姿焼きを、羽ばたく姿で盛ること。本膳やそれに準ずる料理での祝い膳。羽を広げた形にすることから「羽衣盛り」とも。 ばらずし 広義には「ちらしずし」のこと。狭義には岡山の郷土料理の名称。
    すしめしが少なく具が多い贅沢なちらしずし。瀬戸内の新鮮なサワラなどを使用する。厳しい倹約令のあった時代に、岡山の人達が、お上の目を誤魔化すため貧しい混ぜご飯に見せかけて、実は高級な具材を下に隠して堪能したのが始まりだと云われる。 針打ち 針や金串、竹串で材料を突くこと。串打ちとも言う。大根等の輪切りに、複数本の串を末広に刺して手元でまとめ、剣山のようになった針先部分で突くと効率が良い。① 材料が含む余分な塩分や酸味や臭みや血液、組織液などを排出させるための針打ち。塩抜きだけが目的の場合もある。
    ② 速く調味料を浸透させる為に針打ち。
    ③ 魚や鳥を皮付きで焼くとき、皮や縮んだりが膨らんで破けたりしないように針打ちしてから焼く。また活魚を焼く場合は皮のみでなく身も爆ぜるので、とくに真鯛の姿焼きでは針打ちが必須。 はりはり 針針漬け(はりはりづけ)干した守口ダインコンを細かく切って三杯酢。又は普通の割り干し大根を小口に切って三杯酢に漬けたもの。
    ※守口大根の別名が「はりはり」だからとか、大根を針のように細く切るからなど、名称の由来は諸説ある。
    はりはり鍋:水菜(京菜・壬生菜)を使った鍋物。水菜のシャキシャキした食感から付いた名称。合わせるのは鯨肉、豚肉、鴨肉など脂の多い肉と、豆腐と野菜・きのこ類など。味付けは濃い醤油味。 針切り 「針打ち」とも言う。千切りよりも細い極千に切ること。刺身のけんや天盛りに使用する。薬味系(針生姜・針山葵など)は吸口に。 春風干し 風干しのことである。小魚を三枚におろし、みりんしょう油や塩水に浸して天日干しにする。生干し加減がちょうどよい。 春山 飾りかまぼこの一種。緑色を使い、山を表現した模様がある。 半煎り卵 ビショ玉、ビシャ玉、グシャ玉とも言う。半加熱の卵で料理のつなぎ等に使う。 半掛け 盛り付けの用語である。料理素材の色や形を生かすために、餡類や合わせ味噌などを料理の半分程度が隠れるようにかける事を意味する。特に素材の色や形を強調したい場合などに用いる。 半月 半月に見立てた料理や刀法。
    半月切り:円形を2つ割りにしたものを小口に切る。日の出半月、さざなみ半月など派生もある。
    半月豆腐:水切りした豆腐と片栗粉、とろろを混ぜあわせて半月形に型取り、それを蒸すか茹でる。椀種、煮物、焼物、田楽にする。 半熟卵 柔らかい状態の半ゆで玉子。ほどよい状態(黄身が固く白身は柔い)にするのは難しく経験が要る。卵を3分ほど加熱する方法と、沸騰湯の余熱で茹でる方法が主だが、その中間に様々な技法が存在する。 半助 鰻の頭を白焼きにしたもの。大阪言葉。これをだしにした鍋が「半助鍋」 礬水(ばんすい) 焼きみょうばんを溶かした水。色止め等に使う。 盤台 すし飯を入れる円形の桶。「はんだい」とも呼ぶ。別名「半切り」※「飯切り」(はんぎり)と表記することもある。
    シャリを合わせるサワラ材の大きな円形桶と、鮨などを盛り付ける塗りの桶は明らかに別の物で「調理道具と食器」なのであるが、どちらも同じく盤台であり区別されていない。これでは不便極まるので、すし屋では合わせ用を「しゃり切り」「飯切り」と呼び、器を「はんだい」「すしおけ」「盛り桶」と呼び分けて使用している。ちなみに、味噌や漬物の加工に使う盥状の深い桶も「半切り」と呼ぶ。つまり、すし屋で「半切り」という呼び方(表記も含め)を殆どしないのは正しいと思われる。正式ではないにしろ実態は「飯切り」だからである。

    料理用語集TOPへ
  • は行 「ひ」

    火入れ 調味料や料理の変質腐敗を防ぐ為の加熱。一般に火入れは日持ちをさせる為に行う。
    調味料系は沸騰させない様に過熱。料理系も煮沸に注意する。肉類の臭みを抜く目的で火を入れることもある。 火加減 加熱調理の際に火力を調整する事。煮物、汁物、蒸し物、焼き物、揚げ物、すべてにおいて火加減は最も重要な料理のポイントになる。特に煮物、汁物は、一度煮立ったら必ず火加減を調整しないと料理としての体をなさない失敗作となる。その他の加熱料理も多かれ少なかれ同じである。 控え重 「与の重」とも言う。五段重ねの重箱の四番目の重のこと。補充する為の予備の料理、もしくは材料を入れておく。 光り物 主に鮨屋で使う用語。こはだ、あじ、さば、いわし、さんま等の青魚の他、きす、さより、かすご等のような皮目が美しい白身魚も含めた鮨種のことを意味する。 彼岸 春分の日、秋分の日の前後7日間。春は牡丹餅(ぼたもち)、秋はお萩(おはぎ)他、草もち、稲荷鮨、彼岸団子などを仏に供える。彼岸料理は、昔は精進に準じて派手な品を控えるとされていたが、これは地方によって違うし宗派などでも異なる。現在は魚や肉も使用する傾向で、生前の仏様が好んだ料理を作るのが主流になっている。 引き菓子 慶弔に使う菓子で「式菓子」とも言う。「みやげ菓子」のこと。肴であれば「引き肴」である。 挽茶 一般的には「抹茶」と言う。石うすで粉末にするので、「臼」ともいう。精選した緑茶の葉を粉にしたもの。緑の濃い「濃茶」と、緑の薄い「薄茶」がある。茶の湯のほか、菓子類に使用される。料理では以下の様な使い方をする。
    ・挽茶揚げ
    ・挽茶煮
    ・挽茶粥
    ・挽茶塩
    ・挽茶白玉 引き作り 刺身の切り方の一種。包丁を真っ直ぐに入れて身を切り離す。平作りのように右側に送らないのが特徴。厚みのないイカやサヨリ等に適している切り方。 引き切り 元を浮かせて刃先で材料を切り離す。「すだれ」になったり「包丁刃に引っ付いたり」する材料はこうして切ることが通常。タクアンなど漬物類がその代表例。 引皮作り タイなど白身魚の皮を刺身にする手法。
    1)皮を熱湯に通し冷水にとる
    2)水気を拭き取る
    3)肌目を下にして形よく巻く
    4)冷蔵庫で冷やしゼラチン質を固める
    5)食べやすいように切る 引き筒 練り物を糸状に押し出す筒。「魚そうめん」を作る際に使用する道具。しぼり出し(袋)と違い、穴が5個まであるので手早く作ることができる。用途に合わせて穴の数を調整することもできる。 醤(ひしお) 「ひしお味噌」のこと。「ひしほ」とも表記されるが、正確には「ひしお」小麦(又は大麦)、大豆の麹に塩を加え醸造した調味料。嘗め味噌のひとつである。野菜のひしお漬け(なす、うり)など。ひしおのもろきゅうなど。また、魚醤や塩辛を指して醤と呼ぶこともある。 菱型 菱形に切る刀法。洋食や中国料理にも同じ切り方がある。 菱餅 3月、桃の節句に供える餅。菱形が特徴で、雛に対して供える。三色は上から白青黄。五色は上から白青桃白黄。これとは別に、菱の実の粉をもちに混ぜ込んだものも菱餅という。 びしょ玉 半熟にとどめた炒り卵。他の材料と合わせ再び加熱したりする。つなぎや玉子けんちんが主な用途。卵は勝手に火が入っていく材料なので加減が難しい。びしょ玉にするには濡れ布巾を用意し、時々鍋を火からおろして布巾で底を冷やしてやる。 翡翠(ひすい) 翡翠のように透明がかった緑色を出す料理。
    翡翠煮(ひすいに):冬瓜や茄子は皮を薄く剥くと翡翠のような緑色が出る。これを保ったまま煮る手法が翡翠煮。冬瓜は塩をすり込むか、重曹を加えた湯で茹でる。茄子は茹でた後水に取らず陸上げ。いずれも粗熱が取れたら煮汁につけて含ませる。
    翡翠揚げ(ひすいあげ):緑の銀杏を衣にした変わり揚げ。季節によってはそら豆やえんどう豆を衣に。
    ・材料は火の入りやすいエビ、イカ、白身魚
    ・銀杏の鬼皮と薄皮をむいて細切り
    ・材料に粉を打つ
    ・材料に卵白をつける
    ・材料に切った銀杏をつける
    ・低温で揚げる
    ・レモンや素塩などを添える 氷頭鱠(ひずなます) 鮭の頭部分にある軟骨(ひず)の酢の物。地方によって作り方が少し違ってくる。
    また、生鮭、塩鮭でもやり方が異なる。一般的には塩鮭を使う事が多い。
    ・鮭の頭を落とし、立てるようにして鼻先の氷頭(ひず)を切り取る
    ・ひずを小口から薄切りにして塩抜き
    ・塩を抜いたら割酢か生酢に1日漬ける
    ・下酢を捨てて本漬けする
    ・土佐酢や甘酢で1日本漬け
    ・生姜や大根おろしを添えて出す 浸し豆 ① 平たくて中央に斑点のある緑地の色大豆
    ② 青大豆を柔らかく煮て、しょう油で食べる東北や信州の料理 浸し物 「おひたし」「したし」ともいう。葉物野菜を、さっとゆがいて調味料で食べる。 醤油味が主体だが二杯酢や三杯酢で食べる場合もある。仕上げに切りゴマ、花かつお、もみ海苔などをかける。野菜の色を飛ばさない茹で方が大切。腰が折れる程度の茹で方でちょうどよい。 びっくり水 「差し水」のこと。一部のめん類や豆類は、茹でるときに表面だけが加熱されてしまう為、中心温度と等しくさせてむらなく茹で上げるために、差し水をして調整する。 引越し蕎麦 東京で江戸時代から続く風習。転居先の向こう三軒両隣に配るそば。ざるそばが主。「おそばに長く」の意だと云う。この風習も最近は消えつつある。 火取る 広い意味では材料を火であぶる事。通常は中心まで加熱せず外側だけを炙ること。旨味を引き出し香ばしさを加える。遠火で乾かすようにさっと焼くのがコツ。湯葉、麸、カラスミなどに用いる。 ひね漬け 古漬けと同じ意味。長く漬けたぬか漬けを指すことが多い。大根を三年以上味噌漬けにした「べっこう漬け」は、ひねづけの最高峰。 日の出 昇る太陽の様子を表現した献立。多くは炎や光輝を強調した覆輪にする。
    日の出蒲鉾(ひのでかまぼこ):所謂「紅白かまぼこ」と呼ばれるもの。白板かまぼこの外輪を紅に染める。祝事用。
    日の出南京(ひのでなんきん):切り口が日の出に見える南瓜の蒸し物。宮崎県の郷土料理でもある。
    1)小さなかぼちゃの上部を水平に切り落とす
    2)切り口から中身をくり抜く
    3)挽き肉に卵を加えて練ったものを入れる
    4)3の中心部に茹で卵を配置する
    5)落とした上部を戻して蓋にする
    6)蒸し上げる
    7)横にして中央から二つに切り分ける※切り口が丁度茹で卵の中央になるように
    日の出蜜柑(ひのでみかん):①皮をむいた蜜柑をまるごと寒天で固めたもの。充分に冷やして横から包丁する。別名「菊花みかん」
    ②形を保ったまま中身だけを冷し固めたもの
    1)下部を切り落として中身を取り出す
    2)果汁、あるいは果肉混じりの果汁にする
    3)2に寒天を加える
    4)3を蜜柑の中に戻し冷やし固める 捻り胡麻 炒ったゴマを指先で潰したもの。香りが出るので吸口などに使う。 別名「つまみゴマ」 姫飯(ひめいい) 蒸して作る「こわめし」に対し、釜で炊いた飯を指す古い言葉。
    ※強飯(こわめし)現在は「あずきやささげを混ぜたもち米を蒸したもの」を指すようになっているが、元々はコメを蒸籠で蒸したものを意味する。炊く場合はお粥にするのが通常であった。 姫皮 竹の子の先端部分を包む薄い皮。甘皮、絹皮とも呼ぶ。よくアクを抜いてから、椀種、酢の物、煮物、和え物、佃煮などにする。 百一漬け 古典的なナスの漬物。
    標準は、
     ・一斗樽に約100個のナス
     ・2日乾燥させる
     ・12%の塩、麹を6カップ、焼きミョウバン小さじ1br  ・赤唐辛子を加えて15キロの重石をする
    簡単に漬ける方法として、塩を倍量の水で煮溶かしたものを冷まし、みょうばんを加えたもので漬ける方法もある。赤とうがらしと、好みで砂糖も加える。100日くらい漬けるのでこの名前がある。干大根と糠で漬けるものは「百一沢庵」 冷やし吸物 いくぶん濃い目に味をした冷たい椀。すいとろ(とろろ汁)もこれになる。暑い夏向けの料理なので具を少なめに。
    「冷やし茶碗」 茶碗蒸しや吸物を冷ましたもの。
    「冷やし鉢」  氷を入れた鉢に、あっさりした料理を盛る。水貝、冷やし鶏、冷やしそうめん、煮物など。氷だけではなく、銀すだれや青掻敷などを使用したり、ガラス鉢などに盛ったりして涼感を出す。 冷奴 誰もが知る夏の豆腐料理。一般的に、冷えた豆腐を四角に切り、かつお節削りを載せる。ネギ、ショウガ、茗荷、青じそ等の薬味を添えて醤油や酢醤油をかける。奴(やっこ)とは正方形に包丁する事である。旗本の従者(奴)の紋所が正方形であるからこの名が付いたと云う。 平(ひら) 平椀の略語で「おひら」ともいう。大き目の平椀を「大平」と呼ぶ。汁ものは入れず、うま煮を盛る。 平串 ①「平打ち」「平串打ち」ともいう。材料を曲げたりせずに真っ直ぐに刺す串の打ち方。
    ②普通の丸串と違い、やや幅のある偏平な串。 平作り 最も多用される刺身の切り方。高い方を向こうにして上身を置き、小口から包丁の刃元、刃先までを使い、引き切る。そのまま包丁を右に送り、右側に作り身をやや寝かせて並べていく。 飛龍頭(ひりゅうず) 「がんもどき」の関西風の呼び方。豆腐の揚げ物で精進料理である。
    ・よく水抜きした豆腐(木綿がよい)を裏漉し
    ・つなぎのおろし大和芋、千切の野菜類や木耳を混ぜる
    ・形を整えて揚げる
    ・そのまま餡かけにしたり、煮物などに使う
    ※形は丸くするのが一般的だが、この時に龍の頭のように作るのでこの名がある。
    ※がんもどき(雁擬き)とは読んで字のごとく鳥肉の模倣という意味。肉食が禁じられていたので豆腐を肉に見立てた。 鰭塩(ひれじお) 化粧塩のひとつ。魚を姿焼きにする時に、尾びれ、背びれ、腹びれ、胸びれ、尻びれに塩をすり込む。ヒレだけが焦げてしまうのを防ぎ、同時にヒレがピンと立ち、塩が固まることで装飾にもなる。 広蓋(ひろぶた) 中居が料理を運ぶ膳。お盆より大きく、番重(ばんじゅう)より小さい。
    浅い縁のある塗り物で、長方形が多い。積み重ねられるような造作になっている。
    持ち手の付いた深みのある箱型のものもあり、これは片手で扱うことができ、蓋も付いているので、出前などに使用される。これを「岡持ち」と言う。

    料理用語集TOPへ
  • は行 「ふ」

    風味漬け 香味野菜や香辛料を加えた漬け物。 風味焼き 葱や生姜、その他香味野菜を加えて焼いたもの。主に魚。一緒に焼いて香りを移す。 深川飯 「あさりご飯」のこと。東京では「深川丼」の名称が一般的。
    ・アサリを茹でてむき身にする
    ・むき身だけをさっと下茹で
    ・ゆで汁を塩と醤油で調味
    ・このゆで汁でご飯を炊く
    ・炊きあがったらむき身を混ぜ入れる
    ・そのまま蒸らす
    ・仕上げに「針しょうが」を加える
    ※針しょうがは、三つ葉、白髪葱、あさつき等でも。
    ※深川丼の名称
    何故炊き込みご飯に「どんぶり」の名称が。発祥は日本橋(旧市場)だという説もあり、原型は市場人や木遣り達が立ち食いできる「ぶっかけ飯」だったようである。あさりの味噌汁をどんぶり飯にぶっかけただけのもの。 富貴豆 乾燥そら豆をもどして甘煮したもの。煮方が難しい。灰汁に数日浸けておき、そのまま茹でる。砂糖を数回に分けて加える。 吹き寄せ 吹寄せとは秋風で吹き寄せられた落ち葉を意味する。この風情を表現して盛り合わせた献立名。所謂「吹寄せ盛り」にしたものである。栗、松茸、銀杏などの秋の味覚を中心に、できれば木の葉型に包丁して、散らすように盛り込む。前菜、煮物、菓子の詰め合わせなど。
    主な献立
    ・吹き寄せ煮
    ・吹き寄せつくり
    ・吹き寄せすし
    ・吹き寄せおこわ
    ・吹き寄せ卵   など
    ※吹寄卵とは、茹で卵を卵黄と卵白に分けて漉し、色を分け二段に重ねて蒸したもの。 袱紗(ふくさ 袱紗とは裏地を施した布を意味する。料理においての「ふくさ」は、主に茶道でいう正四方型に合わせた同一の布を表現したもので、袱紗包みにした「袱紗寿司(四角形に包んだ茶巾)」がその代表。(つまり、四角形に包むことも袱紗である)2つを合わせたものという意味にもなり、種類の違う味噌を2種混ぜ合わせた「ふくさみそ」などがその例になる。同時に袱紗は「柔らかいもの」という意味でも用いられ、その場合の代表例が「ふくさ卵」である。袱紗卵、あるいは覆紗卵は、玉子焼きのことであり、半熟程度に柔らかく仕上げるものから、焼いた白身魚や焼き卵をほぐしたものと彩り野菜を溶き卵に加えて焼き上げたり蒸したりするものまで、色々なやり方がある。もう一つ、「柔らかい」を、軽式又は略したものと解釈する場合もあり、本式ではない献立などを指す言葉としても用いられる。「ふくさ料理」(正式でない本膳料理。略式)などがその典型。 福田味 「ふくため」「ふくだめ」ともいう。現在は見かけなくなった昔の食品。アワビやトコブシの塩辛である。身とキモを刻んで漬けたもの。 福茶 正月や節分に煎じるお茶。小梅、昆布、ちょろぎ、さんしょの実、かちぐり、大豆、番茶、以上の七種を混ぜて煎じる。 含め煮 「含ませ煮」「含め」「含ませ」などの言い方もあり、用法はそれぞれ異なるが、同じように使われる場合も多い。いずれにしても、「薄味の大量の煮汁」で「時間をかけてじっくり味を浸透」させる煮物である点は同じ。素材の持ち味を引き出し、煮崩れることがない。材料としてはイモ類、根菜類、山菜類、南瓜、茄子、高野豆腐、麸、栗、豆腐などを使うことが多い。通常は炊き合わせにし、器に少し煮汁をはる。 ふくらげ ふくらげ(鰤)とは、稚魚からイナダサイズのブリの若魚を意味する。北陸や青森などでの呼び方。「ふくらぎ」ともいう。 ふくろ 袋状にした材料に、別の材料を詰める料理全般。典型的な献立が、油揚げを袋にしたもの。「福袋煮」「宝煮」「延命袋」つまり「巾着」(巾着袋/袋煮)と同じもの。他の用い方としては、木綿袋に材料を詰めて漬ける「ふくろ漬け」などがある。 藤作り 刺身刀法のひとつ。例えば、イカを輪切りにする、それを縦に包丁する、これを折り込むと馬蹄形になるので、それを一片の花びらとし、何個も並べて藤の花を形作る。また、飾り巻きすしにも同様の手法があり、「藤ずし」または「藤巻きずし」と称する。小さいしずく型に巻いた細巻きを組み合わせて藤の花にするもの。仕上がり模様の向きによって「のぼり藤」「さがり藤」と称する。 節取り 三枚におろした魚の身を、血合い部分から切り分けて背身と腹身にすること。一体の魚から4つの節が取れることになる。 節卸し(ふしおろし)
    マグロをふしどりする場合は節卸し。身を四つ割にしてロイン(一丁)にする。通常に卸せない大きな魚は中骨をたよりに四つ割りにするもので、この捌き方を「まぐろおろし」称することもある。身が割れやすいカツオや、偏平なヒラメ等を五枚におろす場合もやはり節おろしという。つまり、丸の魚体の側面(血合いのある部分)に包丁して身を卸す方法を意味するのが節卸しである。結果的に一連の動作で「五枚」になるため、「五枚卸し」と同じでもある。また、梶木などのように長すぎて四つ割にも出来ない魚、400キロにもなって鮪包丁でも手に負えないマグロなどは、鋸で筒切りにしてから割る。この筒切りの幅はおろし包丁に合わせた長さにする事が多く、この長さを「一と車」という。 節盛り 節作りともいう刺身の手法。引き作りや平作りにした刺身を、そのまま盛り付ける。通常は奇数の引き身をよせてから盛り込む。 伏せ出汁 精進だしのひとつ。
    ・三種の乾物、カンピョウ、昆布、シイタケ
    ・これを湯に入れて蓋をし、1時間ほどおく
    ・その汁をだしとして料理に用いる 二身焼き 二色焼きのこと。二種の異なる材料をあわせて焼く。 蓋を切る 蒸し物、煮物の際に蓋をずらすこと。吹きこぼれ、蒸気の水滴、等を防止する。また、温度を調整したいときにもこうする時がある。 縁高 茶の湯で使う干菓子を入れる折敷。真塗り(黒)で縁が高い。また、点心用の松花堂や大徳寺も縁高という。 粒切り(ぶつぎり) 「粒切り」との表記は、材料を粒粒に切り分けることから、この文字を当てたようである。「叩き切るように切り分ける」ことから、包丁使いを前面に出した「打つ切り」とすることもあるようだが、両方共間違いとは言えず、さりとて多少無理が無きにしもあらず。なので、通常は「ぶつ切り」と書くものである。
    鮪の山かけなどに用いる切り方。特に形に拘らず、小口から一口大に切る。また鯉などの筒切りもこう呼ぶ場合もある。これではかなり漠然としているので、実際の調理においては「やや大きめの四角形に切る」のがぶつ切りとなっている。丸や細長い材料などは寸切りよりも短めに切り離す。叩き切るようにして作る「ぶっきり飴」という棒状の飴があり、このへんにも由来がありそうである。 葡萄煮 ①ぶどう酒煮
    ワイン(ぶどう酒)を加えた煮たもので、これは淡水魚をワインで煮込んだ「マトロート」を参考にした料理。魚のマトロートほか、鶏の「ラグー・オー・ヴァン」なども手本にする。
    ②ぶどう豆
    黒豆をふっくらと煮たもの
    ③ぶどう茄子
    小茄子を色よく煮たもの
    ①は調味にワインを加えたもので、和食では例外的な料理(葛ぶどう)など少数があるのみ。②と③は、色や形を葡萄に似せたものという意味合いであり、和食の「ぶどう煮」はこちらを指したもの。②は主に形状、③は色合い、さらに葡萄の名産地の名をとった「甲州煮」という別の呼び方がある。 船盛り 「姿盛り」「姿作り」ともいう。いわゆる「尾頭付き」頭と中骨を残して三枚におろしにし、上身以外の頭と骨を野菜の切れ端や竹串等を 利用して船のような形(魚が泳いでいる、跳ねている姿を船に見立てる)にし、その上に料理した身を載せたもの。網切りにした大根を漁網にみせて飾ったりする。祝儀用に作るときは、タイ、スズキ、伊勢海老などを使う。殆どの場合は刺身を盛るが、揚げ物などにして盛るケースもあり、これも同じく姿盛りである。 ぶりかげ 鰤鰓を意味する。「ぶりかげの味噌焼き」は、ブリのエラを焼いた能登料理。
    ・新鮮なブリのエラを磨く(洗う)
    ・塩漬けにして2ヶ月以上寝かす
    ・水又は薄い塩水で塩を抜く
    ・塩抜きしたブリエラを白焼き
    ・表面が乾いた加減で味味噌を塗る
    ・数回薄く塗りながらカリカリに焼きあげる
    ※応用として調味料に浸けてから焼くつけ焼きもあり、味噌味だけではなく醤油ベースで焼くこともある。 振り味 味付けのこと。それぞれの調味料名をつける。
    ・振り塩
    ・振り醤油
    ・振り酢 振り洗い 下処理のひとつ。深めのザルに材料を入れ、ザルごと水の中に入れて振るように洗う。これに使用する深めのザルを「振り笊」という。 ※振り笊には種類があり、貝類を洗う丸く小さなものから蕎麦などのめん類を茹でる深い笊など色々。材質は竹製のほかステンなど。 振り塩 約30センチの高さから塩を振りかけること(尺塩)。掌を返し、指の隙間から満遍なく振る。右手に握りこみ、左の掌に当てて振る手法もある。
    ① 焼き魚等に尺塩をする
    ② 材料に下味をつける
    ③ 材料の臭みを抜く 振り海鼠(ふりなまこ) 「茶振りなまこ」ともいう。番茶の煮だし汁でさっと茹でる。茶振りは他にタコを茹でるときも使う。 振り分け わざとスダレのようにする切り方。小口から薄く切り込んでいくが、切り離さないように僅かに下を残す。胡瓜など細長い野菜を使う。 風呂吹き 「風炉吹き」とも表記する。ダイコン、カブ、トウガンなどを厚めに切り、柔らかく茹で(たれによっては昆布だし)て、練り味噌をかけた(または敷く)料理。練り味噌は「ゆず味噌」「ごま味噌」が一般的だが、赤味噌を使うこともあるし、鶏ミンチや海老を混ぜ込んだり、味噌は隠し味程度にし、薄くず仕立てにすることもあるなど、様々なバリエーションがある。また、イチジクや御所柿を風呂吹きにすることもある。 文銭 文銭は江戸時代の通貨である「寛永通宝」のことで、江戸庶民に馴染みが深かった。 この銅銭は円形で中央に四角形の穴が開いたものだったことから、これに似せて作った料理に文銭という名を使う。飾り巻きすしの「文銭巻き」の他、中央を四角形に抜いた「文銭きゅうり」「文銭うど」「文銭たけのこ」などがある。「文銭たまご」は茹で卵の中央を四角に抜いたもの。いずれも横から適宜に包丁して文銭模様を見せ、椀種などに使用する。
    また、文銭卵には下のようなやり方もある。文銭卵、又は「黄身返し」「逆卵」
    1  生卵の上部に小さい穴を開ける
    2  その穴から身を抜き塩か砂糖で味を
    3  黄身と白身を分け黄身だけ穴から戻す
    4  大根を長角に切り穴にさしこむ
    5  固定させて蒸す
    6  大根を抜く
    7  抜いた穴に卵白を入れる
    8  再び蒸す
    9  冷まして殻をむく
    10 小口から切って盛る
    文銭人参
    ・長方形に切った人参を茹でる
    ・卵に白身だけを戻す
    ・茹でた人参を中央に刺す
    ・そのまま蒸すこれを切ると芯が赤、周りが白になる。縁起が良いので祝儀などに。

    料理用語集TOPへ
  • は行 「へ」

    へぎ 食の調理用語として度々使用される「へぎ」は、「剥ぎ」と表記し、薄く表面を剥ぎ取るようにするといった意味になる。皮剥のごとく表面だけを薄くすき切る包丁のこと。これを「へぎ切り」と言う。「へぎ独活」「へぎ柚子」などがそうした例。このような切り方も「へぎ切る」「へぎ取る」などと呼ぶことがある。やや異なる意味を持っている「片木焼き(へぎ焼き)」は、杉板焼きのことであり、これは読んで字のごとくだが、片木という漢字にとらわれず、「薄い板」と解釈すれば、この部分は上と同じだと考えられる。 へしこ 福井県周辺で作られる魚のぬか漬け。小浜市の「サバへしこ」は有名である。石川県では「こんか漬け」とも呼んでいて、「イワシのこんか」がよく知られる。能登半島の各地で作られており、地域によって「へしこ」「こんか」と呼び方が異なるが、作り方はほぼ同じ。内蔵を抜いて塩漬けしておき、それを糠・麹に、唐辛子を加えたぬか床で本漬けする。乳酸菌の力で旨味が増加するとともに、雑菌を寄せ付けないので長期の保存が可能である。サバやイワシだけではなく、イカ、サンマ、ニシン、イカナゴ、フグなどを漬けた製品もある。 べた塩 「あべかわ塩」「雪塩」という言い方もある。サバ、鮭などに、上下から挟むように大量に塩をすること。脂が強い青魚などは、薄塩を当てると塩を噛んでしまい、塩味がついてしまうのみ。「締め」を必要とするシメサバ等は、これでは不十分である。なので、大量の塩で浸透圧の効果を得るようにする。ただし青魚でもコハダ等身の薄い魚はその必要がない。 鼈甲(べっこう) 亀のべっこう細工のような艶をのせて仕上げたもの。「べっこう煮」「べっこう揚げ」「べっこう餡」など。高菜のべっこう漬けや奈良漬けもそうである。 別足(べっそく) 鶏のモモ。 へっちょこ 上新粉の団子を岩手では「へっちょこ」という。「うきうき」という言い方もある。「へっちょこ鍋」は白玉あんみつのような甘味。 へっちょこを湯に入れて沸かし、砂糖と少量の塩で甘く煮た小豆と、固茹でのかぼちゃを加える。 べったら漬け 江戸風の大根こうじ漬け。他の漬物より甘味が強く、長期の保存がきかない。
    皮を剥いたダイコンを2日ほど薄塩で下漬けし、米麹に砂糖、塩を加えたもので10日程度本漬けする。※干した大根は皮を剥かずに漬ける江戸時代初期、宵宮の市に近隣の農家が麹漬けしたダイコンの浅漬を売り歩いたのが始まりだという。今でも旧暦の10月19日に行われる日本橋恵比寿神社のえびす講の前夜祭(よいまつり)に「べったら市」が立つ。「べったら」という名称の由来は、こうじがベタベタであることからとか、売り歩くときに足元がベタベタに泥濘んでいたからなどの説がある。 紅粉節 粉節を食紅で着色したもの。煮物などにまぶして彩をつける。 紅鉢 昔、ボールの用途に使っていた陶器の器。糸底がない丸形の器で、現在のボールに似ていた。 箆(へら) 狭い意味では竹を割って削っただけの単純なものだが、広義には、料理用途のみならず、ありとあらゆる道具を含んだ言葉。へらはスパチュラとして洋の東西を問わず料理には欠かせない道具で、返したり混ぜたり、塗りや盛り付けなど多方面で使用される。
    ・もっとも一般的な【木しゃもじ】
    ・餡切りや金団などの【竹べら】
    ・卵を返す金へらは【一文字】
    ・鉄板焼きに欠かせない【金べら】
    ・フライ返しは【ダイナー】
    ・水切りの穴があり万能な【パレット】
    ・中華によく使う【鉄べら】
    ・テンパン用の【スケッパー】
    ・肉の調理に【ミートフォーク】
    ・製菓の【セルロイドべら】【パレット・ナイフ】
    ・あらゆる用途に使う【万能べら】と【ゴムべら】

    料理用語集TOPへ
  • は行 「ほ」

    奉書焼き 魚を奉書紙に包んで焼く料理。奉書とは、クワ科の楮(コウゾ)を主な原料にした和紙のことで、純白でなめらか、シワがないという高級な紙であることから、殿様の上意下達関連の公書に用いられた。故に「奉書」と呼ばれる。「奉書焼き」の原型は、島根県松江の漁師料理で、宍道湖産の寒スズキを灰の中で蒸し焼きにしたもの。 この料理を藩主の松平公が食することになったが、灰をかぶったままでは恐れ多いとして、奉書に 包んで灰に入れて焼いたものを献上した。その由来をみても、奉書で包むことが「パイ包み焼きのような、味を引き出すため、又は相乗効果を狙った手段」とは言えず、したがって「飾りの類」と考えるべきであろう。現在ではスズキに限らず様々魚介を使い、野菜・きのこ類や栗、銀杏、輪切り柚子などを加えてオーブンで焼いたりする。また、焼きだけではなく他の調理法を使うこともあり、「奉書巻き」という献立名もある。揚げたものは「奉書揚げ」である。 棒燻(ぼうくん) 紅鮭の燻製。掃除した鮭を塩漬けにし、さらに数週間冷燻したもの。 棒寿司 京都大阪近辺では「サバずし」ともいう。シメサバとすしめしを布巾や巻きすで棒状に形成したすし。サバの上に甘酢で煮た白板昆布をのせる。 「箱ずし」とは作り方が違う別のものであるのだが、「おみや用」としては箱ずしの方が売りやすい点などもあり、「箱ずし」と「棒ずし」は混同されているのが現状。箱ずしであっても棒ずしとして売られている。 包丁 和食で使用する包丁は、特別の仕様を除けば、すべて片刃である。素材を引き立てる日本料理において、切り口が鋭く角が立つ片刃包丁は必然的でもあろうが、後述するように日本刀の流れにも関係があると思われる。和包丁を材質で大別すると、全鋼の「本焼き」と、鋼と地鉄を張り合わせた「かすみ」の2種に分かれる。本焼きは切れ味が鋭く、その切れ味が長持ちするのだが、高価であり手入れに手間も掛かる。 棒煮 がちがちに乾燥した身欠けニシンの煮物。米のとぎ汁で2日ほどかけて身欠けニシンを戻し、骨や鱗などを掃除して番茶で数十分弱火加熱し、汁を漉す。その煮出し汁に醤油、みりん、酒などで味をつけて煮立て、そこにニシンを戻し、針生姜を加え、小一時間弱火で煮込む。火からおろし、そのままにして味をなじませておく。食べる前に再び加熱。 焙烙焼き 焙烙という素焼きの器で蒸し焼きにしたもの。現在は「ほうろく」と読まれることが多いが、正しくは「ほうらく」と読む。そして焙烙焼きも正確には「焙烙蒸し」である。焙烙に塩や松葉などを敷き、その上に魚介類や野菜などを彩り良く並べて蓋をし、天火で蒸し焼きにする。材料だけ焼いて、焙烙に盛り付けるやり方もあるし、石焼にして、その石ごと盛るなど、様々なやり方が存在する。以下の2つが著名。
    法楽蒸し:紀州白浜の料理。塩を敷き、貝類などをのせて松葉をあしらい、蒸し焼きにする。
    宝楽蒸し:京都四条大橋「ちもと」の料理。鶏肉、卵、百合根を盛って蒸し焼き。三つ葉をちらす。 干し鮑 生のアワビを水煮してよく乾燥させたもの。生や水煮に比べて重量が目減りするし、手間が掛かるので高価である漢方の薬用に使用されるものは「明鮑(ミンバオ)」。 干しアワビは主に中華材料だが、独特の風味があるため和食で使うこともある。干鮑(ガンバオ)の最高級品は、日本産の大アワビで、これを「網鮑(ワンバオ)」という。 安価で一般的なものはやや小型の「灰鮑(ホイバオ)」、それよりも小さいのが「麻鮑(マァバオ)」。漢方の薬用に使用されるものは「明鮑(ミンバオ)」。一晩水につけた後、蒸して戻す方法と、水から茹でた後、そのまま一晩置いておき、翌日に酒・醤油の煮汁で数時間じっくり煮込んで柔らかくする方法などがある。いずれにしても戻す前によく水洗いして汚れを落としておく。和食では、前菜、うま煮、蒸し物などに使う。中華では煮込み・炒め煮、スープ、前菜など。 乾飯(ほしいい) 蒸した米(もち米、うるち米)を乾燥させたもの。「かれいい」「かれい」という呼び方もある。水で戻して食べる他、そのままでも食べられる。非常に古くから重要な兵糧でもあった。 干し蝦(ほしえび) エビを素干し、または煮干しにしたもの。天ぷらや酢の物に用いる。どちらかと言えば中国料理で多用される。 干し貝 貝の身や柱を乾燥させたもの。汁の実、煮物、酢の物、焼き物、お粥などに用いる。
    とくにホタテやタイラ貝の貝柱を干したものは、「ガンベイ(干貝)」として中国に輸出され、様々な中華料理に使われている。 星形切り 飾り切りのひとつで、洋食では「エトワール」材料を適度に薄切り、それを五角形にし、そこから星の形に切る。 干し水母(ほしくらげ) 無毒のクラゲ(ビゼンクラゲ等)に、塩とミョウバンをして天日で干す工程を三回繰り返し、それを塩蔵したもの。 和食では和えb物・酢の物くらいにしか使わない。主に中国料理の材料(ハイヅァ)である。
    戻し方
    ・大鍋に湯を沸かす
    ・沸騰湯にクラゲを入れる
    ・さっとかき混ぜてすぐに湯から取り出す
    ※熱が入るとゴムのように縮小するなので、再び沸騰させてしまえば使い物ならない
    ・ボールの水に入れて流水で冷ます
    ・水につけたまま一晩置く(これが塩抜きと臭み抜きにもなる) 干し海鼠(ほしなまこ) 真ナマコの内臓を抜き、海水か海水に近い薄い食塩水で煮たあと、水気を切って天日乾燥させたもの。(マナマコに近いキンコも同じように煮干にされ、値が高い)和食では主に煮物の材料にする。中国では普通の料理に使われるだけでなく、高級漢方材料として珍重される。薬用人参同様の滋養強壮効果があるとして、「海参(ハイシェン)」と呼んでいる。トゲのある「刺参(ツーシェン)」が高値。(トゲのない方は「光参(グァンシェン)」)海参と書いて「イリコ」と呼ぶのが普通だが、日本では「ほしこ」というのが正しい。
    平安時代から作られており、昔はナマコ類を「こ」と呼んでいた。生のものだと「なまこ」、火力で乾燥させたものを「いりこ」、天日で乾燥させたものが「ほしこ」、卵巣を乾燥させたものが「このこ」(別名:クチコ、バチコ)。
    ちなみに、「コノワタ」は腸の塩辛。主な産地は長崎と北海道で、中国料理を食べる国々に輸出されている。
    戻し方
    1)よく洗った干しナマコを中敷を敷いた鍋に入れ、たっぷりの水を加えて加熱する
    2)沸いたら火を止めて、そのまま一晩おいておく
    3)2倍くらいに膨張したナマコの表皮を削り落とす
    4)熱湯に入れて5時間ほど放置、これを3回ほど繰り返す
    5)腹を切り開き、内部を水洗いする
    6)再び熱湯につけ、湯が冷めたら取り替える。これを2~3日保繰り返す
    7)3倍ほどに膨張すれば完全に戻っているので、使用できる。きれいな水に入れて冷蔵庫で保存する。
    キンコの戻し方
    1)熱湯に入れて湯が冷めるまでおく
    2)取り出して腹を開き、皮膜などを除去
    3)水から茹でて沸かす
    4)沸騰したら火からおろす
    5)鍋ごと一晩おく
    6)4、5を夏場は3日、冬場は6日繰り返すナマコ・キンコはいっぺんに加熱すると身がとけるので、このような手間をかける。また、油を嫌い、油分があると身だけとけてしまう。 牡丹作り 白身や赤身で作る刺身刀法。薄切りにした刺身を並べて牡丹の花を模す。中央にはいり卵。
    こうした盛り方を「牡丹盛り」といい、三尾の伊勢海老を尾を広げて中央にし、これを花に見立てて作り身を盛る方法などもある。
    牡丹鱧(ばたんはも)br ① 骨切りしたハモを一寸長さに切り落とし、湯霜にしたもの。「落とし鱧」ともいう。中央に梅肉をのせるか、梅肉ベースのタレにつけて食べる。
    ② 霜降りした鱧に卸人参をのせ葛を打ち蒸す。別名「紅葉はも」
    牡丹切り(ぼたんぎり)
    野菜を牡丹の花にみたてる刀法。クワイで蕾、ゆり根や大根で大輪。百合根の場合「ぼたんゆり根」といい、甘煮したものを正月献立に使う。 牡丹鍋 イノシシを隠語でボタンという。肉は牡丹肉。ぼたん鍋はいのしし鍋のこと。「牡丹に唐獅子」という言葉から発生したらしく、馬肉(桜肉)に対抗してこういう呼び方になったという。生後1年未満の猪が美味しく、成熟した個体は身が固く不味い。幼猪は縞模様があるため「うりぼう」と呼ばれる。ぼたん鍋は猪特有の臭みを抜くため、ネギやショウガを入れて味噌仕立てにする。ほぼ赤味噌仕立てだが、白味噌を使う地方もある。具は、こんにゃく、だいこん、ごぼう、はくさい、しゅんぎく、豆腐など。 骨切り ハモ、アイナメ等、小骨が複雑に入っていて、その数が多い魚類の上身に、細かく包丁して小骨を切断すること。骨を断ち切ることで口あたりを緩和する。皮目を下にしてまな板に置き、小口から数ミリの幅で、皮すれすれまで包丁を入れていく。
    これ専用の包丁が「骨切り」主に鱧専用なので「鱧切り」ともいう。 骨酢 魚の風味を移した酢の物。
    1)小魚の中骨を焼いて干しておく
    2)干した骨をあたってフルイ漉し
    3)黄身酢や吉野酢に混ぜ込む魚はキス、小アジなどがよい。 骨煎餅 キスやサヨリ、小アジ、サンマ、イワシ、めそ穴子などの小魚の中骨を、以下のように調理したもの。
    ① 油揚げして、塩をふり器に盛る
    ② カリカリに焼き上げて器に盛る
    ③ ミンチにして粉と塩を混ぜ込み揚げる
    ※③以外は軽く風干しにしてから料理する。
    ③を揚げずに茹でた場合は「骨団子」に。これは椀種などに使用する。 ほろほろ 東北風のふりかけ。大根の味噌漬け、茹でたウコギの芽、胡桃などをみじん切りにして熱いご飯にかける。 法論味噌(ほろみそ) 東大寺に伝わる特殊な味噌。法論という行事の後で食するもの。焼き味噌を天日干しにし、胡桃、胡麻、麻の実、山椒などを混ぜ込んである。 本味 器に盛る直前に行う仕上げの味つけ。素材が持つ味を損なわないように最低限の下味をつけて食べられるようにしておき、盛る直前に風味をつける程度の調味で仕上げる。 本膳 本膳料理の「一の膳」のこと。客の正面に置く膳である。三の膳まで続く正式な本膳料理の場合、一の膳には「椀、香の物、ご飯」の三種を載せる。もしくはこれに「膾、平」を加える。
    本膳料理(ほんぜんりょうり)
    室町時代に完成した武家の食作法。儀礼。正式な日本料理ともされる。かなり略式となり、会席などと混合しているが、現在も冠婚葬祭などで本膳の様式が継がれている。 本煮 盛り付ける直前に仕上げの味をつけること。薄味で含めておいたものを、器に盛る段階で仕上げ味にする。 ぼんぼり ① ごく薄い紅色に仕上げた料理。
    ② 桜色に作った「でんぶ」

    料理用語集TOPへ
  • ま行 「ま」

    舞子丼 どじょうの柳川を丼にしたもの。近江舞子産の泥鰌からの名。 前褄(まえづま) 刺身のあしらい・添えものである「つま」には、「敷くもの」「添えるもの」「飾るもの」、そして「立てるもの」がある。これを「立てづま」と言い、別名「前づま」ともいう。その典型的なものが、造りの前面に立てるように添える「花穂」である。 前盛り 器の主になる料理に対して従となる料理。そして、その盛り付け方。主役の前側に盛るのでこう呼ばれる。単体の煮物や焼き物などに添える。焼き物には流しものや甘露煮、佃煮など。煮物には異なる食材を同系の味で煮たもの等。
    お造りの前盛り
    三種盛りを例にすると、主役となる「台盛り」(鮪など)を盛り、次に「添盛り」を脇に盛り、最後に手前側に「前盛り」を配置して、つまをあしらう。鮪が台ならば、添えと前は白身やイカ、青魚などを使用。二点盛りの場合は、鮪が台で白身(鯛、鮃など)を前盛りにする。 巻き柿 干し柿を藁縄で巻いて、燻ぶしたもの。 巻き独活(まきうど) かつらむきにしたウドを斜めに切る。『より独活』と同じく刺身のつまにしたり、椀に使用。よりうどより、いくぶん幅広にする。 巻き簾(まきす) 竹を編んだすだれ。現在はプラスチック製などもあるが、熱に強く頑丈な竹製が料理には向いている。 料理用には以下の種類がある。
    ①鬼すだれ
    編み込んだ一本の竹が太くて三角形であり、この形が鬼の歯を想わせることから鬼簾。もっぱら形成用に使う道具で、「伊達巻卵」「寄せ卵」「固く作った卵豆腐」などを、まだ熱いうちに、歯が出ている面で巻き込んで、輪花状の形をつける。
    ②巻きすだれ
    細い竹で編んだ簾で、用途によって数種ある。
    ・丸巻きすだれ
    太巻き簾とも、万能すだれとも呼ばれ、全型の海苔が巻ける長さがある。巻きずしに使うほか、大根おろしの水切り、茹で葉のしぼり、蒸し物の巻き込み、蒸し器の下敷きなどにも使用する。
    ・細巻きすだれ
    特に細巻き用に作られていて、半切りにした海苔のサイズに合わせて短くなっている。
    ・西京すだれ
    一般的に「京すだれ」と呼ぶ。竹が非常に細いのが特徴。裏漉した芋や黄身、湯どった卵などを巻く。この他に、昔は「すしすだれ」という寿司専用の巻きすがあったが、今は上記の巻き簾で事足りるので次第に使われなくなった。 巻きずし すし飯を使って様々な材料を巻き込んだ料理。 一般的には海苔か薄焼き卵にすし飯をのせ材料を中央において巻き込むが、すし飯だけで材料を巻く「素巻き(めし巻き)」や、海苔等内側にしてめしを外側にする「裏巻き」もある。裏巻きに魚卵や胡麻などをまぶしたりする事もある。
    ●細巻き
    すし飯の重量はおおよそ80g程度。全型の海苔を半分に切って焼いた海苔を使って巻くものが「細巻き」で、巻芯にはきゅうり、まぐろ、かんぴょう、たくあん、納豆などを使い、材料の名がそのままその名称になっている。「きゅうり巻き(かっぱ巻き)」「てっか巻き(まぐろ)」「かんぴょう巻きのり巻き)」
    ●中巻き
    海苔は全型を使用し、細巻きの約2~3倍のすし飯で巻く。元々は太巻きを店内で食べやすいように小型版にしたもので、三切れ程度をメインの料理に添えて出すのが一般的であった。また、盛り込み用の「巴巻き」なども中巻きであり、太巻との境界は曖昧なものがある。現在は細巻き用の海苔を縦にして(すし飯の量も細巻きと同じ)巻き込み、それを四等分に切り分けたものを一人前として出す形が主流である。サラダ巻きなどがこれに相当する。
    ●太巻き
    全型海苔を使い細巻きの5倍程度のすし飯で巻いたもの。一般的には、おぼろ(又は田麩)、かんぴょう(又は椎茸)、胡瓜、厚焼き卵などを芯にして巻き込む。その他、「の」の字やうず巻き、裏巻き、細工巻き(飾り巻き)にしたりもする。
    ●手巻き
    細巻きよりやや少なめのすし飯を使い、細巻き用の海苔で円筒や三角に巻いたもの。まな板に置くことなく、両手を使って巻くので「手巻き」という。
    ●関西の巻きずし
    巻きずしは大阪が本場とされ、にぎり寿司よりも歴史が古い。太巻きは中巻きと太巻きの中間程度のすし飯を使って、芯に厚焼き卵、おぼろ、椎茸、三つ葉等を置いて巻く。これを【上巻き】という。かんぴょうや高野豆腐など比較的安価な材料を巻いたものを【並巻き】という。【こうこ巻き】は、お新香を芯にした、いわゆる「おしんこ巻き」のことである。また、七福神に因んで七種の材料を使い、やや細めに巻いた【恵方巻き】もあるが、これは比較的歴史が浅い。 巻き蒸し煮 ・材料を巻き簾で巻き込む
    ・蒸し器で蒸す
    ・調味して煮込む
     手順が洋食のポーピエット(paupiette)に似ている。 巻き焼き イカや魚、鶏などを巻いて、端を楊枝などで止めて焼く。八幡巻きなども巻き焼きである。 枕褄(まくらづま) 刺身の下に敷く「敷きづま」の別名。「置きづま」ともいう。 枕飯 亡くなった人の枕元に供えるご飯。「まくらご飯」「仏しゃり」「一杯飯」「枕許飯」「枕つき飯」など、様々な言い方がある。死者の使用していた箸と茶碗に、ご飯を山盛りにし、箸を二本刺すように立てる。不祝儀の様式なので、日常でこれをしないように注意する。 真砂 真砂とは細かい砂を意味する。
    これにちなんで、細かな粒状に仕立てた献立に真砂の名称をつけたもので、「真砂和え」「真砂揚げ」などがある。数の子、タラコ、カラスミ等の薄皮を剥いでバラバラにほぐし、酒や味醂で下味したもの、フナの卵を塩ゆでしてバラしたものや、ゴマ、ケシ、新挽き粉などを衣にし、揚げたり和えたりする。 混ぜご飯 「五目めし」ともいう。炊いたご飯に様々な具を混ぜ込んだもの。すし飯を使ったものは「五目ずし」下味をつけた野菜類に、生や加工した魚介、加工した鶏肉などを合わせて混ぜ込む。 混ぜ浸し 青菜のお浸しのように一種を使うのではなく、異なる材料を複数合わせて浸しにしたもの。野菜、魚介、鶏肉などをとり合わせる。 混ぜ盛り お造りの用語。「盛り合わせ」と同義で、一つの器に異なる刺身を盛り付けること。 松浦漬け 「まつら漬け」ともいう。クジラ頭部の軟骨を、唐辛子をきかせた酒粕に漬けたもの。佐賀県の郷土料理である。 松笠 「松毬」とも書く場合もある。
    イカ、アワビ、トコブシなどの表面に斜め包丁を入れていき、もう一度角度を変えて交差するように同じ包丁をする。それを加熱すると松ぼっくりのような形になる。これを「松笠作り」「松笠包丁」などという。クワイ等を松ぼっくりの様に包丁したのは「松笠剥き」 松風焼き たんに「松風」ともいう。表面にケシの実をふって焼く焼き物。代表的なものが鶏のひき肉を天火焼きにした「鶏の松風」で、ケシの実の代わりにゴマを使うこともある。正月には縁起の良い形(末広など)に型抜して、おせち料理に使用する。松風という名称は、「表は賑やかだが、裏は寂しい松風」に因んだもの。 松皮 松の皮に似た仕上がりになる料理につけられる。松皮牛蒡(まつかわごぼう)太いゴボウを皮付きで煮たりする料理。「堀川ごぼう」「梅田ごぼう」などを皮つきのまま糠を加えた湯で下茹でし、それを煮汁でじっくり煮る。さらに、これの芯を抜いてすり身や鶏挽き肉などを詰めて蒸し上げた【管ごぼう】は、正月のおせちにも使うもの。
    松皮作り(まつかわづくり):鯛などを皮付きで湯霜、焼き霜にして切る刺身。 松茸豆腐 初秋に献立する吸い物。絹ごし豆腐を円形など、綺麗に型抜きし、温めておいたものを、椀に入れて汁を張り、蓋をする直前に走りの松茸の薄切りを加える。 松葉 ①松の葉、松葉串を用いた料理
    ②松の葉に似せた、「切り方」、「料理」
    ①の代表例は黒豆や銀杏を松葉刺しにしたもの。
    ●松葉切り(まつばぎり)
    小さな短冊に切った材料に、端を残し縦に切り開いた「片まつば」、双方から入れ子に切り込む」「両まつば」。前者は一対の松葉に、後者は組み込んで二対の松葉になる。代表的なものが「松葉柚子」であり、吸口や天盛りに使用する。
    ●松葉卸し(まつばおろし)
    頭を落とし水洗いしたキス、メゴチ、小アジなどを尾をつけたまま三枚におろし、中骨と腹骨を除去する。形が松の葉に似ているのでこう呼ばれる。天ぷらにしたり、千代に結んで椀種にする。
    ●松葉揚げ(まつばあげ)
    松葉切り、松葉卸しにしたもの、あるいは他の方法で松葉型にした材料を揚げる。一般的には、蕎麦やそうめんを適度な長さにして衣や海苔等で松葉を型取って揚げるものを松葉揚げという。
    ●松葉焼き(まつばやき)
    器に松葉を敷き、その上に材料をのせて蒸し焼きにしたもの。アルミホイル、奉書紙、焙烙などを使用。材料は白身魚、銀杏、松茸など。松前 真魚(まな) 御膳にのせる魚という意味。あるいは「真の菜」、つまり主菜を意味する「真菜」。 いずれにしても魚のことである。「まな板」もこれに由来し、古くは「まな始め」、「まな祝い」など、幼児に初めて魚を食べさせる儀式もあった。ちなみに真菜(魚)ではない菜を蔬菜といい、これは野菜類などを意味する。
    真菜箸(まなばし)
    料理用の鉄箸で一般には『盛り箸』という。儀式用の箸は『真魚箸』と表記し、矢に奉書を巻いて水引きでとめ、箸とする。魚体に一切触れずに、真魚箸と式包丁だけを使って魚を捌くのが包丁式。 俎板(まないた) 本来は「真魚板」と書く。日本における料理材料の筆頭が魚であり、その魚を捌くための台だからである。魚に対して野菜類は「蔬菜」と呼ばれ、これを調理するための台を「蔬板(そいた)」と呼んで真魚板と区別していた。こうした魚に対する儀礼的とも言える扱いが、魚専用に特化した様々な和包丁を誕生させたと思われる。日本料理が「魚の料理」ともされる由縁であろう。同時に割烹の割に重きをおく「切る料理」でもあるから、包丁に相性の良いまな板を重宝するのである。俎板と包丁への拘りは日本料理独特のもので、西洋料理や中国料理では見られない特徴である。ひのき、朴の木、かつら、樫の木等もよく使われているが、柔すぎたり硬すぎたりで、ややバランスに欠ける。総合的に最も優れた俎板の材料は、「銀杏の木」であり、次が「柳の木」で、適度に柔くて包丁を傷めることがなく、しかも丈夫で長持ちする。
    こうした木製のまな板は、使用前に水を吸わせておき、使用後は塩と砂でこすり洗いするなど、手入れも多少手間を掛ける必要がある。
    現在は肉も野菜も同様であり、プラスチック製、ポロプロピレン製、塩化ビニール製、特殊ゴム製など、様々な材質のまな板がある。 真蒸し(まぶし) あるいは「間蒸し」と書いてマムシと読む。「まぶし」「まむし」とはウナギご飯のことであり、もしくはウナギの蒲焼を、さらにウナギそのものを意味する関西方面の言葉。毒蛇の名を想わせる「まむし」という語はあまり使われなくなってきたが、今でもこの呼び方をする人は少なくない。 まぶし造り お造りの用語。節や柵にした魚の身を刺身に引くと、両端の筋の荒い部分や形にならない箇所、いわゆる「切れ端」「てくず」が出る。これに薬味や調味料などを加えて和え物ふうにすること。中落ちをかいた「掻き身」も加えるケースがある。最近はこれを積極的に活用した「軍艦巻き」とか「海鮮丼」などがよく見られる。 飯借り(ままかり) サッパというコハダに似たニシン科の魚。それを酢漬けにした「ママカリ漬け」。 両者ともママカリと呼ばれる。ママカリとは、飯が足らなくなり、ご飯を借りに行くほど美味しいという意味である。瀬戸内海で多く漁獲され、近隣県の名物。夏から秋が旬。 豆金団 白いんげん豆で作ったきんとん。祝儀や不祝儀で使用する。 豆ご飯 豆と炊き込んだごはん。大豆、いんげん、そら豆、青豆などを使う。赤飯も豆ご飯の一つである。 「まる」は、すっぽんを意味する関西言葉。円(まる)という呼び方は、スッポンの甲羅の形からだと云われるが、中国名が「円菜」(又は団魚)であることが多少関係あるかも知れない。陸亀の一種で、現在は殆ど養殖物しかみられない。稀に野で捕獲される個体も、養殖場から逃げ出したものと考えられる。天然物はほぼ大陸産であり、これも近年は殆どみかけないし、天然が特に美味というわけでもない。死んだ個体を捌いても臭みが出て使えないので、生きているものを調理する。首を切断して放血し、甲羅を剥ぎ、四つ割りにして使用する。主にすっぽん鍋にするが、煮物や椀種にすることもある。
    丸鍋(まるなべ):すっぽん鍋。
    1)さばいたすっぽんを霜降りして薄皮を剥ぐ
    2)土鍋に酒をたっぷり入れて薄口醤油と味醂を加えすっぽんを柔らかに煮る
    3)別の鍋に鶏のスープを煮立て、ここにすっぽんを移し、しょうが汁を加えて仕上げる
    4)野菜などを加える場合は、香りのある春菊や牛蒡などを※別鍋に移さず、そのまま煮上げる店も多い 丸十 さつま芋の別名。薩摩藩の紋が丸十だったことにちなむ。 丸解き(まるほどき) 鶉、鶫、雀など小鳥の解体法。切断することなく内蔵と骨だけを除去するやり方なので、鴨や鶏などのサイズになると解くのが難しい。 丸前角向(まるまえかくむこう) 杉箱などの曲げ物(器)の盛り方。懐石料理の作法である。円形の器は、とじ目を手前に向け、角型の器は、とじ目を向こう側にする。 丸剥き 野菜の剥き方。姿のままで皮だけを剥く刀法を指す。里芋や小蕪、じゃが芋などの場合は【丸型剥き】という。 万年煮 調味料を強くし、保存を重視した煮方。佃煮や甘露煮など保存可能な煮物がそれに相当する。 万年酢 調味酢の一つ。酢に、味醂、塩、薄口醤油、梅干しを加えて、弱火で煮立てたもの。

    料理用語集TOPへ
  • ま行 「み」

    身洗い 魚や肉を、酒、酢、塩、醤油などで洗うこと。生臭みや、余計な水分を抜く為に行う下処理。 みがき 料理に掛かる前に材料をきれいにする下処理。水洗いして皮などを剥いたもの。フグのみがきは、毒も除去したもの。
    ・みがきごぼう
    ・みがきごま
    ・みがきふぐ
    身欠鰊(みがきにしん)
    乾燥させたニシン。頭、内蔵、尾、背骨を取り除いたものを煮干しにする。昔は二枚のおろし、脂の多い腹側は肥料にして背だけを使う「一本どり」であったが、ニシンが不漁になってからは、腹も使用する「二本どり」になった。現在は入品が大半で、三枚におろしにした製品が主流である。完全に干したものと、水気が残る生干しの二種類があり、前者は1年ほど保存可能、後者は冷蔵庫で保存して早めに使う。 三日月型 刀法のひとつ。文字通り材料を三か月の形に切る。洋食では「クロワッサン」という。三日月の一種、「利休切り」 微塵切り(みんじぎり) 材料を極めて細かくする切り方。慣用的に「細かくする」の意で「叩く」と言うことが多く、材料によっては「打つ」ともいう。一般的に、千切りや細切りにして横に置き、それを小口から切っていく。薬味や和え物、椀種、蒸し物などに使い、用途に合わせて切るサイズを変えることもある。
    みじん柚子
    柚子の皮を薄く切り取り、それを千切りにし、繊維を断ち切るように小口から包丁する。 水洗い 材料の基本的な下処理。とくに「生鮮食材」の殆どはこれを行う。
    ① 材料を水で洗い、汚れ等を落とすこと
    ② 魚などの場合、表面粘膜、ウロコ、エラ、ワタ、血合いまで除去して卸せる状態にすること(「みがき」と同義)
    ※穴子は塩でヌメリ除去すること、貝はタワシと塩で殻の汚れを落とすこと、など、材料によってニュアンスがやや異なる。 水貝 アワビの夏向けお造り。鮑は身の硬い「クロアワビ」等を使い、べた塩でタワシ洗いしてガチガチに締めてから、サイコロ状に包丁する。涼し気なガラス鉢などに海水程度の塩水を張り、アワビ作り身、胡瓜を入れて氷片を浮かべる。果物類や生姜片を加えてもよい。塩水の塩味だけで食べるものだが、わさび醤油で食べても美味しい。 水菓子 和食の献立上では果物を指す。昔の日本では、菓子は果物を意味していた為、その名残りである。ちなみに日本の菓子の祖神は「田道間守」(だじまもり)であり、香菓(かぐのこのみ)[柑橘類の一種]を初めてもたらしたと云う。 水切り蒸し 材料の水分をとばすための下処理。直接煮ると水分で柔らかくなりすぎる材料を、固めに煮上げる為に(あるいは柔らかにしておくために)、煮る前に蒸して水気を適度に抜いておくテクニック。から煮、佃煮、角煮など、保存向けの煮物などでこれを行う事がある。 水葛揚げ 水溶きの葛を衣にした揚げ物。葛の代用に片栗粉を使うこともある。材料はイカ、キス、エビなどが向いている。
    水で溶いた葛は沈殿するため、これを防ぐために少量の小麦粉、又は泡立て卵白を加える。 水塩 調味の際に塩を加えると、濁りが出たり味ムラが出来る場合がある、殊に微細な加減が必要な吸い物などはその可能性がある。この問題を解決するために考案されたのが水塩。清水に半量ほどの塩を加えて煮溶かして漉し、冷めたら保存用の瓶などに入れておく。 水炊き 「水焚き」とも書く。
    ① 材料を水から加熱するという意味
    ② 鶏の鍋料理の名称
    一般的に博多名物の「水炊き」を指す言葉として使われている。骨付きの鶏肉と昆布でだしをとり、肉がほぐれるほど柔くなった加減で昆布を引き出して野菜や豆腐を加える。これをポン酢ともみじおろしで食べる。 水出汁 加熱しないでとるだし。昆布、干瓢、椎茸等を水で戻し、その戻し汁をだしに使用する。主に精進の手法。 水玉切り 刺身包丁の一つ。サヨリや穴子など細身の材料を用いる。身を丸めてから切り離し、切り口を見せる。
    水玉胡瓜(みずたまきゅうり)
    刺身づまの一つ。キュウリやウドをかつらむきにして中心を残し、これを小口から細めに切り離す。剥いた部分を巻き戻して水に浸けパリっとさせる。 水餅 ついた餅を保存のために水に漬けたもの。正月に搗いた餅を小さく切って薄い塩水に漬けておくと、カビないし、焼きやすいし、美味しい。手作りではない既成品は、元々長期保存できるし冷凍すればカビる事もない。 水物 果物。または寒天を使った流しもの。 味噌料理 味噌を使った料理、食品。非常に種類が多いが、以下のようなものが代表例。
    味噌漬け:酒などを混ぜ加えた味噌で、野菜・魚介・肉類を漬けこんだもの。
    味噌漬け焼き:味噌、あるいは酒粕や麹を酒や味醂で調味して床を作り、その床に材料を漬け込んでから焼いたもの。
    味噌煮:材料を味噌味で煮たもの。味噌が生臭みを抜くので、クセのあるサバやイワシなどの青魚に向いている。味噌を酒、味醂でのばしておき、酒と水で煮立てた煮汁に加えて煮あげる手法が一般的。名古屋名物の「味噌煮込みうどん」は、だしをきかせた汁に八丁味噌を溶き入れてうどんを煮込んだもの。
    味噌汁:だしに材料を加えて味噌を溶き入れる汁物。仕立て方だけで10種類を超え、日本各地にそれぞれの味がある、和食を象徴する料理。
    その他:「みそ蒸し」「みそ炒め」「みそ和え」「たい味噌」「なめみそ」「ゆず味噌」「てっか味噌」「とり味噌」「しぐれ味噌」「味噌でん」「味噌きんとん」など多数。 霙(みぞれ) 霙(みぞれ)は、雨混じりの雪。 大粒の氷の結晶なので雪のような質感はなく、「氷の粒」という趣がある。この霙を思わせる料理にみぞれの名称をつける。
    ① 氷を削り蜜をかけた氷菓。(カキ氷)
    ② みぞれに似せて作った料理。主に大根・小カブをおろししたものを霙に見立てる「みぞれ和え」「みぞれ酢」「みぞれ蒸し」「みぞれ汁」鬼おろしで荒くおろす「みぞれ鍋」道明寺粉や新挽き粉を衣にして揚げる「みぞれ揚げ」など。 見立て盛り 盛り付け用語。季節、宴席の趣向に合わせ、自然の風景や花鳥風月を器の中で表現する。何に見立てて、どう表現するかは、料理人に任されるので、センスが問われる盛り方である。 御手洗(みたらし) 御手洗団子は、京都鴨川神社の御手洗詣の時期に茶店で売られた団子。団子を串に刺して葛掛か醤油のつけ焼きにし、先端の団子はやや大きく、二番目を少し離してある。先頭は人の頭を、2番目以降は胴体手足をそれぞれ意味しており、この団子を神前に供えて無病息災を祈った。
    これに似せた銀杏を「みたらし銀杏」と言い、半熟卵の切り口を見せるものが「みたらし卵」である。 緑和え 緑色の野菜を衣にした和え物。「春山和え」「五月和え」ともいう。おろし胡瓜の衣、そら豆や枝豆の青いものを茹でて裏漉しにした衣などで材料を和える。 湊切り(みなとぎり) 切り方の一つで、主に椀種にする。色紙型(正方形)を斜め切りにすること。
    右片を「そで」、左片を「みなと」と言う。 峰扱き(みねごき) 包丁を使った魚等の皮の引き方。アジ、サンマ、サヨリなどの薄皮を、包丁返し、峰の方をまな板につけて皮を引く。 宮島 「しゃもじ」を意味する板前用語。安芸の宮島産木製しゃもじが高名なことから。しゃもじは正確には木杓子(きじゃくし)という。

    料理用語集TOPへ
  • ま行 「む」

    麦焦がし 「はったい(粉)」、「こうせん」ともいう。煎った大麦を粉に挽いたもの。主に落雁など和菓子の材料として使用される。以前は、「おやつ」として、粉に砂糖などを混ぜて水で溶き、練ったものをそのまま食べることも多かった。 剥き蕎麦 「そば米」ともいう。ソバの種実をさっと茹でたものを、自然乾燥させて殻だけを除去したもので、栄養豊富である。これに鶏スープを調味した汁をかけて薬味(のり ねぎ)を載せて食べる料理が、山形県酒田の郷土料理である「むきそば」 麦薯蕷(むぎとろ) 炊きたての熱い麦飯に、おろしヤマイモ(とろろ)をかけて、のり、ねぎ、わさび等を天盛りにする料理。白米よりも麦飯の方が数段美味しく、また、ご飯が冷たいと美味しくない。 剥き物 料理の掻敷から派生した飾り剥きの野菜。端的にいえば「野菜の彫刻」だが、日本料理では彫刻と言わずムキモノと呼んでいる。大根、人参、南瓜、芋類を剥くことが多く、複雑なものは専用の道具がなければ出来ない。和食用のムキモノ道具は約三十種類ほどが市販されている。 麦湯 麦茶の正しい言い方。麦は茶ではないので麦茶は慣用。砂糖に渇望があった時代には、紅茶やコーヒーの様に、煮出した麦湯に砂糖を加えて飲むこともあった。 向付 略して「お向う」、「向」という。今は「お造り」を指す言葉になっている。元々は茶懐石の用語で、折敷の手前に飯と汁を置き、これの向こう側に配置する肴なので「向付け」と言われるようになった。肴は、魚と野菜のなます。現在は昆布締めや生身などを少量盛り込んで、合わせ醤油や煎り酒をかけて出す仕方が主流。昔は合わせ醤油ではなく味醂をかける事もあった。内容は刺身が殆どだが、代わりに和え物や酢の物を盛る場合もある。
    また、これを盛る器の名称も「向付」という。広く解釈されるようになって、今では会席等の向付と懐石の向付を分けるのは、ワサビを溶く醤油皿の有無くらいであろうか。茶懐石でこの皿が出ることはない。 武蔵野焼き 武蔵野原に伝わる焼き物。埼玉飯能の郷土料理でもある。薄味をつけておいた銀杏、栗、松茸、百合根などを、大きなサツマイモをくり抜いて詰め、溶き卵を混ぜて天火焼きにする。 蒸し鮨 関西で考案されたもので「ぬくずし」とも言う。寒い時期向けの温かい寿司。すし飯に下煮した五目のタネをちらして、彩り良く盛り付け、蒸し器に入れて5分程度蒸す。すし飯は加熱すると酢が飛んでしまうので、仕上がりに打ち酢をする場合もある。器は、丼の他、一人前の蒸籠などが使われる。 蒸し煮 煮崩れしやすい材料、直火にかけることが出来ない材料、固すぎて火が通りにくい材料、こうしたものを蒸し器で煮る手法。器に煮汁と材料を入れて蒸し器にかけるやり方と、材料だけ蒸して、それを煮るやり方がある。 結び 「縁を結ぶ」という語から縁起良いものとされる点、見た目が品良くなるという点、こうしたことから結びは料理でよく使われる。一般的に細長い材料を結んだものだが、紅白蒲鉾などを包丁し、それを結んで飾ることもある。結び方は「千代結び」「文結び」「一重結び」「二重結び」「相生結び」「淡路結び」など簡単なものが多いが、ゴボウ・カンピョウなど丈夫な材料では複雑な結び方をする事がある。
    結び鱚(むすびぎす)
    松葉おろしにしたキスを千代結びにして椀種や酢の物にする。サヨリを使えば「結びさより」
    結び三つ葉(むすびみつば)
    三つ葉を2~3本束ねて片結びにし、さっと茹でて色を出し、椀づまに使う。
    結び昆布(むすびこんぶ)
    昆布の汚れを拭き取り、軽く水で戻して(戻しすぎると結べない)、等間隔に結んで行き、結び目が中央になるようにハサミで切る。これを煮物などにする。また、結んで乾燥させた市販品もある。 室戸和え カツオの塩辛を使った和え物。

    料理用語集TOPへ
  • ま行 「め」

    目打ち 調理道具名と処理手順名を兼ねた呼称。道具名を指す場合は、混同しないように「目打ち針」と言うこともある。
    ①長い魚類を安定させて捌くための道具
    鰻、穴子、鱧などを裂くときに、目の下に錐状の鋭い金具(目打ち)を打ち込んで、まな板に縫い付ける様にして(これが「目打ち」するという手順を指す)、包丁する。大量に捌く専門店などでは、これ専用のまな板を使う。このまな板は端に穴を開けてあり、この穴に針先を通すように軽く押しこむだけでよい。これで目打ちをいちいち打ち込む手間が掛からない。
    ②小魚を串刺しにして調理すること
    公魚、柳葉魚、鰯などの小魚の目に竹串や楊枝などを刺して数匹をまとめて揚げたり焼いたりする。 夫婦挿し 竹串などを使って材料を繋ぎ一対にする。
    ① 婚礼料理で使う手法。
    ・同一の材料を大小一対に
    ・紅と白を一対に
    ② 魚介や鳥を腹合わせにして対にする手法。 夫婦炊き 同じ材料を異なる調理法で仕立てたものを、一緒にして煮合わせたもの。例えば、「揚げ豆腐」と「焼き豆腐」の煮物。 目笊(めざる) 網目の荒い(間隔が広い)ザル。主として「野菜の水切り」に使う。 芽の葉 芽の葉は、ワカメを意味する言葉。出雲地方には「めのは飯」という郷土料理があり、これはワカメの新芽を乾燥させたものを軽く炙ってから「もみ海苔状態」にし、ご飯にかけて食べるもの。 眼張り鮨 和歌山の郷土料理。高菜漬けで、飯を包み込んで俵型にしたもの。高菜漬けを二杯酢に浸してあるので、酢飯ではなく普通のご飯を包んでいるが、すし飯を使うケースもみられるし、具などを混ぜ込んだものもある。名称は「美味しくて目を見張る」からだと云う。 芽出し慈姑(めだしくわい) 芽を残して調理したクワイ。
    冬季限定の野菜であるクワイは、正月料理に欠かせないものであり、「めが出る」という縁起担ぎの語呂もあって、芽を付けたまま料理する。芽を残して六方、松笠、鈴などに剥いたクワイは、ミョウバン水に浸けてアクを抜き、クチナシの実を加えて下茹でする。これを煮汁で煮含める。ちなみに、中国料理で多用される水煮のクワイは、和食で使うクワイとは違う種類である。 女星(めぼし) 二枚貝の小さい方の貝柱。大小二箇所に貝柱があり、これを男女に見立てて「男星」(大星)、「女星」という。 芽巻き 材料をワカメで巻いた料理。ワカメで巻き込んで煮物や酢の物にする。材料は白身魚やエビなど。 面取り 野菜の下ごしらえの一つ。煮物にする野菜の角を薄く切り取る。熱が集中する鋭角な部分を失くすことで、この部分から煮崩れすることを防ぐ。剥く野菜は、大根、人参、南瓜、蕪、芋類など。
    目的に応じて、カットした形に応じて、「片めんとり」「両めんとり」「八方めんとり」「糸めんとり」にする。大概は円形の場合は両面取りにし、四角型の場合は「八方面取り」にする。

    料理用語集TOPへ
  • ま行 「も」

    動物の内臓の総称。ホルモンとも言う。牛豚の腸を指す場合もあるが、正肉以外の、皮も含めた臓物全般をモツという。鶏の肺臓(ドリ)は食用を避ける。「もつ焼き」、「もつ煮」、「もつ鍋」などに使われる。 物相(もっそう) ①調理道具の「押し枠(抜き型)」
    ②その型で押して作ったもの。「物相ご飯」
    扇面(末広)、丸、瓢箪、松、竹、梅などの型があり、多くは木製だが、最近は他の材料で作った型もある。
    「物相ご飯」とは、茶の湯の点心(軽い懐石)用のご飯で、普通は白飯を使って型抜きしたもの。上に黒ゴマ、青のり、ゆかり、そぼろ等をかけることもある。
    また、稀に白飯ではなく「豆ご飯」や「松茸ごはん」「筍ごはん」等を使用することもある。 餅鯨 くじらの黒皮(本皮)の下の、白い脂層。 餅草 「よもぎ」のこと。 化学調味料の略語。これに塩を混ぜたものが「素塩」(もとじお)素塩は揚げ物に添えたりするもので、さらに素塩に粉茶、粉柚子、粉山椒、カレー粉などを加えて変化をつけることもある。化調は悪役の代名詞になってしまったが、化学調味料が悪いのではない。依存しきった「使用量」がおかしい。つまり使い方に問題がある。
    元々は、昆布などが持っている「天然のうまみ」を化学的に合成して手間や材料費を抑える、つまりコストを低減させる商品であり、したがって大量生産の工業食品とマッチしている。
    個人的意見としては、料理人がコストに走れば、料理はやがてその存在意義を失うと考える。料理を作る人は「食品と料理の違い」を再考されたし。 元揚げ 衣を手元側だけにつけて揚げること。
    ・白髪扇揚げ
    そうめんを数本束ねて手元に天ぷら衣をつけ、揚げると、末広形(扇型)に広がる。天麩羅の盛り合わせに加える場合は上にも所々に衣を散らせる。
    ・海苔の末広揚げ
    そうめん同様に焼き海苔を揚げる。
    ・海苔包み揚げ
    白魚などを海苔で包んで揚げる。とろろ磯辺揚げとの違いは手元の天ぷら衣だが、ノリを使う揚げ物の総称が磯辺揚げなので、磯辺揚げと呼んでもいい。 元返し そばつゆのタネになる調味液(元汁)を「かえし」といい、作る際に醤油を加熱するかしないかで「本返し」「生返し」と呼び分けている。「返し」とは、大量に作って保存しておいた元汁を必要に応じて「煮返す」ことからである。かけそばのかけづゆは、元返しをダシでのばして沸かしたもの。(甘汁といい、やり方は一様ではない)
    ザル蕎麦のつけづゆは、元返しとその半量のミリンを合わせたもの。(※実際には辛汁といって最初から椎茸・昆布。鰹節等を加えて作ったものを使うところが多い)返しはそれぞれの蕎麦屋の秘伝であり、作り方が異なるが、基本的には「醤油3、砂糖1、味醂1」で調合したものを保存する。醤油は昆布醤油であることが多いが、江戸時代は生醤油を使っていた。 戻す ① 乾燥させた食品を水などに浸けて生の状態に戻すこと
    ② 塩蔵品の塩気を抜くこと
    ③ 砂糖漬けの甘味、酢漬けの酸味を抜くこと
    ④ 冷凍のものを解凍すること 紅葉 紅葉に似た食品、料理。
    紅葉おろし
    大根おろしを紅色にしたもの。刺身や鍋物、蒸し物、揚げ物などの薬味に使う。赤唐辛子をぬるま湯に浸けて柔らかにし、上を切り落としてタネを除き、箸にかぶせて数個を大根に突き刺す。それをおろし金ですりおろす。また、赤唐辛子のペースト(商品名:紅葉おろし)を大根おろしに混ぜ込むやり方もあり、こちらが一般的。さらに、唐辛子ではなく、人参をおろして混ぜたものもある。
    紅葉和え
    赤い衣で和えたもの。例えば赤い塩蔵のタラコをばらしたものとイカを和える。
    紅葉焼き
    黄身焼きの赤バージョン。ケッチャプなどで黄身を紅色に。
    竜田揚げ
    竜田揚げの竜田は紅葉の名所である竜田川のことで、色合いで紅葉を表現したもの。
    紅葉子
    タラコの別称。 揉み漬け 浅漬、早漬けの一種。菜物などを塩で揉んでから浅漬にする。茄子や胡瓜も同様に漬けることもある。一般的に、塩もみの後、醤油、酢、香辛野菜類の刻みなどを加えて重石をして早漬けにする。 揉み豆腐 包丁を使わずに手で揉み潰した豆腐。豆腐の旨味が残り、味が浸透するとされる。
    やや大きめの岩石状にし、水にさらして屑を洗い流して椀種や味噌汁に使う。 百々川揚げ(ももかわあげ) 変わり揚げの一つ。イカ、エビ、貝柱、ウド、たけのこ、百合根、蓮根といったものを材料とする。材料に下味をしておき、クワイをすりおろしたものと、卵黄を混ぜたものを衣にして、中温で揚げる。 百草(ももぐさ) 千草と同じ意味。千種、百種ということで、沢山の色々な材料を取り合わせた料理を指す言葉。「百草焼き」「百草蒸し」「百草和え」など。 桃煮 赤貝の煮物。形と色合いから桃煮。 ももんじ屋 獣肉を扱う店。明治初期頃まで四つ足の動物を食べるのは忌まれていて、公には肉屋は無いのだが、実際には存在していた。「ももんじ屋」という名称はその隠語。 盛り合わせ ①材料の異なる料理を複数盛ること
    ②異なる手法で作ったものを複数盛ること
    ①②のいずれか、又は両方のミックスを盛り合わせという。一つの器に異なるものを彩りよく盛り込む。 盛り零し(もりこぼし) ①少し余分に料理を盛っておくこと。
    人数分よりも多く盛っておくのは食客への気遣いでもある。(何かの時のb予備的意味合い)
    ②汁気のない品を盛り合わせる料理で、汁気がある品を別の小さな器に盛って添えたりすること。 盛り塩 「塩花」という別称もある。料理屋などでは、開店前に玄関に打ち水をし、三掴みの塩を盛る。これは、貴人が乗る車を引く羊や牛を玄関先で引き止めたという故事に因む、商売繁盛を願う縁起担ぎである。 諸味(もろみ) 諸味とは、醤油や清酒を造る工程で、諸々の材料を発酵させた状態のものをいう。これをしぼって液体にしたものが、酒や醤油。固形のしぼりカスが、酒粕や醤油カスである。
    酒のもろみは「醪」と書き、「どぶ」ともいう。獨酒(どぶろく)はここからきている。
    醤油や味噌のもろみは、「諸味」と書く。これは「ひしお」と呼ばれることもある。
    料理用の諸味は、醤油の製造工程から造られたもので、麹に食塩水を加えて熟成させたものであり、独特の甘味と香りを持っている。これを使って材料を漬けたものが「諸味漬け」野菜の場合はそのまま洗わずに食べる。魚介・肉は焼いて「諸味焼き」

    料理用語集TOPへ
  • ら行 「ら」

    螺旋切り(らせんぎり) 雷干しなどの切り方。角度を斜めにし、回しながら切る。材料が螺旋階段のようなる。 落花生 ナッツ類の代表格である落花生は、南京豆とも呼び馴染みが深い。油を抽出したり、殻ごと煎って食べたり、バター炒めにしたりするが、和食でも使用する。あらく刻んですり鉢であたり、醤油・砂糖を加えた「落花生醤油」で和え物。「落花生酢」もある。献立としては「落花生煮」「落花生豆腐」など。 乱菊 刺身手法の一つ。細く切った作り身でしだれ菊のような形にする。「乱菊造り」、「乱菊盛り」という。赤貝やイカなどが作りやすいが、サヨリやキビナゴなどでも美しい。盛り込み用の細工すしでも乱菊はよく用いられる。 乱盛り とくにこだわることなく無造作に盛る。山高に盛っていく。刺身や煮物などの盛り方。刺身は細作りや角作りが適する。

    料理用語集TOPへ
  • ら行 「り」

    利久 通常はゴマを使った料理の名称。高名な茶人である「千利休」が好んだ、又は考案したとされる料理などに付けられている。(実際は、利休本人ではなく、後世の人々が「利休好み」として考案したものが殆ど)利休ではなく「利久」と表記するのは、休の文字が商売を行う人々にとって忌み言葉 だからだと云われる。「利久煮」や「利久焼き」「利久玉子」のほか、汁の「利久仕立て」、ゴマ(又は揚げ油が胡麻)衣の「利久揚げ」、切り胡麻を振って蒸す「利久蒸し」、菓子では「利久まんじゅう」など質素を旨とした利休が汁の実にしそうな「利久切り」という切り方もあれば、懐石箸の名称も 「利久箸」という。 龍眼 竜眼と書く場合も意味は同じ。中央に丸い目がある料理全般を龍眼という。また、「月冠」という呼び方もある。一般的には、茹で卵を材料で巻いて作ったものを中心から2つにして切り口を見せた「龍眼卵」のことを指す。
    龍眼とは、南方原産の常緑高木「ムクロジ」の果実のことで、味がライチに似たトロピカルフルーツ。乾燥品は体を温める薬用として使われる。中名は「ロンイェン」
    龍眼揚げ
    茹でたうずらの卵を目玉にする揚げ物。卵を巻く材料はエビ、イカ、白身魚、ササミなどがよい。下処理した材料に片栗粉をまぶし、卵を巻いて楊枝で止める。溶いた小麦粉に卵黄を加えた衣につけて揚げる。中央から2つ切りにして切り口を見せて盛る。

    料理用語集TOPへ
  • ら行 「る」

    瑠璃煮(るりに) 瑠璃色は紫を帯びた紺色。料理ではナスの色を指す。瑠璃煮は茄子を色よく煮上げたもの。また、素材の色を活かした「色煮」全般も瑠璃煮という。
    瑠璃煮茄子
    ・色の鮮やかな小ナスを選ぶ
    ・皮に包丁目を入れて2つ切りにする
    ・塩少々を加えたミョウバン水に浸ける
    ・1時間ほど浸けて色止めする
    ・薄い味噌汁でさっと煮る
    ・取り出して水気を軽く絞る
    ・だし、みりん、塩、薄口醤油を一煮立ちさせた汁を冷ました調味液に漬ける
    ※そのまま薄い味噌汁で煮る方法もある

    料理用語集TOPへ
  • ら行 「れ」

    蓮根豆腐 蓮根と豆腐の蒸し物。蓮根をすりおろし、少量の豆腐と卵白を加えてすり混ぜる。それを流し缶に入れるか、ラップに一人前ずつ包むかして蒸し上げる。器に盛ってエビのそぼろ餡をかけ、つゆ生姜を落とす。 蓮木(れんぼく) 「すりこ木」のこと。する事を「当たる」と言うが、「する」は損するの意で嫌われ、反対語をあてたもの。従って蓮木・スリコギを「当り棒」と言う。材質は、桂、ほうの木、ねむの木、桐の木、山椒の木など。 銅八銭(ろうはっせん) 落花生を意味する隠語。

    料理用語集TOPへ
  • ら行 「ろ」

    六条豆腐 乾燥させた豆腐。木綿豆腐を薄く切って、塩をして乾燥させる。戻して椀種や和え物などに使う。

    料理用語集TOPへ
  • や行 「や」

    八重作り 刺身刀法の一つ。「切り掛け作り」「二枚包丁」ともいう。刃を途中まで入れて止め、次の刃で切り離して一切れにする。あとは平作りと同じように右に送っていく。サバやカツオなど赤身で身が柔らかなもの、白身魚で皮目だけ霜降りにしたものなどを、皮付き(サバは薄皮を剥く)で刺身に引くときに使う方法である。皮に切れ込みが入ることで、固い皮が口の中で噛み切れないなどの不快さを防ぐ事ができる。また、切れ込みによって刺身醤油が浸透しやすくなる。 焼き栗 栗を焼いたもので、八寸などに使う。甘味をおさえた薄い蜜で、剥いてアクを抜いた栗を煮あげ、一度さっと水洗いしてから焼き目が入るまで焼く。黒胡麻をのせる場合は、卵白を栗に塗り、そこにゴマを振って乾かす程度に炙る。鬼皮ごと焼く手法もあり、この場合は包丁で鬼皮に切れ込みを入れてから焼く。有名な天津甘栗は、熱した荒砂や小石の中に、鬼皮付きで入れてかき混ぜる。ミリンで味を補うやり方もある。 焼き板 「焼きカマボコ」のこと。 焼き霜 「火取り」ともいう。刺身手法で、皮も賞味する「皮霜」の一種。たんに炙ることを「火取り」「炙り」、炙ったあと冷水に取るのを焼き霜と いう。上身に金串を打って強火で皮を炙り、すぐに冷水にとって冷やし、水気を拭いて刺身に切る。これを「焼霜作り」という。また、焼いた皮の様子から「松皮作り」ともいう。皮を焼くことで生臭みが抜けて香りが出るし、旨い部分である皮目を一緒に食べられる。「カツオのたたき」がよく知られるが、タイやアイナメ他皮目の旨い魚でよく使われる手法である。刺身以外の料理でも用いられる。「炙りトロ」などが一例で、こうしたものは皮霜ではないが、火取る事で余分な脂などを排出して香ばしさを出すという点では同じ。
    ※料理用のバーナーには藁火や炭火のように香りを引き出す力はなく、用途としては「焼付け」に適した道具である。バーナーは表面を炙って焼き目を入れる程度の使用が望ましい。その場合でも、ガスの種類や、それが身体に及ぼす影響などの点は留意しておくべきである。 焼き生姜 はじかみを味噌焼きにした「味噌焼き生姜」谷中生姜の根茎を2つに裂き、味噌を挟み込んで強火で焼き上げる。 焼き白玉 白玉で団子を作り、それを焼いたもの。椀種などに使う。
    焼き団子(菓子)
    上新粉と米粉で柔らかめに作った餅を、1個8グラムサイズに丸め、3~4個ずつ串に刺して焼く。通常は醤油ダレをからめて焼き上げるが、餡をからめてもよい。「焼き抜き団子」も同様のもので、醤油だれの他、甘い葛餡などをからめる。 焼き付け 完成した料理に焼き目を入れること。「焼き目」と同じ意味。焼き目がアクセントになって完成度が上がり、食欲をそそる仕立てになる。照り 焼きや松風などがその例で、昔ながらの手法としてミリンを塗ってもうひと焼きするというものがある。現在は料理用のバーナーを使うことが多い。特殊な例として、熱した金串を表面に当てて焼き目を入れるやり方もある。材料はイカなど。これは焼きゴテで焼き印を押すのに似た仕方で、「焼き目作り」ともいう。 焼き膾(やきなます) 火を入れる珍しい酢の物。「炒めなます」ともいい、野菜などの材料を油で炒めて8分程度火を通してから、合わせ酢を加えて一煮立ちさせる。炒め油にゴマ油を使用してもよい。 焼き松茸 略して「焼き松」と呼ぶ。直火焼きの他、焙烙や紙・ホイル包みの蒸し焼き、炒り焼きなど様々な焼き方がある。一般的には直火焼きが主流で、大きく分けて関東風と京都風の焼き方がある。江戸風は、裂いた松茸をミリン醤油にすだち汁を加えた液につけながら焼き、京風は、薄塩をしてから焼き、ポン酢や割だしで食べる。 焼き葱 白ネギを3㎝程度の長さに切り、炙って焼き目を入れたもの。椀種、煮魚の前盛り、焼き鳥などに。 焼き場 ① 焼き物を作る場所
    ② 焼き物を作る調理人(焼き方という) 焼き味噌 辛めの糀味噌を炙ったもの。簡単な肴として昔は日常的にみられた。
    板に味噌を塗って遠火で乾かすように焼き、軽く焼き目を入れて香ばしさを加える。酒の肴のほか、これで味噌汁を作ると趣がある。 薬研(やげん) 鶏の胸骨のことを意味する語。薬研とは漢方薬で使う金属製の道具だが、その形と鶏の胸骨が似ていることから。 野菜餡 玉子豆腐や蒸した白身魚などにかける餡の一つ。人参、椎茸、筍、木耳などを千切りかあられ切りにして煮汁で煮立て、薄葛を引く。 鑢目(やすりめ) 刀法の一つ。ヤスリの目のような網目状に包丁を入れる。鱧の骨切りなどに使われていたが、現在の骨切りは鑢目にしないで小口から切り込む仕方が主流。今は、イカや野菜などを細工する飾り包丁として用いられる。 矢鱈漬け ・多種類の野菜を刻んで、塩漬けや味噌漬けにしたもの。
    ・野菜の味噌漬けで、山形の名産。 八床鍋 「丸鍋」の別名。「ぼうず鍋」「だるま鍋」ともいう。打ち出し鍋で、柄(持ち手)が付いていない。材質は殆どがアルミだが、銅製もある。柄が無いため、ヤットコで鍋縁を挟んで扱う。持ち手がないので、コンロで邪魔にならず、湯煎などがしやすく、洗いやすく、頑丈で、重ねて収納できるので場所を取らない。これらの利点から殆どの和食の調理場で使用されている。主にプロが使う鍋であることから、厚手で手打ちの鍋が多い。 やっちゃ場 青果市場、青物市場のこと。 宿借り盛り 「家盛り」が剥いた貝の身を殻に戻して盛るのに対し、宿借り盛りは、貝殻だけを利用して、その貝とは無関係の料理を盛ることをいう。
    宿借り焼き
    アワビ等の殻を使った焼き物。アワビの殻の穴をご飯粒やうどんなどで塞ぎ、様々な材料を詰めて焼いたもの。 柳川鍋 「どじょう鍋」の別称。
    1)生きたドジョウを容器に入れる
    2)酒を振り掛けて蓋をしておく
    3)包丁で開いて骨と頭を除去する
    4)浅い土鍋にささがきゴボウを敷く
    5)ゴボウの上にドジョウを放射状に並べる
    6)濃い煮汁を張る(だし、酒、醤油、砂糖)
    7)煮立てる
    8)仕上げに溶き卵を入れる
    9)半熟程度で火を止め、三つ葉のせる
    10)山椒を添えて供する
     ※裂いたドジョウを味噌汁で下煮しておくやり方も酒とゴボウでドジョウの臭みが抜けて美味である。
    ドジョウ鍋自体の起こりは割りとはっきりしており、その発祥は東京駒形である。柳川に関しては、江戸の日本橋にあった「柳川」というどじょう屋が考案したものだからという説があるかと思えば、柳川とは料理名ではなく、「柳川なべ」、つまり独特の浅い土鍋のことだという説もある。福岡の柳川付近の窯で焼かれたもので、この鍋でドジョウを煮る郷土料理があり、それが始まりだという。さらに、日本橋「柳川」の主人が福岡柳川出身であったから、などという説もあるし、他にも諸説があり、はっきりしない。 矢羽根 弓矢の羽根の部分のこと。料理で模倣するのは、正月初詣の神社での「破魔矢」であり、破魔矢は邪気を払うということで、正月料理や祝儀の料理で用いる。
    ① 矢羽根に似せた切り方
    ② 矢羽根を模した料理
    切り方には、「やばね人参」と「やばね蓮根」があり、料理では「矢羽根羊羹」がある。他にも色々応用する。 ①商品の在庫が切れたことを意味する隠語
    例えば仕込んだ品の補充を求められたとき、在庫がもう無い場合に「◯◯はヤマです」というふうに応じる。類似の隠語に「アニキ」(兄ちゃん、略して「チャン」)というのがあり、これは残り物や古い物を意味し、反対に若いもの(新しいもの)を「弟」という。仕込んだ品を日付順に整理する時に「アニキを前に」という具合。
    ②刺身の角。鋭角だと「山が立っている」
    山家煮(やまがに)
    野菜の「直煮」のこと。皮を剥き、下ゆで無しでそのまま煮る。
    山川漬け(やまかわづけ)
    干し大根を臼で搗いて塩漬けにしたもの。独特の陶器壺に漬ける鹿児島の郷土料理。 山芋 ヤマノイモ(薯蕷)は、天然種であるジネンジョから、栽培の大和芋、長芋、銀杏芋、つくね芋などがあり、これらは使う料理には、「山」や 「芋」、もしくは「とろろ」の名称を使う。山は山芋の略、とろろは、すりおろした芋の感じがとろとろしている事から。
    とろろ
    おろした山芋、また、それを直接または汁などを介して食べるもの。献立には、とろろを吸地や味噌汁でのばした汁物の【とろろ汁】、小鉢にとろろを入れて黄身を落としした【月いも】など。そばつゆに入れるタイプのそばは【とろろ蕎麦】
    山掛け(やまかけ)
    ご飯や料理の上にとろろをかけるもの。【鮪のやまかけ】がよく知られ、これは【やまかけ丼】の一つである。蕎麦の上に載せてあれば【やまかけ蕎麦】 山鯨 イノシシの隠語。肉をボタン肉という。獣肉食がタブーだった時代、四つ足の動物を食用として扱う場合は隠語を使って人々の目を逃れていて、猪の場合は魚の一種として食用が認められていたクジラの名をかたった。 山蛙 一部の蛙は、鶏肉に似たまずまずの味である。中津川の「きみがえる」は美味で知られた。食用として「アカガエル」の養殖がなされた時代もあったが、現在は需要が薄い。 山路和え 酒、ミリンを加えて一煮立ちさせた合わせ醤油で、陸と海の食材を和えたもの。和え物としては豪華であり、主に肴用。 山吹 「黄金・・・・」「黄身・・・」などと同じ意味。主に卵黄を使い「黄金色」にみたてる料理。【山吹和え】や【山吹蒸し】などがある。鮎などの卵巣を使い、子がらみにする酢の物は「山吹膾」 山河豚 コンニャクの刺身。薄引きにしてフグ刺しに似せる。群馬の郷土料理でもあり、酢味噌などで食べる。広島では、「山ふく」といい、やはり郷土料理。精進風に、昆布出汁で煮たコンニャクを刺身にして菊盛りにすることもある。 八幡巻き 味つけした材料を芯にして、生の材料を巻きつけ、それを付け焼きなどにした料理。原型は、煮たゴボウに開いた穴子や鰻を巻いて、味醂醤油 で付け焼きにしたり、煮たりしたもの。京都の八幡がゴボウの産地であったので、この名がついたという。
    1)適当な長さで四つ割りにしたゴボウを、だし・薄口醤油・みりん・塩などの煮汁でやや固めに煮上げる。
    2)ウナギやアナゴを背開きにし、尾の下3㎝程を残して切り、螺旋状にゴボウに巻きつける。3~5本の金串を横から末広に打ち、まず白焼きにする。(煮る場合は縛ったり楊枝で止めたりする)
    3)味醂と醤油を割ったタレで付け焼きにする。仕事的には、ここで仕上げまでせず、いったんマキスで巻いて冷ましつつ形を整えて保存しておき、出す前に仕上げ焼きをする。
    4)小口から2~3㎝幅に切って盛り付け、粉山椒を添える。ちなみに、アナゴも良いが、ゴボウと相性が良いのはウナギの方である。また、応用例として、ゴボウに鶏肉、ウドに鶏肉、セロリやアスパラに豚肉など色々な仕方がある。 柔らか煮 タコ、イカ、鶏、貝類などを柔らかく煮上げる手法。こうした材料は加熱によって身が締まり、煮ると堅くなるもの。これを様々な手法を使って柔らかな煮物にする。方法は色々あるが、基本は加熱の時間と温度。材料によって身が堅くなる時間というものがあり、それを見極めて調整する。多くの場合は40分以上という長い時間をかけるが、逆に極めて短時間で煮上げる場合もある。10~20分という「普通の煮時間」がこれらの材料を堅くしてしまうので、その時間帯を使わない。タコを例にすると、糠でヌメリを取り(塩揉みは避ける)、水洗いして大根で叩く、これを煮汁に入れて小一時間煮る。そのまま冷めるまで放置。煮汁に重曹や炭酸を加えることもある。
    しかし、色々やらなくとも先に書いたように「温度と時間」を把握しておけば、充分に柔らかな煮物にすることが可能である。

    料理用語集TOPへ
  • や行 「ゆ」

    湯洗い 作り身を湯にくぐらせ、冷水にとる手法。「洗い」の一種。上身を引ける状態にし、そぎ切り、はね切り、糸作りなどに切り、60~75度程度の湯で洗って冷水にとる。適度に脂(臭み)が抜けて身が締まる。主に鯉などの淡水魚に用いる洗い。 幽庵地 つけ焼き用の代表的な地。基本は濃い口しょう油、酒、みりんを同割。これに輪切りの柚子を入れる。この地に魚や鳥獣肉を漬けて、柚子の香りが移った頃合いに液を切り、串を打って焼き上げる。焼きあがる直前に地を数回かけて仕上げる。この焼き物が「幽庵焼き」柚子を使うので「柚庵焼き」と書くこともある。江戸時代に、近江の茶人「北村祐庵」が考案した料理だとされる。なので「祐庵焼き」と書く人もいる。また、「柚香焼き」ともいう。 雪鍋 大根おろしを雪のようにたっぷりのせた鍋。魚介と野菜をしょう油味で煮た鍋に、粗くおろした大根をのせる。「鬼おろし」でおろすと本格的。大根おろしは魚介と非常に相性が良い。 行平(ゆきひら) 「雪平」とも書く。行平とは歌人「藤原行平」の名で、この人が海女に塩を焼かせたという故事があり、塩を焼いた鍋が行平と呼ばれるようになったと云う。
    ①粥炊き用の土鍋
    共蓋付きで、注ぎ口と取っ手のある土鍋。白い釉薬をかけてある。
    ②調理用の片手鍋
    アルミや銅(錫引き)の打ち出し鍋で、注ぎ口があり取っ手があるなど行平と似ている。こちらはもっぱら「雪平」の表記がなされ、雪平鍋が一般的な呼称。 雪輪蓮根 雪の結晶に模した切り方。蓮根を円筒状にして皮を剥き、そのままさらに気泡の穴の上部まで剥くと雪の結晶のようになる。凸先端に飾り包丁を入れて、小口から切って使う。煮物は厚めに、酢バスは薄めに切る。 柚香蒸し 柚子の香りを材料に移す蒸し物。一般的には白身魚の切り身の上に柚子の輪切りをのせて蒸し上げる。魚や鶏肉にゆず味噌を塗って、その上に柚子輪切りをのせて蒸すなど、色々な手法がある。
    柚子釜蒸し(ゆずがまむし)
    葉付きの柚子を器に使う(柚釜)葉付きの上部を切り落とし(1/4ほど)、下部をくり抜いて器を作り、白身魚やエビ、下茹でした蕪などを入れる。酒を振って10分弱蒸し、だしでのばし甘味を加えて練った赤味噌をかけ、さらに数分蒸す。葉付きの上部を釜蓋にして上にのせ、盛り付ける。この柚子釜は口取りや八寸、正月のおせちにも適していて、酢の物や和え物などを盛ったりする。 湯煎 「二枚鍋」「二重鍋」ともいう。大きな鍋に水を張り80度程度の湯にして、一回り小さな鍋に材料を入れて湯につけて温める。間接的にゆるやかに熱が伝わるので、直鍋で加熱すると焦げやすいものや、固まりやすいものを湯煎にする。黄身酢やソース類など。 湯炊き 米を、水からではなく沸騰湯で炊くこと。急いでご飯が必要な時や、大量に米を炊くときなどに、湯炊きする事がある。洗って吸水させた米を沸騰した湯に入れてかき混ぜ、蓋をして炊き上げる。時間が短縮され、大量の米がむらなく炊ける。 茹で煮 柔らかくなるまで茹でたあと、味をつけて煮る。和食では普通の煮方である。洋食のゆで煮(ポシェ)は、手間のかかる冷製料理。 湯通し 材料を湯にさっと浸けること。短い加熱時間が特徴。これに当て嵌る手法は実に沢山あり、調理法や材料により微妙な違いがある。広い意味では、「霜降り」(あさ霜、つよ霜)、「湯引き」「湯霜」、「湯洗い」、「湯ぶり」なども含まれる。これらは目的がほぼ同一で、それは表面のみを熱変性させるという目的である。余計な脂が抜けて臭みが消え、皮目の旨味を凝縮し、口当たりが良くなる。加えて微細な汚れが取れて、ついでに雑菌も除去されるので殺菌効果もある。※湯ぶりとは、「ふりざる」に入れてさっと湯に通すからで、その目的は上記と同じ。目的が異なる湯通しとしては、葉菜類の下茹ででは色を止めたり、コシを折って適度な口当たりにして仕上げ料理(お浸しなど)に進むとか、ナッツ類やトマトの表皮を剥く目的の「湯むき」などもある。 湯取り卵 「玉締め」の別の言い方。「しめたま」、「よせたま」、「くすだたま」などの呼び方もある。煮立てただし(湯でもよい)に塩を少々入れ、溶き卵を流し入れる。卵が固まったらザルで水切りし、巻き簾で巻いて冷ます。冷めたら切り分けて、椀種や口代りや煮物に使用する。

    料理用語集TOPへ
  • や行 「よ」

    養肝漬け(ようかんづけ) 白瓜の漬物。三重県の名産でもある。シロウリの芯を抜き、茄子、大根、生姜、紫蘇などを細かく刻んだものを詰めて、味噌漬けやたまり漬けにする。養肝という名は、武士の士気を養うという意味で、藤堂高虎が兵糧として常備させていたと云われる。 養老 おろした薯蕷(山芋)を使う料理を、養老という。滋養強壮で知られるヤマノイモは、老人の健康をも養うということで、敬老関係の宴席にて献立にする。とろろを材料にのせて蒸す「養老蒸し」、白身魚やエビなどにとろろをのせて焼く「養老焼き」、とろろと卵白を混ぜた衣で材料を揚げる「養老揚げ」などの献立がある。また、「養老鍋」はうどんの寄せ鍋。
    養老豆腐
    当たり鉢でおろした山芋に、寒天液を加えて流し缶に移して冷やし固める。これを天突きを使って器に突き出し、薄味で調味しただしを張り、わさびを添える。夏向けの献立。精進でも使われる。 横串 材料の繊維の流れに沿って打つのではなく、繊維と交差するように垂直に刺す串の打ち方。小魚などは数匹を並べて打ち、切り身は身の薄い方を手前にして、一切れから数切れを打つ。やや横長の材料を打つ場合(例えばカツオの焼き霜など)は、扇型に数本を打って手元で纏るようにする。
    ・縦串との関係
    通常は横串だけを打って焼くことが多いが、材料によって縦と横から打つ場合もある。踊り串、登り串などは魚体の流れに従って繊維と平行に打つのだが、横串はこれとクロスする。縦串を打ち、その串よりやや斜めに打つのは「添え串」になる。 横けん 野菜(大根や胡瓜や独活など)を桂むきにして、極千切りにしたものが「けん」。桂むきにしたものを重ね並べ、野菜の繊維と平行に切るのが「縦けん」で、これは主に「立てづま(前づま)」にする。横けんは繊維を切断するように垂直に極千切りにしたもの。例えばかつらに剥いた大根を巻き込んで筒状にしたものを小口から切ると横けんになる。横けんは主に「敷きづま」として使用する。 四三の盛り(よさんのもり) 刺身の盛り方のひとつ。四切れを主にし、三切れを前盛りに。四と三は別の材料であることが多いが、同じ材料を主従にする場合は切り方等を変える。 吉野 葛粉を用いた料理の名称。奈良県吉野地方が葛の名産地であるため、葛を使う料理には吉野をつける。葛粉の代用として片栗粉を使うケースもあるが、これもやはり吉野という。葛粉には「九助」という別称もある。
    材料にいずれかの粉をまぶす事を「吉野打ち」といい、これで仕立てた椀を「吉野もどき」ともいう。また、汁に水で溶いた粉を加えることを「葛をひく」という。
    吉野汁:「吉野仕立て」ともいう。汁に、水溶きの葛粉や片栗粉を加えてとろみを出したもの。汁は「すまし」であることが多い。
    吉野煮:「くず煮」ともいう。材料に粉をまぶして煮るものと、仕上がり段階で煮汁に粉でとろみを付けるという二種の方法がある。材料は淡白なものが合う。
    吉野焼き:白身魚のしんじょうを田楽に切ったものを、葛餡をからめて焼く。
    吉野酢:土佐酢、二杯酢、三杯酢などに、水で溶いた粉を加えてとろみをつけた合わせ酢。 吉原 葦原とも表記する。近年は見られなくなった特殊な切り方。独活を五~六寸程度に切り、厚く皮を剥いてアク抜きし、それを絹糸で5ミリくらいの細さに切る。絹糸は親指と人差指に渡して使う。この切り方を「吉原切り」という。吉原切りや、さいの目に切った独活を白煮仕立てにしたものが「吉原うど」。吉原とは遊郭の吉原のことであり、ここの土手を示したものだとか、葦原を連想させる切り方なので「葦原」と呼ばれていたものが、洒落っ気で吉原に転じたなどと云われる。 寄せ 和食の調理法や料理名によく使われる「寄せ」には、大別して材料を「集める」「固める」の2つの意味がある。
    ・種類の違う様々な素材を寄せ集めて作る料理
    ・寒天などの力をかりて材料を寄せ固める料理
    例外も幾つかあり、例えば「他の要素(材料)を引っ張ってきて(寄せて)、加える」など。木の芽味噌に使う「ほうれん草の青寄せ」などがそれに相当する(青寄せは「寄せ菜」ともいう)
    寄せ物(よせもの)
    凝固するもの(寒天、ゼラチン、葛・片栗、卵など)を使って、材料を寄せ固める料理で、その種類は非常に多い。狭義では「流しもの」ともいう。
    寄せ鍋(よせなべ)
    野菜・きのこ、魚介類、貝類、肉類、加工食品、あらゆる材料を取り合わせて吸い地よりやや濃い地で煮る鍋物。 寄せ蕪 ①蕪をすりおろし水切りしたものに、椎茸や木耳の千切りを混ぜて卵白と道明寺粉を加えて練る。それを丸にとり湯に落として固める。椀種などに。
    ②みじん切りにした蕪を他の材料と合わせて寄せる。夏場は寒天寄せ。寒い季節にはしんじょや卵で。 寄せ豆腐 1)木綿豆腐を水切りする
    2)椎茸、人参、百合根などをみじん切りに
    3)豆腐を当たり鉢であたる
    4)おろしヤマイモと卵白を加えてよくあたる
    5)2を加えて混ぜ合わせる
    6)巻き簾に取って形成する
    7)蒸し器に入れて蒸し上げる
    8)冷めてから包丁する 寄向(よせむこう) それぞれの客に異なる器を出すこと。焼きや形や絵付けの違う器を個々に出す。茶懐石の手法。 四つ椀 茶懐石で使う椀。少しずつ大きさが異なる椀が四つ一組になっており、入れ子のように重ねることができる。 それぞれに料理を盛れるほか、汁椀、飯椀として使う場合は余を蓋にする。 呼び水 ・野菜を塩漬けにするとき、水が上がらないと傷みやすいケースがある。そこで、水気の少ない野菜などを漬ける時、最後に塩水を加えることがある。この塩水を呼び水という。
    ・生きたサザエなどを刺身に捌くとき、蓋を固く閉ざして手に負えないことがある。こういう時に海水くらいの塩水を容器に張って上に割り箸を二本渡し、水面に蓋を向けて貝を置くと、身を出してくる。これも呼び水とか誘い水という。 呼び塩 塩漬け食品の塩分を抜くために水に浸けるとき、少量の塩を加えること。真水よりも早く塩分を抜ける場合がある。 捩り独活(よりうど) 刺身づま、椀づま、天盛りなどに使用する独活の飾り切り。人参、大根、胡瓜などにも同じ切り方がある。
    ・三寸程度の長さに切った独活の皮を剥いて、酢水に浸け色を止める。
    ・桂むきにして広げ、5ミリから1センチくらいの幅で斜めに切り離していく。
    ・盛り箸に巻きつけて形を整え水に浸ける 鎧焼き 「鬼殻焼き」、「具足焼き」と同じもの。武士の鎧兜に見立てたもので、エビを頭つき、殻つきで焼いたもの。また、白身魚を幅広の短冊に包丁し、天火焼きにしたものもある。卵黄をぬって焼く。

    料理用語集TOPへ
  • わ行 「わ」

    若狭 京都への魚介供給地として知られる福井県若狭地方で穫れたアマダイをウロコつきで腹開きにし、一塩にして風干ししたものを「若狭干し」という。「若狭ぐじ」という言い方もある。酒に少々の醤油と味醂を合わせたつけ地を「若狭地」といい、この地をかけながら焼いた若狭干しを「若狭焼き」という。ウロコが立つように焼き上げる独特の焼き物。若狭干しは他にもカレイ、マナガツオなどがあり、グジと同じく若狭地で焼いり、酒だけを塗って焼くか、あるいは普通の干物のようにそのまま焼く。 若竹煮 代表的な春の献立。春が旬の若竹と新ワカメを組み合わせた煮物。筍はしっかりとアクを抜き、だし、醤油、味醂、塩で調整した煮汁に入れ、さらに追い鰹して煮上げる。
    ※刺身に出来るような白子ならアク抜きの必要はない
    仕上がり直前にワカメを加えて器に盛り付け、木の芽をたっぷり天盛りする。
    同じ組み合わせの汁物もあり、「若竹椀」「若竹汁」という。 若菜蒸し 新緑を強調した春の蒸し物。緑が鮮やかな青菜をさっと茹でて色を止め、卵白と青菜をからめて白身魚の切り身の上にのせ、弱火で蒸す。餡を張るか、あっさり掛け汁をしてワサビ等を添える。
    ※蒸し方を調整して緑色を飛ばさないように注意する 割り醤油 生醤油では強すぎる場合に、カドを和らげるため、あるいは醤油味に変化をつけるため、醤油に他の液体を混ぜたもの。
    一般的な割り醤油は、醤油をだしで薄めたものである。その他、酒、みりん、酢など色々なもので割り醤油を作る。 汁物は大別すると「清汁」と「濁り汁」の二種があり、「仕立て」で分類する。濁り汁の代表は味噌仕立て(味噌汁)。代表的な椀汁である吸い地(椀汁、張地、吸い汁)は、昆布とかつお節で引いた1番だしを塩と醤油で濃度0・8%くらいにしたもの。
    ・椀種(実)=主材料
    ・椀づま=副材料(「青み」と「さしこみ」)
    この三種を椀に盛って、吸い地を張る。
    汁を張ったら吸い口=季節の香辛(口とか鴨頭ともいう)を浮かべて蓋をする。
    大ぶりの椀に沢山の実を入れる椀盛りは、それぞれの実を煮含めているからか、懐石では「煮物椀」とか「菜盛り椀」と言われる。しかし煮物ではなく、あくまでも汁物なので、だしをしっかり引き、吸い地もやや濃くして汁の味を楽しめるように作る。
    口も忘れないようにする。

    料理用語集TOPへ

© 合資会社 和楽路屋. All Rights Reserved.
本日の訪問者数:00046 累計:240911